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躓いて笑う日も 涙の乾杯も

 平和な人が好きだ。平和に生きている人、全身から平和なオーラを出している人。でもそれは、決して頭の中がお花畑の人を好きというのとは違う。お花畑は美しいのだけれど、それとこれとはなんか違うよね。先日、『吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂』に行ってきました。それはもう、幸せな時間で。久しぶりの生ライブ。平和が溢れていました。こんな世の中だし、なおさら感動した。ステージ上は、嘉代子さんの世界観で彩られていて、愛犬ウィンディもいて。野音でライブをするの、17歳からの夢だったようなんです。それを叶えてしまうんだ、凄いなあと。17歳からだから、14年越しの野音。最高な気持ちだったんだろうなと思います。もちろん、それまでにはたくさんのステージがあって、道のりはあの場所へ続いていて、そんな空間に一緒にいて、目の前で目撃して、幸運だったなと思うんです。三千人のうちの一人になれて。いつもは、曲それぞれの物語の主人公になって歌うのだけれど、今回は「ありのままの私自身で歌っているの」と話していて、凄く嬉しくなって、特別な時間だったんだなと感慨深いです。何より、嘉代子さんの夢が叶って、本当によかったなという感情です。これから物語が始まるの。嘉代子さんは、平和な方でした。つまり、好き。

そしたら

 星野源の新曲『そしたら』がとても素敵。きている。「君が現れてから どれほど経ったかな」で始まる。現れる、という表現。そうきたか。僕は、心を射抜かれた。不意を突かれた。凄く美しく、深みのある言葉だなと共感した。使いたい。現れるって、優しいし、誰も傷つけないし、ポンっと出てきた気もするだろうし、じんわり現れた気もする。言葉選びが好きなんだよなあ。久しぶりの星野源らしさの出た曲なんじゃないだろうか。昔の彼をちょっとアップデートした感。この曲について、新曲のオーディオコメンタリーでも話していた。他の詩もどれも優しく、彼らしい。温かい曲です。最近だと『私』も好きです。バナナマンの設楽さんへのバースデイソング(ほんとは日村にも、つまりはバナナマンさんへ)なんだけれど、設楽さん「そしたら」って言葉よく使うなあと思いながら、よく人のこと観察してる。近い人だからね。日村へは去年まで毎年だったけれど、デジタルで、今回のシングルに入らなかった『折り合い』も(10周年シングルボックス『GRATITUDE』には収録してある)本当に好きで。よく歌う。『そしたら』も口ずさむ曲になりそう。源さんのCDの初回限定盤は本当にボリュームがあって特典も特典映像も毎回スペシャルにしてくれている。ファンとしては、とても幸せで。「ニセ明」を、みんな知ったらハマると思います。知ってる人!語りましょう。朝まで喋れます。今回のシングル『不思議/創造』も素晴らしく、2つのライブが収録されていて、今では珍しいオーディオコメンタリーもあって、合わせると4時間以上お友達の映像作家兼監督の山岸聖太さんと喋り倒している。もう10年以上の仲。ラジオ感覚で聴き流すのも、映像も観ながら聴いても心地いいです。ふざけたり、真面目に話したり、彼の人柄がよくわかる。今までの特典映像も、お腹抱えて笑ってしまうような作品もあって、おすすめです。感謝盤の10th Anniversary Liveで「画面越しでも別にいいじゃーん!」と曲中に訴えていて、特効薬も無くあの一寸先が闇のような不安な時間を生で収めてある。あの時代を、この時代を生きて、生き抜いた先にある時間、特別になるんじゃないのかな。特別にする。そうしようね。源さんも平和な人です。つまり、好き。

ドラマ『コントが始まる』

 結構な衝撃を受けたドラマだった。ちょうど同年代の役者が芝居をして、菅田将暉も言っていたけれど、「最後の青春」の群像劇を演じていた。毎週が楽しみで楽しみでしかたなかった。何なんだろう。ここまでハマるドラマは、数年にひとつとか、そうあるものではない。作中に「私が頑張るからダメなのか、頑張り方が間違ってるのか、もう何が何だか分かんなくなっちゃって」という言葉があって、僕の人生だなと思った。時々、どう頑張ったらいいのか、わからなくなってしまうよなと。どうしても、何も上手くいかない時ってありますよね。苦しいけれど、作中の里穂子さんは救われて、本当によかった。マクベスの三人は、それぞれ苦痛や楽しみを持っていて、それがどうしようもなく、僕には生で痛かった。苦悩も幸せも、重なった瞬間があって、そんな一時を画面越しではあるけれど、共有できたのがとても嬉しかった。脇役も完璧。もう、みんな主役。何より僕は、潤平と奈津美が幸せになってくれたのが嬉しかった。二人が大好きだったし(仲野大賀は最高)、距離感も信頼関係も。二人のお話の回、とても感動してしまって「そっかー」とか「そう?」とか「くー」とうめいたり、嘆いたり、喜んだり。素敵な回でした。柄にも無く、僕は、サプライズというものが好きで、奈津美が浴槽から飛び出した時は、すっごくびっくりしたし、潤平の気持ちに入っちゃってて、ものすごく嬉しくなったし、少しぎくしゃくしていた仲を春斗はじめ周りのみんなが絆を上手く繋いでいて、魅力的な瞬間だったし、人達だった。あんな幸せなサプライズを、僕はこの先誰かに贈ることができるのだろうか。自分のことに置き換えて考えてしまう。あれほどビックなサプライズ、本当に大好きな誰かへ、ひとつ贈れたら大大大成功な人生なんじゃないかなと思う。みんな、それぞれの道へ進んで行ったけれど、何が正解なんてわからないけれど、幸せなら、それは悪くない方なのは確かだから、いいんじゃない?それを目指して、頑張っていこうかな。つまり、好き。

ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』

 人って、三回結婚できるし、三回別れることができるんだ!と驚いた。もちろん、もの凄く体力のいることなんだろうなと萎縮しながら観ていたけれど。みんな素敵だったなあ。それぞれの人が、結婚できる愛くるしさを持っていたし、別れる時計のネジの緩みみたいなところを持っていた。それも含め、愛おしいから、フィクションであっても三人の元夫との関係が続いたんだろうなと思う。かごめちゃんの死については、結局何も語られずのままだったな。寂しかったな。最後までいてほしかった。喪失感は残るよね。死なんかを美談にしたくないけれど、なんか去り方まで美しかったな。久しぶりの坂本裕二脚本作品で、嬉しかった。ドラマの世界に帰ってきてくれて。前作の『anone』もとても好きだった。毎週、息つまる作品だったけれど、大切な何かを細く、拙く、繋いで。優しくも、苦しい作品だった。他にも、『カルテット』も『Mother』も『Woman』も『それでも、生きてゆく』も『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』も。名作だらけ。演出家でも、かなり変わるんだろうな。坂元さん、演出にも多少なりとも関わっているのだろうか。『大豆田とわ子…』は、今までの作品とは少し違くて、それより少し快活で、どちらかというと『最高の離婚』(この世で一番好きなドラマなんだけれど)に近いものがあったのかなと。『最高の離婚』も結婚を題材にしているし、終わりかたの美を追求してるドラマで、でも今回のドラマは、終わった後の話で。三人の元夫、それぞれの終わりかたも知りたかった。サイドストーリーにしても面白いんじゃないかな。見せないという粋なところもあるんだろうけど。ブロッコリーでの戦い、あれは新鮮だったな。ピヨピヨ、ピヨピヨ。面白かった。拙い幸せと、大切な不幸せが、たくさんつまった、歪んでいるようで真っ直ぐなドラマでした。個人的には、結婚については考えたくない。否定的になってしまうから。でも、それでも、つまり、好き。

 これを書きながら、源さんの『GRATITUDE』のシングルの特典映像を最初から(2010年〜、このボックスほんとすごいよ、あんまり人におすすめすること無いけれど買った方がいい)観ているんだけれど、10年でこれほど人は変わるんだなと思った。もし、大切な人ができたら、一緒に観たい。メインメンバーに吉澤嘉代子の野音にいた大地くんとか伊賀さんもいるし、不思議な感じ。懐かしいよ。ファーストシングル『くだらないの中に』とか初アルバム『ばかのうた』とかから考えると本当に凄い。「どうしたらもっとPOPな歌声になりますかね」とか言っている。今では、日本のPOP界の先頭を走っているような人なのに。ディスコやソウルミュージック、R&Bを融合させた唯一のYELLOW MUSICを確立している。今では、世界に欠かせない人。僕にとっては、それくらい大きい人。10年は大きい。昔の不器用な源さんが、本当に愛おしくて。でも人は、やっぱり大人になるんだなと。単純にいうと明るくなった。表情も。でも、笑顔は変わらない。本質は変わらないんだろうな、あの優しさ、あのぎこちなさ、あの真面目さ、人と戯れる時の面白さ。つまり、好き。

 僕の最近の日々はというと、やっぱり寂しいことや悲しいこと、悩みみたいなもので溢れている。それでも、梅雨真っ只中だけれど、そこまで暗くならず、生きていけてる方かなと思います。元気でありたい。みんな(そんなに周りに人がいないのだけれど)と、楽しく話していたい。源さんみたいになりたい。そんな10年後くらいを願いながら、生きています。皆さんも、心身を大切にして、守って、大事に生きてください。僕の「ため息」を読んでくださりありがとうございました。感謝しています。どうか、良き日々を。

 

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