見出し画像

無花果への想いは記憶とともに。

神奈川の実家の庭には私が幼い頃から無花果の木があって、毎年時期になると当たり前のように無花果をもいで家族で食べていました。
思い出すのは、蟻の中でも相当小さい種類ではないかと思われる蟻が、実の中にいたこと。それほど甘くて美味しい無花果だったということが記憶に蘇ります。

北海道に移住して、1年目のこと。母が入院することになり、実家に帰省しました。入院当日、両親と入った病院の近くのカフェで母と私が頼んだのが無花果が丸っと入ったロールケーキ。珈琲と一緒にいただきました。

画像1
状況的に思い出深いロールケーキ。iphoneでささっと撮っていました。

落ち着くまで関東に滞在し、北海道へ帰ったのは1ヶ月後。
その時、何がきっかけだったのか思い出せないのですが、ふと気づいたような…
「移住してから、生の無花果、見かけないかもしれない」
と。
ドライフルーツになった無花果なら勿論どこにでも売っているし、焼き菓子やパンに入って売られているけれど、生の無花果が使われたスイーツってあるのかしら。

一度気になったら、気になって気になって仕方なくなり、SNSなどで調べてやっと見つけることができました。

こんなことなら帰省している時にもっと食べておくべきだった… 。
なんて大袈裟かもしれないのですが、無いと分かると無性に欲しくなるとはこういうこと。

洞爺湖の畔に、「水の駅」という道の駅があります。(ちょっと何言ってるか分からなかったらすみません。笑)
確か同じ年の夏、水の駅の直売コーナーに無花果が並んでいるのを発見していたのですが、いつだったのか定かではなく、その時はきっとまだ身近に無花果がないことをに気づいていなかったのだと思います。

水の駅の目の前には洞爺湖とオブジェ「波遊」

洞爺湖に無花果を育てられている農家さんがあるということは、北国でも無花果を育てることはできるということ。もっと増えたら嬉しいけれど、道民には馴染みがなく、需要が見込めないのでしょうか。

北海道生まれ、北海道育ちの夫曰わく、無花果がスーパーに売られていた記憶がない…と。

それから毎年8月9月になると、私の無花果探しが始まるのでした。

画像2

移住1年目。
帰省から戻って見つけたのが、こちらの無花果のタルト。色んな素材がタワーのように積み上げられていて、てっぺんに無花果の輪切りが乗っている美しいタルト。

画像3

旅先で立ち寄ったパン屋さんはカフェスペースで無花果を育てられていました。お店の方と無花果話になり、思わずフィルムカメラで記念の1枚。積雪のある地域でこんな風に育てていらっしゃるとは感動でした。

画像4

これは買うしかなかったハーゲンダッツのアイス。

画像5

移住2年目。
この無花果はどうして我が家にやってきたのか思い出せないのですが、カメラロールに入っていました。

画像6

市内のフルーツサンド屋さんの「いちじくサンド」。大きな無花果としっとりした食パン、一人で美味しくいただきました(こっそり)。
やはりお店の方との話題は、「北海道ではなかなか生の無花果って見かけないですよねぇ。。」 

画像7

こちらもフィルムカメラで。
お気に入りの作家さんのお皿に置いて記念写真。

画像8

光と影と無花果と。

画像9

移住3年目。これは…。
なぜ、どうしてやってきた無花果なのか分からなくなるのかと言いますと、9月頃に無花果を扱っている青果店が近所にあることを知りまして。それと夫が出張先のスーパーで買ってきてくれたり、実家の母がスーパーで見つけたからと送ってくれたりしたので、どれだったのか思い出せず…なのです。

画像10

果物はそのまま食べる方が好きなのですが、沢山あったのでヨーグルトとナッツと一緒に。至ってシンプル。

画像11

この鮮やかな果肉を見て、無花果にも色々な種類があることを思い出す…。

画像12

この無花果はとっても綺麗なフォルムだったので、フィルムカメラとデジタルカメラで何枚も撮ってしまいました。

画像13

少し冒険して、水切りヨーグルトと無花果のオープンサンドを作りました。
トーストにしたら、メープルシロップをかけて…。

画像14

移住4年目。今年です。
札幌に時々遊びに行く機会が増えた今年。8月末くらいから、札幌には無花果のケーキを提供しているカフェが数軒あることを知った移住4年目。
実家の庭から小ぶりの無花果が届きました。
他の荷物と一緒になって、ティッシュで一つずつ包まれていて、市販のものにしてはちょっと不思議な無花果。
荷物が届く前日、母からの連絡で、さらっと「少ししか採れなかったけど、無花果入れたから」と書いてあったのに、全く頭に入っていなかった私。
荷物届いたよと、連絡をした時に再び母から庭の無花果であることを聞いてやっと気づく。

実家の周りが住宅地になり、てっきりなくなってしまったと思っていた無花果の木が、まだ実家の庭にあったそうです。何度も帰省していたのに気づかなかったのは、場所を移動していたから。
陽が当たらない場所にあるから、なかなか実が大きくならなけど、と母が荷物と一緒に送ってくれた無花果。

これがですね。
申し訳ないのですが。
色々な無花果を食べてきたのに、申し訳無いのですが。

とってもとっても美味しいんです。

熟し具合、果実感、甘さのバランスが私の好み。
幼い頃からの味には敵いませんね。
小さくて、見かけもいまひとつなので、正直どうなのかと思ったのですが安定の美味しさにホッとしました。

そうそう、無花果は夏の果物?秋の果物? とnoteを書こうとした時に疑問に思ったのですが、旬は8月から11月だそうです。
幼い頃は夏に食べた記憶があり、北海道では8月から10月に食べているので、無花果の写真は秋アルバムに収めてOK!ですね。

母の入院前日、両親と行った地元のカフェ。
私が選んだのは奥の葡萄のパフェ。父と母が選んだのは手前の無花果パフェ。
…なぜこの時、私は無花果を選ばなかったのか、北海道の無花果事情を知っていたら絶対選んでいたのにと少し悔やまれるのですが。
何よりも、思い出に残る9月の出来事。

無花果への想いは、幼い頃の記憶とともに、歳を重ねた私の新しい思い出も重ねてくれています。

この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?