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第二十八話 入学

中学校を卒業して一か月、いよいよ高校生活が始まる。

高校生は、大人と子供の中間のような感じで、中学生の頃は高校生を見ると、何ともいえない憧れのようなものを持っていた。大人の話を聞いていても、「高校時代が一番楽しかった」という人も少なくはない。

そんなことを考え、自分の高校生活を勝手に想像しながら、私は入学式に向かった。私の通った学校は私服なのだが、入学式はスーツか中学時代の制服を着用との事だったので、わたしはお気に入りのサージの短ランとボンタンで髪形もバッチリと決めて行った。

人を強い弱いで分けるとするならば、大人の場合の強さとは、資産・社会への影響力・地位・名誉等になるのだろうが、中高生の場合はいたって単純で、強い人間が強いのである。喧嘩の強さ、又は強い人間がどれだけ自分の周りにいるか、それが重要だった。(これは私たちのような人間の基準で、頑張って勉強していた方はすごいと思います)先輩たちの事などを思い返しても、強い人の周りには人が集まり、その影響力は大きかった。

入学式会場の体育館に行くと、同じ学校から入学した、ノリオヨネカワの姿もあった。中学時代街で知り合って仲良くなったケンジもいた。式典が終了すると、それぞれの教室に移動する。工業高校なので学科ごとにクラス分けされていた。私の学科には誰も知り合いはいないと思っていたのだが、「○○だよね?」向こうから話しかけられてビックリした。私が実家に住んでいた頃の友達のタツヤだったのだ。話し相手がいて正直ホッとした。あとは私の転校先の小学校の同級生だったリョウタがいた。もっとも、小学生時代は話したことがなかったので、初対面のようなものだったが。

タツヤは人なつっこい性格で、一緒にいるとすぐに誰かに話しかけ仲良くなっていった。そういった面では、だいぶタツヤに助けられた。リョウタは比較的真面目なタイプの奴だったが、いつも私の近くにいるようになった。

入学式の後数日後には、新入生研修という、(以前に中学生の頃の宿泊学習を説明したが同じようなもの)行事があり山奥の施設に連れていかれた。全学科が集まった行事とあり、私はもちろんの事、目立った奴はみんな気合を入れて自分の存在感をアピールしようとしていた。やはり何事も最初が肝心なので、そこで存在感をアピールできれば、その後の高校生活も過ごしやすくなるだろうと思っていた。その他の楽しみと言えば、もちろん女の子をチェックする事。工業高校は女子生徒が少ないので、それだけ倍率が上がってしまうのだ。別に違う学校の女の子と遊べばいい話なのだが、自分の学校で彼女を作ることも、一つのアピールと言えなくもない。

今回は、特に盛り上がりはないエピソードでしたが、入学当初の気持ちをサラッと書いてみました。次回は新入生研修からのエピソードになります。

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次回に続く


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