「気持ちのズレ」

「あの言い方は傷ついたよ。」
「私は、あんなこと言ったことない。」
出会って、四年。結婚して三年でもこういうときがある。

別に悪意がある訳でもなく、君のことが嫌いな訳もなく、ただ何気ない俺の一言が原因だ。

そんなことを言われると、俺は今さら結婚もしてて、信頼関係もあるのに、俺が言ったその一言を君にそう捉えられてしまうことに正直、めんどくさくなる。
そして、少し悲しくなる。

俺は「少し散歩してくる」と言い、家を出た。

感情的になりそうなときや、頭の中を整理したいとき、時間を置きたいのもあってそうしている。

歩きながら色々思う。

俺もたまに君の発言で傷つくこともある。
でも、俺は基本わざわざ言わない。
君が悪意がないって分かってるから。

でも、それは俺の価値観であり、君に俺と同じことようなことを求めるのは間違っていることも分かってる。

何十年連れ添っても、離婚する人がいるように、何年たってもお互いの気持ちのズレってのは多少なりとも起こってくるのだろう。

それが起きた時は、話し合って解決するか、自分の中で理解して割り切って解決するしかない。

悪い意味で言う訳ないでしょ。ってのは主観だ。

悪い意味でなくても、相手がまたは自分がそう受けとったのならそういうこと。
でも、それも人それぞれなのだから同じ言葉でも色んな受け取り方があるのも当たり前だ。

それを、自分は悪くないと貫き通したり、そのまま放っておく人もいるかもしれない。
ただ、その場は収まってもそれが気持ちのズレとなり、どんどん大きくなる。

自分の思いを貫き通すにしても、自分が悪かったと考え直したときも、話して解決する方がいい。

でも、争わないためには、どちらかが一歩引いたり、受け入れたり、気持ちを理解するように考えてみることが必要だろう。
片方だけが、引いてみたり、受け入れてばっかりだといつか爆発する。

話しも聞かない、聞いてくれない、絶対に一歩も引かない、受け入れてみようともしない。

それなら別れるのは時間の問題だ。

お互いがお互いの為を想って、尊重していけるかどうか。
ずっと一緒にいるにはそれが必要だと思う。

小さなズレはすぐ直せても、大きなズレはすぐには直せないし、時間もかかるし、もしかしたら直せないかもしれない。

言った俺よりも、言われた君の方がきっと何倍も悲しいし、ショックを受けてるのだろう。

お互い奇跡的に出会えて、たまたまお互いが好きになって、君と一緒にいる。

今は当たり前のように一緒にいてくれている君が、居なくなるくらいなら、自分の小さなプライドは捨てるし、少しのわがままも受け入れる。

「ただいま。」

君の大好きなお菓子を片手に持って、

「傷つけてしまって、ごめんなさい。」

と俺は素直に君に謝った。

君は「次からは、そういうことは言わないで欲しい。」とだけ言って、

「お菓子ありがとう。」「一緒に食べよう。」
と言ってくれた。

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