「カンガルージャーキー」ep.10
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「りょうこちゃん!」
一番初めに気づいたのは真司だった。後ろを向いていた黒髪の女の子が振り向いた時、何度も会っているはずの彼女に、俺はドキリとした。真司の振っていた手が一瞬止まっていたのを、俺は見過ごさなかった。こいつも同じだ。
久しぶりに会った涼子は、たった一カ月だけの滞在とは思えないほど現地に溶け込んでいるように見えた。少し灼けた肌と、日本では付けないような大きなピアスをして、幾分日本のときよりも薄めの化粧は、元々の彫刻のような彼女の顔をいっそう引き立てていた