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ウェビナー年62回、1.1万人集客を内製している事業会社マーケターが工夫していること

こんにちは。
株式会社システムインテグレータの佐藤 嘉彦です。
新型コロナウイルス流行以降急激に増えたウェビナー。
当社でもウェビナーは当時から現在まで力を入れている施策のひとつです。
今回は当社がウェビナーを開催する上で工夫している点についてご紹介していきたいと思います。


ウェビナー企画のつくりかた

ウェビナーの集客には「企画」がとっても大事です。
集客にはいろんな要素が絡みますが、「企画」がズレていると他のオペレーションを頑張ったところであんまりうまくいきません。
そもそもウェビナーとひとくちに言っても、その施策の目的は様々です。
認知を獲得したい、リードを獲得したい、ハウスリストから見込み客を掘り起こしたい、いろいろありますよね。
でも企画を考えるときって「スピーカーが語れること」「自社が言いたいこと」を中心に考えてしまいがちで、

  • 何のための施策か

  • ターゲットは誰で、この施策を通じてどうしたいか

  • そのためにはどんなコンテンツが必要か

みたいに整理できないまま進んでしまうこともよくありますよね。
企画案を考えるためのブレストはブレストでいいのですが、ブレストで出たアイデアのまま進んでしまうと、蓋を開けてみたら「あれっ?やりたかったことと違ったな」となってしまうこともあります。
ウェビナーは手段であって目的ではない、という点に立ち戻って冷静に「企画はこれでいいのか」とチェックしながら進めることが大事です。

まず年間の実施計画を作成

当社の場合だと、おおよその年間マーケティングカレンダーを新しい期に入る前に作成します。
事業やプロダクトによってやりたいことが異なるのですが、それぞれの戦略に合わせてどのタイミングで何を目的としたウェビナーを実施するかをその時点で仮決めします。
その後に、そのウェビナーのテーマやコンテンツを決めていく、といった進め方をしています。
もちろん期初の予定通りにならない場合もあったり、急遽異なる企画を差し込む場合もあるのでケースバイケースで企画を変えながら進めていく、という形になります。

コンテンツの決め方・作り方

年間計画の時点で「何が目的か、誰がターゲットか」をおおよそ決めているので時期が近づいてきた頃にそれを具体的な企画に落とし込んでいきます。
時期に関しては自社単独でやる場合は2か月くらい前、共催の場合は2~3ヶ月前になることが多いです。
テーマとするキーワードやコンテンツについては、ターゲットの興味関心に沿うのは当たり前として、トレンドとなるトピックがないかや、最近のウェビナーとの被りがないかなどを加味し、決めていきます。
「基本」のような企画がハマるテーマであれば、定期的に実施することもありますが、「最新」であることが求められるテーマの場合は、過去似たことをやったことがある場合できるだけ情報をアップデートすることが重要になってきます。

また、こうしたコンテンツの内容を考える作業はスピーカーに丸投げせず、マーケターも伴走して進めた方がいいですね。
「スピーカーができる話、したい話」と企画の趣旨がズレないようにするためです。
「最新トレンド」に関する企画のはずだったのに、単なる製品紹介のウェビナーになってしまうと、目的を達成できないだけでなく、参加者の期待を裏切ることになってしまいます。
ウェビナーはスピーカーの負荷がとても高いので、スピーカーができる話にしたいところではあるのですが、ミスマッチが起こらないように気を付けなければなりません。
どうしてもテーマに沿った話ができるスピーカーの調整が社内でつかない場合は、外部の方に登壇いただく、共催で開催するなどで調整するとよいでしょう。

集客のしかた

ウェビナー集客のチャネルは、ハウスリストへのメール配信やWeb広告、イベントサイトへの掲載などが主だったところかなと思います。
中にはアウトバウンドでコールして、セミナー申し込みを促すといった取り組みをしている企業もあるようですが、私たちはインバウンドの施策を中心に行っています。

どのチャネルに注力すべきかは、ウェビナーの企画によって変わります。
よく「階段設計」という言葉を耳にされると思いますが、認知獲得・新規リード獲得を目的とした場合、ハウスリストへのメール配信だけしていても実現できませんので、広告運用や共催での開催、メディアへの掲載などに注力する必要があります。
逆に獲得済みの潜在リードを引き上げる目的の企画の場合、それらの外部への施策は不要となってきます。
企画と目的に合わせてチャネルをコントロールすることで、効率的な集客・運営が実現できます。
あくまで主観ですが、各チャネルごとの特徴をまとめていきたいと思います。

Web広告

みなさんのスマホにもさまざまなウェビナーの広告が表示されると思いますが、リード獲得という観点においてはfacebookがおすすめです。
Google広告だとCPMが安く、広く配信されるのですが、CVRが低いため獲得単価が高くなりがちです。
facebook広告は逆でCPMやCPCが高いのですが、CVRがGoogle広告と比較し高いので、ウェビナー集客ではfacebookの方が向いていると思います。
ただし、「製品紹介セミナー」みたいなBOFU向けのウェビナーだとそもそも広告で獲るというのに向いていませんので、ハードルが低くかつ広く関心を集めることのできる企画でマッチすると思います。
この記事ではカンファレンスについてはあまり触れていませんが、自社主催のカンファレンスで運用するのが一番向いていると思います。

外部メディアへの掲載

peatixなどのイベントプラットフォームに掲載する、業界専門メディアに掲載する、あるいはメディアの持っているウェビナー集客支援サービスを利用するなどの方法があります。
まず集客できる出来ないでいうと、よほど裾野が広くハードルが低い企画でない限り、peatixは載せただけで終わってしまうことが多い印象です。
peatixに限らず外部メディアで申し込まれたものは、自社のシステムと連携されないので手動でリストをインポートしたり、案内を別途送る必要が出てきます。
2、3人でも増えるのであれば、と思ってやったこともありますが、当社の場合ちょっとニッチなサービスということもあり、費用や運用の手間と見合わない集客になることがほとんどだったので、今はpeatixへの掲載は行っていません。

一方業界が絞れている専門メディアは一定の集客につながるのですが、今度は広告メニューが高いという問題があります。
集客保証のものだと1.5万円スタート、そうでないものでも配信数からCTR、CVRを加味するとやはり良くて1万円前後となり、ウェビナーのリード獲得単価として悩ましいラインです。
過去良かった経験でいうと、技術系の企画でtechplayさんのメール配信のメニューはかなり単価安く獲れました。
メディアを通したリード獲得は、「ハードルの低い企画である」・「そのメディアのユーザー層の関心と企画があっている」という点をクリアしていないとうまくいきません。
あれもこれもと広く出しても手間ばかりかかってしまうことになりますので、注意しましょう。

SNSでの告知

これは運用しているアカウントのフォロー数だったり、告知するマーケター自身のインフルエンサー力にかなり左右されます。
当社と私の場合そこの力が弱く、投稿しても基本的に無風です。
また単にフォロワーが多くても、そのフォロワーの中に見込み顧客となり得る属性の方が少ないとやはりあまり集客につながらないと思います。
仮に私が個人アカウントの運用を頑張ってフォロワーを増やしたとしても、おそらくBtoBマーケティング周りの同業の方のフォロワーとなると思うので、当社のソフトウェアに関するウェビナーに参加いただくのは難しいでしょう。
ただし、外部の登壇者の方がインフルエンサー的な立ち位置の方であれば、集客の協力をお願いしない手はありませんね。

ただ、facebookのグループなどターゲットとなるユーザーが登録していそうなコミュニティに対しての投稿は、コミュニティの規模にもよるのですが、一定の反応があります。
かんたんな告知とLPへの導線を投稿するだけでかんたんなので、そういったコミュニティが存在していて参加ができている状態であれば、試してみるといいかもしれませんね。

ハウスリストへのメール配信

鉄板の施策なので、やっていない方はいらっしゃらないと思います。
メールの作り方の工夫についてはそれはそれで長くなるので、別の記事でまとめてご紹介したいと思います。

ハウスリストへのメールの集客は、ハウスリストの数、ハウスリストの属性、企画内容によって大きくパフォーマンスが左右されます。
ものすごく当たり前の話なのですが、「経営層向けの企画だが、ハウスリストに経営層が全然いなくてあまり集まらなかった」みたいなケースは結構耳にします。
数が集まらない前提で企画しているのであれば集まらないこと自体は問題ではないのですが、その場合リストを絞らずにメールを送ってしまっていると多くの人にマッチしないコンテンツを送ってしまっていることになるので、多くのオプトアウトが発生してしまう恐れがあります。
ハウスリストは重要な資産ですので、リストの中身をよく理解したうえで適切に活用することが重要です。

メール、電話での直接のお誘い

フォロー中の、関係性があるリードに対して、関心のありそうなウェビナーを直接紹介するというのも有効な集客手段です。
もし個別のフォローが進んでいるリードに対して一斉配信のメールしか届いていないようであれば、リードの取り扱い方を見直した方がいいかもしれません。
重点的にフォローすることになっているリードに対しては、基本的には個別のアプローチをすべきです。
コンテンツの内容がそのリードの関心ごとに沿っていて、かつ検討を引き上げるようなものであれば、ぜひ個別にお誘いしてみてください。

実際どのくらい実施、集客しているの?

2022年度(2022年3月~2023年2月)当社では、62回実施し、1.1万人の方にお申し込みをいただきました。
1つの企画に対してだいたい4回程度メールの配信をしているので、248回程度の集客メールを配信していることになります。平日は毎日何かしらのウェビナーのご案内をしているという計算になりますね。
そして1回あたりの申込者数を平均で算出すると200名弱になるのですが、広くリードを獲る目的の1,000名以上の企画もあれば、20~30名で開催するセ品に関する企画もあるので、ここは丸めてみてもあんまり意味がない感じですね。
目的やターゲットが類似する過去の企画と比較し、各パフォーマンスを見ながら改善を進めていく、みたいな形で運営をしています。

やっぱりA/Bテストは重要!

メール集客の場合ですと、CTRやその後のCVRにフォーカスしてみることが多いです。
CTRはリストにもよるのでリストが同条件であることが前提となりますが、類似する他の企画としてCTRが悪い場合、企画の変更はしなくても、メールでの見せ方を大きく変えることがあります。
こうした運用にはA/Bテストが重要なのでは言うまでもありません。
初回のメール配信でA/B出来ているのとそうでないのとでは、改善の出来具合が大きく変わります。
まずメール送信してみて、それが結果がおかしかったらそこから仮説検証というステップだと、最初の1回無駄になってしまいます。
同一の企画で、大きく見せ方や送り方を変えない場合、配信の回数を重ねるたびに各パフォーマンスは落ちていきます。
そのため最後の最後に大きな改善をしても、あまり影響を与えることができません。
効率的な運用には「型化」も重要なのですが、この「型」にA/Bテストによる仮説検証を含めることをおすすめします。

ウェビナーに参加するのは、ウェビナーに参加したことある人

当たり前の話なのですが、ウェビナーに参加する人は自社に限らずなにかしらウェビナーに参加したことがある方が多数です。
ホワイトペーパーや展示会で獲得したリードと、共催ウェビナー等のウェビナーで獲得したリードを比べると、圧倒的に後者の方がウェビナーに申し込む確率が高いです。
逆もそうなのですが、ホワイトペーパーが刺さるのはホワイトペーパーで獲得したリードという傾向もあるので、ある程度チャネルでユーザーが分断されている感があります。
ですので、ウェビナーの集客を増やすにはウェビナーでリードを獲らなければならないという「卵が先か、ニワトリが先か」みたいなお話になっています。
もちろん、他のチャネルで獲得したリードからの申し込みがゼロというわけではないのですが、ウェビナーを中心としたコンテンツマーケティングを考える上では、新規リードを獲っていくウェビナーをしっかり回していくことが重要です。
自社カンファレンスや共催ウェビナーなど、広く集客できる企画に積極的に取り組まない限り、「ウェビナー試したけど、全然集まらないからあんまり今やっていない…」という状態に陥ってしまいがちかなと思います。
自社ウェビナーは無料でできる点がすばらしいのですが、それだけだと成立しないので、大きくしていくためには新規獲得を大きく意識して計画していく必要があると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
これからウェビナーに力を入れようかと検討されている方や、今ウェビナーを行っていて課題をお持ちの方に読んでいただいたと思いますが、少しでもお役に立っていると嬉しいです。

当社ではマーケターをはじめ、各種ポジションで随時採用を行っています。
少しでもご興味いただけましたら、ぜひご応募ください。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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