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冴えないカフェ

前日飲みすぎて軽く二日酔いで遅く起きた朝、トーストをかじったもののもうちょっとしたら昼。洗濯物をして、掃除機をかけて、近所のパン屋さんに行って、1週間分の食パンとお昼用の惣菜パンを買う。新しいコーヒーの袋をあけ、お湯を沸かして、ゆっくりとコーヒーを淹れる。お気に入りのトイストーリーのプラスチック皿にパンを盛り、コーヒーと一緒にトレイに載せて、ベランダに出る。晴れてはおらず、遠く向こうに雨雲が流れていくのを眺めながら、少々洗濯物を干していて大丈夫かと思うものの、雨雲は遠く、こちらは時より陽も射す。雨雲の下の人たちを少し気の毒に思いながら、ボーッと雲を眺めつつコーヒーとパンを楽しむ。

ベランダからは高い建物が見えない。だから遠く向こうの空まで見渡せる。流れていく雲を、結構な遠さまで追いかけられる。その景色を見るたびに、ここに住んでよかったと思い、都心には住めないな、と苦笑する。こんなあいにくの天気でさえ、遠くまで空が見えるだけで、ベランダでボーッとしてしまう。


突然だが、僕の好きな漫画に『はぐちさん』という作品がある。

妻さん(仮)から教えてもらった漫画だ。

しんどい日々をすごすOLのもとに正体不明の白い生き物、通称「はぐちさん」が居候するという漫画。設定はともかく、いわゆる日常系(って今も使う言葉なんだろうか)でなんでもない日々のなんでもない出来事が連なる。

ただ、はぐちさんがとにかく日常の小さな幸せを拾う。はぐちさんの考え方は自分のなんでもない日常を、ちょっと視点を変えるだけで素敵なものに変わることを教えてくれる。

そのはぐちさんのお話の中でもこれが結構好きだ。

上の僕の拙い説明の意味が、なんとなくわかってもらえると思う。

そして、今日まさに、冴えないカフェを開いた気持ちになった。たぶん、この漫画を読んでいなかったら、「なんだか憂鬱な天気だなぁ。外でパン食べてもなぁ」なんて思って、ただ家の中でパンを食べて終わったかもしれない。コーヒーすら淹れなかったかもしれない。日常なんて、こんな些細なことで良い方向に転がり出す。

月曜日という明日がやってくる憂鬱は取り払えないけど、また来週もこんな日がやってくると信じて。

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