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受け止める事と受け入れる事の違い

はじめまして、ひきこもごもと申します。

メディカルソーシャルワーカーを中心としたひきこもり支援に関する任意団体「ひきこもごも」と申します。 支援者目線と、元当事者のメンバーによるひきこもりの状態にある方のいまと、気持ちを一緒に考えています。
いままでひきこもりの方、そのご家族、現行の支援とその課題、支援者のあり方を発信してきました。

今回は「受け止める事と受け入れる事の違い」ということで発信していきたいと思います。

ひきこもりと向き合う上で「受け止め」が必要

受容の過程は1.否認、2.怒り、3.取り引き、4.抑うつ、5.受容という5つの感情的段階を経て進行します。個人差はあれど、人はおおむね5段階の感情をこの順番で経験します。

1.否認期の人は、自身や家族の状況が困難な状態ではないかのように行動し、話し、考えます。否認の感情は、事態が制御できなくなること、自分や家族など大切な人を否定すること、未来が不確かなこと、苦しむことに恐怖を感じ、それに対して起こる一時的な反応です。医療や支援機関につながり、必要な支援を受けることにより、いまできることを理解します。

2.怒りは「なぜ私が?」と不公平を感じる気持ちとして現れます。困難さのない人の状況に不快感を感じるようになる場合もあります。
3.取り引きは現実を論理的に考えているしるしで、家族は本人に条件や成果を求めるようになります。

4.取り引きなどの対応がうまくいかないことが分かると、抑うつが生じます。受容の感情は、運命との直面と表現されることもありますが、家族が友人、支援者との話し合いを経て現れます。自身が誰かに対して説明をするうちに自身やその家族が置かれている状況やその困難さを再度理解していきます。

5.受容は最後の工程であり、あきらめを通していきつく感情で、初めて適切な距離感や視野をもって俯瞰することができるようになります。

「受け止め」ができて支援がスタートする

お子さんの状況について相談があり、実際に訪問してみて、ご夫婦の課題意識に壮絶な差を感じる機会があります。お母さまは5の受け止めができていて、なにができるかを模索しているなか、お父さまはまだ2の怒りの段階で全く建設的なアセスメントができない、自己責任論を引き合いに出し、支援者に対しても拒絶的といったケースなどです。

「受け入れ」てはいけない

「受け止め」が重要とお伝えしてきましたが、すべてを受け入れているよくないケースもあります。関わっている高齢支援の訪問支援員からつながったケースで、お母さまと2人で暮らしている8050家庭、暴力があり昼から飲酒、毎月何10万円も金をせびられ、都度渡しているがパチンコ等に使われてしまっているひきこもりの状態にあるかたのお母さまとお話をするも、お母さまは共依存気味の様子で「やさしい子だから」「つらい思いをさせたくない」「いまから改善や挑戦は難しいと思う」と支援計画が進まなくなったケースがありました。一見理解のあるいい親御さんに見える方ですが、実際にもたらされているものとしてはひきこもりの長期化、早期介入拒否、本人の挑戦意欲のそぎ落としなどとしてみることも不可能ではありません。
裕福な家庭でしたので、就労は必要ないという状況もあったのかもしれませんが、互いに依存しあっている状況を変えることが怖かったのかもしれません。

受け止めることと受け入れることにはバッファがあっていい

受け止めたからと言って受け入れなくてはいけないわけではありません。
子どもの状態、気持ちをしっかりと受け止め、「そういう風に感じたんだね、いまはこういう状態なんだね」と理解を示したうえで、あなたは改善したいと思っているならその気持ちはあなたのものです。大切にしたうえで押し付けないでください。あなたは支援機関や医療機関に相談し、必要な支援について考え、計画し、感情ではなく理論によって前進を続けてください。
本人に対するアプローチではなく、社会や制度に対してのアプローチを行って下さい。

受け入れずに受け止めたら、次のステップへ

支援者ができる支援と、家族ができる支援は異なります。
親にしかできない支援として次のように考えています。


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