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脳卒中後の痙縮に対するボツリヌス療法について思うこと

hikari整体サロンのよしながです。

今日は脳卒中患者さんの後遺症である痙縮治療の一つ、ボツリヌス療法について書こうと思います。

まず初めに、痙縮とは、筋肉の異常な緊張(つっぱり)をもたらす症状のことです。
痙縮の程度が強い場合に、関節を動すことが難しくなり、また麻痺側の手足だけでなく体が動きづらくなるなど、着替えや歩行などの日常生活動作に支障をきたすこととなります。

ボツリヌス療法は、痙縮が起こっている筋肉に対して、筋肉の緊張を和らげるためのA型ボツリヌス毒素製剤(商品名ボトックス)を筋肉に注射します。

ボツリヌス毒素とは、ボツリヌス菌が作り出す神経毒素で、筋肉を動かす神経から放出される伝達物質(アセチルコリン)をブロックし、筋肉が弛緩する作用をもたらします。また数ヶ月後(おおよそ3〜4ヶ月くらい)には、神経枝の新生により再開通し、筋肉が弛緩する作用は消退します。


ボツリヌス療法に対して、賛成か反対かで言うと
どちらとも言えません。(どっちやねん 大阪的ツッコミだけど怖くないよ)

私が診ている方でボトックス療法を受けるか受けないか悩んでいる方がいる場合には、人それぞれによって、回答は異なりますが、

『筋緊張の高さが動きを阻害している場合には、受けてみる価値がある』とお伝えします。
し、その方の要望(後程記載)を聞いた上で、どの筋肉に打った方が良いと思うかをお伝えしています。

ボツリヌス療法は 麻痺を回復させるためと、考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、
ボツリヌス療法は麻痺を回復させるためのものではなく、痙縮を改善するためのものです。

そのため、ボツリヌス療法を受けただけで麻痺が回復すると思っていた場合に、
ガッカリされた方もいらっしゃるかと思います。
じゃあ、麻痺が良くなるのに、関係しないの?という疑問が湧いてきますが、
随意的な運動を行う妨げに、痙縮が関わっているなら、麻痺がある手足が動きやすくなることは多いにあり得ます。
例えば、足首をご自分のお顔の方に向ける「背屈運動」を行う際に、ふくらはぎにある筋肉が痙縮をして邪魔をしていた場合に、ボツリヌス療法を行うことによって、背屈運動ができるようになった方もいらっしゃいます。

麻痺を回復するためにボトックス治療を受けたい、受けるという場合には、
治療効果がある期間内に、対象部分となる部位を動かし促通するなどのリハビリが必要です。


個人的に 打つ必要がないと思う場合は、
筋緊張が低下し弛緩している方適切にコントロールできている関節や弛緩している筋肉に対してです。
また、効果が見られなくなっているにも関わらず、同じ場所に惰性で打ち続けている方。
(治療効果を確認することなく、3〜4ヶ月に1度打つことが ”普通”になっている)

また、度々、注射した場所が硬化してしまっている方もお見受けします。
硬化しないようにストレッチやダイレクトストレッチなどを行う必要があると思います。

効果的にボツリヌス療法を行うためには、

『今のご自身の身体の状態と、どうなりたいかを明確にすること』


が大切です。

と言うのは、
ボツリヌス注射を打つ際に、医師や理学療法士、作業療法士『と』相談して、対象となる筋肉を選定していると思います。
大前提としては、対象となった筋肉にしっかりと打つことができること。
これは医師の施注技術の問題です。
(筋肉の特定が難しい場合には、超音波や筋電図を使って確かめて打つと思うので、ハズレはしない。。と思いたい)
‥大きな声では言えませんが、医師の施注手技の技量も効果に関わっていると感じます。(小声)

次に、『対象となる筋肉を正しく選ぶことができているのか』です。


ここが、すごく難しい、というより、患者さんと医療者のコミュニケーションが上手く取れていないように感じています。

例えば「手首が手のひらの方に曲がって、指も開かない」
となった場合に、どの筋肉を対象とするか?となります。
深指屈筋?浅指屈筋?橈側手根屈筋?尺側手根屈筋?それとも他の筋肉?
今現在の、その方の腕のそれぞれの筋肉の状態を確認して、
その状態を改善するための筋肉を選定する必要があります。
(セラピストが患者さんの身体を正しく評価する技量が必要です)

失敗例という言い方は良くないかもしれませんが、
ボツリヌス療法を受ける前までは、麻痺側の親指と人差し指(の側面)を使用して、手で物をつかむことが出来ていたのに、ボツリヌス菌注射を打ってから、力が入らなくなって、物を挟むことや掴むことが出来なくなったという方もお見受けしたことがあります。
この場合に、この方が打たれたと思われる長母指屈筋は打つ必要がなかったむしろ打たない方が良かったと私は思います。

「親指が今まで動いていたことや、打つことによって親指が動かなくなったこと、などを医師にお伝えしましたか?」
と伺ったところ、
「先生(医師)が打つ場所を決めるのと、アレコレ話しにくいから、特に何も言えない」
と仰っていました。

完全に、コミュニケーションが不足しています。

ボツリヌス療法に限らず、遠慮して医師に思ったことを言えない聞けないという方にしばしば遭遇しますが、どんな時でも、治療は受ける側のためであるべき、だと私は思います。

打ってほしい筋肉をご自身で指定しお伝えすることは、なかなか出来ることではありませんし、その必要はないと思います。

ただ、ボツリヌス療法による最大限の効果を得るために、

・現在のご自身の身体の状態
(肘が曲がって衣服が着にくいので肘を伸ばしやすくしたいor腕が身体の中に入ってしまうor指のどの部分が開かないetc..)

・どのような治療効果を求めるか
(肘を伸びやすくしたいor手首が上に上がるようにしたいorかかとが地面につくようにしたいetc..)

・打った後に具体的にどのような身体の変化や動きの変化があったか
(肘が伸びやすくなっただけどまだ硬いor肘の伸びる力が全く入らなくなったor腕が上がるようになったor肩こりが減ったor歩きやすくなった)

を医療者にお伝えするようにしましょう。

ボツリヌス療法を受けたあとの変化を医師やセラピストに伝えることで、次回に受ける際、対象となる筋肉を効果的に選定することや容量を決定することの材料となります。

そのため、小さな変化もメモしてお伝えすると良いと思います。

また、麻痺を回復するためにボトックス治療を受けられる方には、
治療効果がある期間内に、対象部分となる部位を動かし促通するなどのリハビリが必須です。(大切なことなので2回も言ってみました)

治療を受けるなら、最大限の効果が出ますように。


hikari整体サロン
吉永光恵


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