目や耳より大切かもしれないもの

仕事をするとき、好きなモノを使って仕事をするときほど、気持ちいいことはない。

自分の大好きなデザインのカップでコーヒーを楽しむ。自分の大好きな植物を飾る。好きな写真をデスクトップの背景に設定する。

別に何が正しいとか、何が素晴らしいかって話じゃない。ただ、モノをこだわるなら、ぜひ、もう一つこだわった方が幸せかもしれない。という話。

私は何かにこだわるとき、見た目にこだわることが多かった。好きな色、好きな形、好きなデザイン。あるいは、音にこだわることもあった。イヤホン。ノイズキャンセラー。ワイヤレスでも音質のいいモノ。

でも、ふと、質感にこだわってこなかったと気づいたのは、久しぶりに再会した行きつけの文具店で、EDiTというノートを手に取ったときだった。

今まで、ノートはデザインで選んでいた。サイズやページの線(方眼か横線か)、あるいはポケットの有無やページ数。でも、EDiTというノートを手に取った瞬間、質感に一目惚れした(一触れ惚れといった方が良いかもしれない)。しっとりと吸い付いて、でもしつこくない。革とノート、というのは自分に知らない取り合わせだった。

ふと、考えてみれば、仕事をしていて、目の次に使うことが多いのは触感なんだよね。キーポードのタイピング感、椅子の座り心地、資料を入れるファイルの材質。モノにこだわるなら、ぜひ質感・触感にもこだわってほしい。

歴史のある街に行けば、変わった材質の小道具に出会える。たとえば、古本の町”神保町”の三省堂には、畳で作った財布が置いてある。畳のツルツルとしているのに、それでいて落ち着く感覚は、日本人ならきっと分かると思う。また、越戸”川越”のクレアモールには、色紙で作ったメモ帳があった。普通の紙より、少しだけ厚みとざらつきがあるのが、ペンを吸いつけて放してくれない。浅草は、もう言うに及ばない。

モノにこだわるなら、ぜひ質感・触感にもこだわってみてほしい。きっと、今よりも更に一歩、モノを大切にする暮らしが始まるから。

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