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魚の釣り方

魚そのものではなく、魚の釣り方を授けるべき

「授人以魚不如授人以漁」は、老子の教えの一節であり、「魚を授けるよりも、漁を授ける方が良い」と訳されます。直接的な援助を提供するよりも、問題解決や自立の手段を教えて与える方が有益であるという教訓です。

一時的な援助や物質的な支援を提供することよりも、その人が自らの力で問題を解決できるスキルや知識を身につける手助けをする方が、より持続可能で効果的だという意味合いです。単なる物事の結果を授けるのではなく、その方法や手段を教えることで、より独力で生き抜くことができるようになるという考え方が込められています。

またこの教えは、持続可能な自己効力感や自己発展を促進し、他者の独立性を尊重する視点を持っています。

はじめまして、『ひきこもごも』と申します。

メディカルソーシャルワーカーを中心としたひきこもり支援に関する任意団体「ひきこもごも」と申します。 専門員視点と、元当事者のメンバーによるひきこもりの状態にある方のいまと、気持ちを一緒に考えています。
いままでひきこもりの方、そのご家族、現行の支援とその課題、支援者のあり方を発信してきました。

今回は「魚の釣り方」という内容で発信していきたいと思います。

就活や婚活に親が参加する時代

親に貰った立場は再現性がない

就活に親が積極参戦している状態を、度々報道が面白がって取り上げています。「楽そうでいいなあ」「絶対いやだ」「ちょっと異様」様々な反応がある様子です。老子の言葉で当てはめると、まさに魚だけが与えられて、釣り方を身に着けていない状態で社会生活を開始することになります。
順風満帆、トラブルなく定年まで働ければいいじゃないか、という考え方もあるかもしれませんが、厚生労働省が2020年に報告したデータによると、2019年における入社3年以内の離職者は約3割です。また離職も決断です。人間関係で悩んでいても、ブラックであっても、与えられたものを大切に思い、新たにつかみ取るイメージが持てない状態になりやすいのではないでしょうか。

与えたい親心

釣り方を与えよう

こどもになにかを与えようと思う本能が人間には備わっています。しかしなんでも与えればいいというわけではなく、むしろ意欲や動機を奪うような与え方をしてはいけないという気持ちを持つ必要があります。
放任やネグレクトをしろというのか、と受け止めずに、本人に積み重なる自信の基礎が育まれる小さな成功体験をむしろ積極的に与えられる機会を作ってあげましょう。

ひきこもりには理由がある

「親がしてはいけないこと」と銘打ち「ひきこもりには理由がある」を合言葉に、いまひきこもっているひとが、いまどういう状態なのかを考えています。ひとは理由なくひきこもりません。根源的な課題解決なしに性急に回復したような状況だけを求められてしまう当事者はたくさんいらっしゃいます。その環境出力だけを達成しても予後がよくない傾向にあります。いまどういう状態なのかをきちんと考える事で、一時的な状態変化に惑わされず、いま必要なものが考えられます。
当事者にとっても、家族などの身近な伴走者にとっても、理解してほしい、一度考えてほしい内容になっています。ご一読くださいませ。


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