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大総合商社で金太郎飴にならない方法② 〜自分を如何に差別化出来るか〜

前回は「その部署やチームじゃないと出来ないこと、そうでないことを区別し、優先順位を付け、それを曲げるな」という、今日以降綴っていくことの前提となる話をさせていただきました。

今回は大企業、大総合商社にいると意識が希薄になりやすい「差別化の重要性」についてお話できればと思っています。

そもそも「差別化」の意味とは

私は、「差別化」を「自身が所属するコミュニティにおいて、他者が出来ないことを実現出来ること」だと定義しています。

つまり、例えば私が経理部にいて、全員連結会計のスペシャリストである中、私もそうだったとして、それは「差別化されて」はいません

文字にすると当たり前のようですが、結構ここから履き違えている人が、大会社には多いように思います。なぜなら、このケースで言えば、「連結会計のスペシャリストになるのも簡単ではない」からです。そこで一つ満足感を得てしまうのです。

しかしこの場合、「連結会計のスペシャリストになること」は「スタートライン」であり、「何かしらのゴール」ではありません。もしくは、もしかすると、最初に目指すべきスタートラインではなかったのかもしれません。

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差別化=新結合

良くイノベーションのことを「新結合」と訳し、多様なものを結び付けることで全く新しいものを創造すること、と解釈しますが、私は差別化も全く同様だと思っています。

例えば、上記の例がもし新人だとして、もし最初に「連結会計」を習得しただけだったら、当然より信頼できる上司に営業部隊は相談してしまいます。その上司が受け取った仕事が降りて来るのを待つしかないですし、そんな仕事は面白くないに決まってます。

その新人が私だったら、「連結会計のプロ」✖️「経理とは思えないフットワークの軽さ」✖️「圧倒的コミュニケーション能力」で、「各営業からの人気者になり、連結会計に困った人から必ず最初に相談が貰えるようになる」とかを目指します。

営業の人達も、同じレベルのサービスが受けられるなら、上の人より若い人の方が聞きやすいし、コレポンが早くて幸せです。

ここに「英語力」とか入ってきたら「海外事業会社との面談でも連結会計を説明してくれる、気のいい経理マン」に昇格できます。

こうなれば、「名指し」で仕事の相談が来て、一気に仕事のフィールドと成長のチャンスが広がりそうです。

つまり、「何を掛け算していくか」が重要で、その掛け算する要素がオリジナルなものであればあるほど、その算出結果はより強いものになります

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何故差別化された人が大企業に少ないのか

ここまで書いたことも、当たり前のように見えます。では、何故大企業にはユニークな掛け算をする人が少ないのでしょうか。当方持論は以下の通りです。

①日々の仕事をこなすことが目的になってしまっている
 それまでに出来なかった仕事が出来るようになると、嬉しいものです。でも、横を見ると同じ仕事をやっている人がいるわけです。つまり、その仕事が出来るようになっても、差別化はされません。
②上司や部が用意した育成計画に疑問を持たずに沿ってしまっている
 「上司や部が用意する計画=他者と同じ」ですので、差別化されるわけがありません(もちろん、個別にオーダーメイドされた計画を作ってくれる上司や部は別ですが、そんなユートピア、私はまだ出会ったことはありません。。)
③人と違う努力するのを恐れてしまっている
 周りがやっていないことをやるのは、得てして怖さがあるものです。周りが勉強している資格の勉強をやっている方が、誰も聞いたことがない通信講座をとるより不安です。でも、周囲と同じ努力をしていたら、掛け算のアイテムも同じになってしまいます。

いかがでしょうか、結構当たっていると思うのですが。

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私の「新結合」

今の私を構成する掛け算の要素を並べると、以下の通りです。

プレゼンテーション力::元来高め
コミュニケーション力:元来高め
英語力:入社時TOEIC500点。今はどこに出ても恥ずかしくないレベルに到達。
会計:監査法人と渡り合えるレベル。
財務:買収先のFinancial Controllerとして活躍中
M&A関連知識:初期的なものを含めれば、二桁の買収案件を経験。その上で、大型M&A2件、ベンチャー投資2件を実現。
PMI関連知識:大型案件2件において、ブラジル・ウクライナに張り付き、PMIを実施。それぞれ成功を収める。
・・・etc

いろいろ書きましたが、それぞれを個別で見ると、どれもその道のスペシャリストには敵いません。英語力で言えば所謂帰国子女には全く敵いませんし、会計だて、KPMGとかDeloitteの人には勝てません。M&Aだって、外資系のM&Aアドバイザリースタッフには及びません。

でも、上記アイテムの掛け算は、結構オリジナルだと信じています。少なくとも、今勤めている総合商社さんの中では、まだ出会ったことはありません。

その結果、国内・海外問わず多様な部署の方からご相談をいただきますし、社内・社外のどこに出ても、物怖じすることはありません。だって、自分の走ってる道の前には誰もいないことがわかっているので

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「新結合」はどこから始めるか

オリジナルな掛け算が出来始めたら、楽なんですよね。あとは何掛けてもオリジナルだから。大事なのは一つ目、二つ目です。

私の場合は、入社4年目の審査部時代に「どの担当営業部よりも、どの審査部員よりも会計を本質的に理解している」という所に行けたのが、ターニングポイントでした。

どんな営業活動をしようと、どんな投資をしようと、最終的には会計というフィルターを通って税後利益に繋がってくる一方、審査部の人達は「ファイナンス」とか「バリュエーション」とかカッコいいものばかり勉強し、営業部の人達はもちろん営業活動で忙しい、と。

なので、そういう話をするときは、必ずしもその案件に関与していない経理部を打ち合わせに呼んでいました。ただ、そんな個別案件一個一個に経理の人たちは出ていられません。

そんな中、最終的なフィルターである会計部分について、個別案件を見るのが仕事である私が詳しくなったことで、営業からの使い勝手が格段に上がり、「唯一無二の審査部員」になれた気がします。

その後は、名指しで打ち合わせに呼ばれ、名指しで仕事が飛んできて、、、とタスクとチャンスが増え、そこからファイナンスを学び、M&Aを経験し、、、というように雪だるまが転がり始めました。

この私の話はあくまで一例ですが、「周囲が出来ないことを優先して習得しよう」と日々考えていたことが、当時ファイナンスとかの人気科目を勉強しない、という決断につながったと思います。

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第二章の終わりに

本稿を書いていて、途中に出てきた以下の「金太郎飴になりがちな3つの理由」は周囲を見渡して、本当にそうだなと感じます。

①日々の仕事をこなすことが目的になってしまっている
②上司や部が用意した育成計画に疑問を持たずに沿ってしまっている
③人と違う努力するのを恐れてしまっている

Noteを読まれる方々に、これに当てはまる方は少ないかもしれませんが、人間、ついつい易きに流れてしまいます。この①ー③に無意識のうちにもなってしまわないよう、是非お気をつけください。私も改めて自戒します。

ではまた第三章でお会いしましょう!!

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