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この夏に出逢いたい。そらを凌いで咲く花よ。


北の国へ移住して今年で5回目の夏を迎えました。
花が好きな私としては、季節ごとにこの街のどこにどんな花が咲くかということはもう目を瞑っても分かるくらい。

なんて、ちょっぴり得意気な気持ちがどこかにきっとあったのかも知れません。

横浜に住んでいた頃から大好きだった夏の花を無性に撮りたい気持ちになりました。
この5年間たくさんの花を撮ってきたつもりでしたが、その花はカメラロールで振り返ってみても現れてきません。
なこんなに好きなのに、咲いていることは知っているのに、なぜ撮っていないのだろう? 
そう思うと、ことさらに撮りたくなるもの。

そしてその「なぜ」の理由が
「北海道では花の咲く場所が関東と少し違う事情」
であることだと5年目にして気付いたのです。

もっと早く撮りたい気持ちが溢れていたら、もっと早くそのことに気付いていたに違いなくて、どうしてこんなに「好き」を放置してしまっていたのだろうと考えると私の自称「花好き」もそれほどではないのかもしれません。
けれど、必ず写真に撮らずとも見るだけで満たされる気持ちはとても自然で大切にしたいもの。




「北海道では花の咲く場所が関東と少し違う事情」

北海道に住んでから、
この花って関東では庭や花壇に咲いているのにこちらでは野原にもこんなに咲いているんだ…
とか、
この植物あちこちの生垣で見かけるけれど関東ではそんなに見たことがない…
雪のない季節はここぞとばかりに様々な花がこぞって綺麗に咲くけれど、まとまって咲くような公園はなく、植え込みや庭先ではよく見かける…

などこれまでいくつか気付きがありました。

例えば横浜の山下公園や港の見える丘公園・立川の昭和記念公園のように季節ごとにたくさんの花が咲く公園やフラワーガーデン的な場所。
今住んでいる地域には見当たらない…かな。

関東に住んでいた頃は公園やフラワーガーデンなどに咲いていたので、カメラを持って散歩しながらその花を見つけたら自然と写真に撮っていました。

繰り返しになりますが、その花は今住んでいる街のあちこちに咲いています。それが…その花を見かけるのがお他所に庭なものだから、もどかしくてもどかしくて。

あ、あの場所こそは!って何度思って助手席から振り返ったことでしょう。
その度に、やっぱりお他所のだった。。
と。

枝垂れ系や垂れ下がる系の花が好きです。
その花は蔓性なので茎がくるんと、花は垂れ下がるように咲いているので庭から歩道に姿を見せてくれています。私の都合で考えれば「撮ってください」と言わんばかりに。

歩道なら撮影しても大丈夫。

そんな気持ちが過ぎるのですが、カメラを向けて撮るとなるとなかなかの勇気がいりませんか?

さて、肝心な「事情」は謎のまま…

どこかの緑道や公園に咲いてないかな。
昨年、札幌の大通り公園に咲いていたのを撮っておけばよかったな。

と助手席でぼやく日々が続いたある日の夕暮れ。

緩い上り坂になった道路の登り切ったくらいの位置だったでしょうか。
助手席から見下ろした公園にその花の姿が見えました。
車を走らせていたので一瞬でしたが、「え、ちょっと、今咲いてたよ!公園に!」と大興奮で運転中の夫に話しかける私。

必死に探していたのを知っていた夫は、すぐに方向転換をしてその公園の近くまで行ってくれたのですが、駐車場が見当たらず、日も暮れてきたのでまた出直すことにしました。

1度、遠目から見た薔薇をその花と見間違えたことがあるので、今度こそその花であることを願うばかり。
翌日も晴れ予報だったので、午前中のうちに行こうと決めて眠りに就きました。

日焼け止めにサングラス、麦わら帽子と万全な装備をして、カメラにはオールドレンズの望遠レンズ。こんなに意気揚々と支度をして、あの公園であの花を撮る人って私くらいじゃない?なんて言いながら車に乗り込む。

今年の夏は北海道も本当に暑い日が続いていたので、昼間の外での撮影は控えたいところでしたが、今回ばかりは別。
青空に映える花を撮ることができるなら、いつもは不快に感じる汗を流しても惜しくありませんから。

暑い中、夢中で撮影する私のそばにいてもらうわけにはいかないので夫は車にいてもらい「じゃ、行ってくるね!」と何かに挑むように車を後にしました。

あの花である予想は80%くらい。

住宅地の中にある公園の、前日に見た場所にその花は咲いていました。

良かった綺麗…。

既に汗をかき始めていましたがこれからが本番。
じっくりと撮りたいところでもあるけれど、暑さに降参してしまう前に撮らなくては…。

さて、なんせガゼボの片側に絡まって高い位置に咲いているものですから、周りの家が入らないように。
そして青空が入るように、でもそうするとかなり明るくて、鮮やかな色が飛んでしまいそう…。

思いの外苦戦しましたが、なんとか。
公園のご近所では住人の方が外仕事をされていましたし、もしかしたら
窓から私の姿を見て、「?」と思われているのではないかといささか微妙な気持ちになりましたがここは自分の世界に入り込むことが大事。

青空と。  

吊るされるように咲く花。


凌霄花。−ノウゼンカズラ−

 は凌ぐ
 はそら

の意味があり、その名の通り天を凌ぐほどに高く咲くことから命名されたそうな。

花言葉は 名声・栄誉

花の姿がラッパに似ていることから、勝者に捧げるファンファーレを連想してつけられたとのことです。

なるほど、英名は Trumpet creeper だそうです

ここの凌霄花は中心部が少し黄色く徐々に薄いオレンジ色になっていて、関東で目にしていた種類と同じなのですが、この街に咲く凌霄花は全体が赤っぽいオレンジ色が多いよう。
「マダムカレン」や「アメリカノウゼンカズラ」という種類のようで、北海道に住むまでは見たことのない色でした。

私の中の凌霄花のイメージは中心に向かって薄くなるオレンジ色した花だったので、この公園で出逢えたのは本当にラッキーでしかありません。

ガゼボの中で影に咲いている姿も撮りたかったのですが、内側に咲いている花が少なかったのと位置が難しかったので最後に1枚。と思って撮った写真が一番お気に入りかも。もっと撮しておけば良かったかな、なんてちょっぴり後悔したのは帰りの車中。

それでも満足して、お次のお目当てのソフトクリーム屋さんへ向かったのでした。

眩しいほどの青空なのに、暑過ぎる北海道の今年の夏よ、もう少しお手や和からに。


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