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自分の拠り所を自分自身にできたらいいな。

 甘えたくなった時、寂しい時、誰かに話を聞いてもらいたいとき。その一番の相棒が自分自身であったら、いつでもどこでも安心していられる。これは本当のことであり、わたしたち人間がわざわざしないでいることでもある。わたしたちは分離して、別々の人になった。だから、気を使ったり、気を使われたりしながらコミニュケーションをとる。弱気になった時、ふと誰かの顔が浮かぶ。それはいつも同じ人ではないかもしれない。ただの気分や、感覚や、記憶によってその誰かは浮かび上がってくる。わたしはそれを解決したくて声を掛けるわけではない。情報や知識なら、AIの方がよっぽどたくさん持っているから。わたしは人間と話がしたくなる。わたしは人間に甘えたくなる。
 
 自分の拠り所が自分自身になったらいいなと思う。だけど、思うだけ。もし本当にそうなってしまったら、わたしはまた寂しくてたまらなくなると思うから。抱きしめたり、笑ったり、髪を撫でたり、目の前にいなくても声を聞いたり、言葉を贈ったり、絵を描いたりして、わたしはわたし以外の人間に寄りかかる。この不安や寂しさから逃れたいわけではないんだ。きっと。これは、わたしがわたし以外の人たちとひとつにつながる手段なのかもしれない。

 大きな視点で言えば、あの人も、あの人も、世界も、このコップも、風も、木々も、本も、パソコンも、全部わたしだ。だから、本当の本当はわたしはわたしを拠り所にしている。わたしとあなたは違うものだと考えれば、頼りにするのが難しい。タヒチの友だちと話した時に、タヒチの挨拶にはMauruuruという言葉があると教えてもらった。その言葉には"You can count on me"という意味も含まれる。これは「いつでも頼りにしてね」ということだ。この言葉はすごいと思った。書いている今も、これはわたしにとてもとても大切なことを伝えているという感覚がある。世界を信頼する。簡単に言えばそういうことだと思う。だけど、この言葉が腑に落ちるまで、約2年かかった。今わたしの胸はとてもあたたかい。世界を信頼する。頼りにする。拠り所にする。それは全てわたし自身だ。

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うえかわ聡美 |言葉|創作|ひかりの羽のクラス
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