日本の教育がイケてない背景(2)
家庭教育の崩壊も一つの要素です。
教育がイケてないという話になると、どうしても教育機関や教育委員会の問題に注目されますが、実はそういう教育機関にしてしまったのは、子供を学校に通わせている家庭に問題があったりします。
情報モラルやネット人権の講演で学校に訪れた際、学校側からはまず口にはしないのでこちらから水を向けると出るわ出るわ。家庭の問題が学校現場を疲弊させているのであろうということがヒシヒシと伝わってきます。さすがに言葉は選んで語られますが、ストレートな校長だとそのものズバリおっしゃることがあります。別に暴言ではありません。事実です。
家庭教育をせずに学校に放り込む。そういう時代もあるにはあったのですが、今とは違います。かつての放り込みは学校にお任せする代わりに、家庭は学校のやり方には口は出さない。今では厳重に禁止され、虐待行為とも言われてしまう指導という名の暴力も、本人が問題行動を起こしたということであれば、家庭からクレームが出ることはありませんでした。寧ろ、学校に呼び出された保護者が平謝りで、目の前で子供を叱るという感じでした。
暴力は褒められたことではありませんし、暴力なしで指導するのが(能力のある教職者であれば暴力は一切必要ない)真の教育者であると思いますが、少なくとも学校が家庭とは違う一定の役割を担うという意味では機能していましたし、保護者は教職員に対して敬意を払っていました。
今はどうでしょうか?先生の陰口は言うわ、家庭の役割を学校に期待するわ、自分たちの方が上という目線で学校に好き勝手クレームをつける人が増えているようにも感じます。昔から一定数そう言う家庭は存在していたのですが、今はその一定数ではないレベルで学校に対してクレームをつける人がいるようです。所謂、不良と言われいる児童生徒の家庭に限らずということです。
ストレートな言い方で誤解を恐れずに言うのであれば、馬鹿な親が増えたということです。馬鹿というのは学校の成績云々の馬鹿ではありません。人としての基本的なことが理解できず、家庭において子供と向き合えず(自分の子供の指導や躾ができない)、自分自身も大人になっていない見た目だけ大人になった人のことです。
自分中心の考えを押しつけ、それが通らないと逆ギレする。自分が常に正しいもしくは正しくないことを理解していても無理を通そうとする。自分たちの責任を果たさず、全てを学校に丸投げし、学校の責任にするということをやっているのですから、学校現場が崩壊するのも当たり前です。
最近の人はストレス耐性が低いという現実もありますが、それ以前の話のことが多いのです。
人としての基本的な立ち振る舞いや価値観、考え方、他者へ敬意を払うことなどは学校で学ぶことではありません。道徳という授業がありますが、あれは本来、家庭でやるべき内容です。今は家庭で何もなされないことが増えているから、道徳教育をもっと充実させよというおかしな意見が出てくるのです。家庭の問題を学校の問題にすり替えているからです。
とはいえ、大人になっていない見た目だけ大人の人が子育てもどきをしているので、家庭教育をせよと言ってもどうやって良いのかがわからないというのも現実でしょう。
親はなくとも子は育つということで、はちゃめちゃな家庭でも子供はスクスク育つこともありますが、問題を起こす子供の家庭は、かなりの確率で問題を抱えています。親の問題が子供で反映されているだけなのです。
無論、学校自体、教職員自体に問題がある場合も増えています。それは大人のような子供が親になっているのと同じく、大人のような子供が教職員になっているからです。今回は家庭教育をテーマにしているので深くは触れませんが、すべては今の親となる人の問題とも言えます。
学校教育を変えていくためには、家庭教育環境も変えていく必要があります。即ち、大人がまず変わらねばならいということです。その前提で教育に向き合っていくことが、イケてない日本の教育を変えていくためには必要なことです。
政府のなんちゃら委員会などで偉そうに能書きを述べている教育の専門家と言われる人たちは、こういう問題の本質には触れずに、学校をどうするかというある意味、表面のことだけをやろうとするからうまくいかないのです。
本当に変えたいのであれば、まずは事実を正確に捉え、不都合な事実にも向き合い、本質から見直していくことが必要でしょう。
今の文部科学省、各自治体の教育部局・教育委員会では無理でしょうね。自分たちのやってきたことや今やっていることを否定することから始めなければいけないのですから。
もし本気で教育を変えたいというのであれば、無償でも全面的に協力させていただきますので、本気のメッセージと共にご連絡下さい。
著者:原田光久(ひかりば 代表 / コミュニケーション・プランナー) ●社会問題解決アドバイザー、新規事業開発・地域創生・経営支援 ●行政・教育機関・民間企業で研修・講演・IT推進をサポート ●連絡先:harada@hikariba.com