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短編小説『Mine』

柔らかな毛布でぬくもりを作りながら、朝日がのぞくまで語った二人の幸せな夢

冷えた私の手を握りしめながら”世界の愛”を教えてくれたこの狭い部屋で、私は今、熱を失った紙コップのコーヒーを中途半端な力で握りしめている。

「リカの好きなスイーツだから」とあなたが買ってきたスイーツを箱にいれてまた冷蔵庫に戻す。今はちょっと食べる気になれないから。


『Mine』

#オンライン展覧会

※SIX LOUNGEさんの『リカ』という曲の
ファンストーリー&アートです。

✳︎以外解説

本ショートストーリー解説①
冷え性なリカを温めながら、大げさな世界の愛を狭いワンルームで語る彼。
リカは冷えた手をでコーヒーで温めるくせがあるが、時間が経ったやわらかい紙コップは冷めてしまい、持つのが難しくなっている。まるで二人の関係性のようにちょっと歪なグニャグニャした思いに気づく。
「リカの好きなスイーツだから」と彼が買ってきたものは、もう彼女が好きなスイーツではない。今は好きなものや好みが違うとは言えないからとりあえず後で食べよう、と冷蔵庫に戻す。リカの冷えていく気持ちを表現している。


本ショートストーリー解説②
握りしめて教えてくれた愛は実は暴力だった。彼は我に返り、スイーツ買ってくる。
それを待っている間もリカの気持ちはどんどん
冷めてきている。しかし弱いリカは逃げ出すことも結局できずにコーヒーが冷めてしまう時間に逃げることはしない。
傷がしみてスイーツですら食べれないことも気づけない彼。リカは勿論、食べる気にもなれないのであった。

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