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看板建築の魅力に気づく・・・の巻き①

看板建築…。今まで、その奥深さに気付けていなかった。こんなにも個性豊かで、親近感のある愛すべき建物だったとは…。

江戸東京たてもの園では5軒の看板建築を見る事ができる。

看板建築とは…正面にタイルや銅板を貼ったり、モルタルで塗り固めて燃えにくい工夫をした建物。正面から見るとまるで1枚の看板のようで、それをキャンバスにみたてて、自由にデザインすることから看板建築と呼ばれている。-江戸東京たてもの園 解説本より-



■村上精華堂(化粧品屋)■昭和3年(1928) 

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(めっちゃ曇ってる・・・)

和風な屋根に個性的なファサード(建築物の正面部分・デザイン)。

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化粧品の製造から販売(卸し中心だが小売りも行っていた)まで、この西洋風で華やかな建物の中で行っていたらしい。

一番最初に目に入った、柱頭がくるりーんとしたイオニア式の列柱

この〇〇式の…という話になると、西洋建築の原初であるギリシャ・ローマ建築までさかのぼる事になる。

ギリシャ・ローマ建築というのが「オーダー」といわれる構成原理に基づいて建物が作られ、オーダーの種類というのが一般的にトスカナ式、ドリス式、イオニア式、コリント式、コンポジット式の5種類を指し、村上精華堂は渦巻き型の柱頭が特徴的なイオニア式(ちっく)だ。

(以前投稿していたブラフ18番館の玄関ポーチは簡素なデザインが特徴的なトスカナ式だった)

この「オーダー」に関してはもっときちんと勉強しなくては…となんだか反省。故きを温ねて新しきを知る…。あああああ。がんばろ。

『明治期以来、正規の建築教育を受けた建築家たちがこぞってこうしたオーダーを作品に用いたが、看板建築にこのようにオーダーがみられる例は珍しい』

おおお、なんて大胆な発想だ。
確かに目を引くデザインだよなあ、と内部の見学をした後に再度外観をじっくりゆっくり眺めた。

■丸二商店(荒物屋)■昭和初期

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当時は丸二商店と似た感じのデザインの建物が同じ通りに並んでいたという。

この「荒物屋」というものが何を販売しているのか文字だけではわからなかった。

まさか日用品の事を指していたなんて。

たてもの園の丸二商(荒物屋)といったら、店横の路地…。

個人的には長屋からお店へ向かう方向が好きだ。
より当時っぽい雰囲気を感じる事ができる(気がする)。

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銅版が貼られている部分をよく見てみると、江戸時代の伝統的デザインがちりばめられていて、見ていてとても楽しい。職人技が詰まったファサードだ。

自慢のお店だよなあ。当時の店員さんをうらやましく思う。

丸二商店は女性店主・女性店員2人で切り盛りされていたらしく、お客さんとの対話をとても大事にしていたそう…。
女性3人で楽しく働いていたのかなあ、なんて想像してみる。

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ここに来たら必要なものがすべて揃う!そうお客さんから思ってもらえたらお店側の人間は嬉しいよなあ。信頼されてる証拠だ。

私の中での丸二商店の店員さん像がどんどん膨らんできてしまった。
と同時に、何年も前に雑貨屋できゃっきゃきゃっきゃと楽しく仲良し女性メンバーで働いて頃の自分と重ねてしまった。

その建物のストーリーを知れば知るほど、無機質な建物が今も生きていると感じる事ができる。

看板建築は特に身近に感じやすい、素敵な建物であると今回知る事が出来た。

続く




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