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個人が市場を選ぶという考え方 - キャリアの選択や個人の活動を始める際に重要なこと
こんにちは、Hikaru Kashidaです。
最近頑張ってnoteを書いています。
今日はそんなnoteというサービスで記事を書いていることの意味について話したいと思います。いや、というよりも、noteを通してこの記事でお伝えしたいのは、
「個人が何かを始める際にも、企業と同様に市場の選定が大事だ」
ということです。
結論だけ図で貼ると、こうなります。
この記事で理解してほしい考え方
よければ最後までお付き合いください。
スタートアップと市場の選定
さて、突然ですがスタートアップ(新規事業)が成功するためには、いろんな要素が必要になると思います。
起業家の経験もそうですし、チームの構成、資金調達、投資やリリースのタイミングの判断など、様々なファクターが存在します。
しかし、スタートアップの成功の可否を左右する最も大きなファクターは『市場(マーケット)の選定』だと言われます。
ある調査に寄ると、スタートアップが成功はその80%がどの市場を選んでエントリーしたかで説明がつくとも言われています。
市場の選定が最も重要である。
あなたのスタートアップのアイディアの育て方(Takaaki Umedaさん)より抜粋。 余談だが、このスライドはとっても素晴らしいので、新規事業に興味がある人はぜひとも読んでみてほしい。
これが本当だとすれば、『成功したければマーケットの選定がほぼ全てだ』といっても過言ではないでしょう。
個人の市場選定
ところで、今回はスタートアップの話をしたいわけではありません。この記事では『個人が市場を選定する』というテーマで話をしたいと思います。
何故このテーマを選んだか、についてちょっと説明したいと思います。
初めてnoteを書くようになってから、この記事の執筆時点で約半年が経ちました。 書いた記事数はさほど多くはありませんが、楽しく書かせてもらっています。noteは非常に自分には合っているように思います。
初めて書いたnote。2018/9/11
記事を書くという行為は(少なくとも僕にとっては)それなりに時間を要します。つまりはリソースを食うので、これを行うかどうかの意思決定は会社で言えば、あるマーケットにエントリーするという判断に相当します。
人生の時間は有限なので、同じ時間を使うならば有望なマーケットに賭けたいものですよね。
半年経って振り返ると改めてよくわかるのですが、今の時期のnoteは非常に有望なマーケットだと思います。
この、『今の時期』というのがひとつのキモです。
ところで、すっごい関係ない話なのですが、「これが肝心」という時に、
・これがミソ
・これがキモ
という言い方がありますが、僕は文章においてはなるべく『キモ』の方を使いたい派です。なんとなく『ミソ』という自体が間が抜けて見える気がするので...という非常に主観的な理由なのですが。
ただ、食材としては肝系はさほど好きではなく、味噌のほうが圧倒的に好きなのでそこは悩ましいところです。
ラーメンでも味噌系が一番好きです。麺処 花田とか味噌屋 八郎商店なんかがとても好きです。食べたことない人は是非。
麺処花田。食べログの公式写真より引用。
有望なマーケットとは何か
すみません、話が逸れました。
さて次に、有望なマーケットとはなんぞや?となるのですが、これはいろいろな定義があると思います。
僕が『個人の市場選定』において考えると良いと思うのは、Product Portfolio Management(PPM)です。Boston Consulting Groupが発案したと言われる、超有名なフレームワークですね。
PPMが何かということを超雑に説明すると、
① 成長率が高いマーケットがイケてるよね
② 自分の市場シェアが高いほうが嬉しいよね
=> ①/② の両方を実現できるのが自分にとってベストな市場よね!!
という考え方です。
下の図で言うところの、右上の『Star』が一番いいよねという話です。(ただ、時間がたつに連れてStarはCash Cowになるのですが。)
Product Portfolio Managementのマトリクス
では次に、『市場成長性が高く』『自分の市場占有度が高い』市場とは例としてどういうものか、そしてそれを選ぶと何が良いのかという話をします。
参考になるかやや自信がないですが、自分自身の例で話をさせていただきます。
2018年にnoteを書くということ
僕は2018/9にnoteを書き始めました。
その時点ではそこまで深く分析していたわけではないですが、自分がエントリーするかどうかの観点に立った時に、noteという市場の成長性と、自分がある程度の占有度(プレゼンス、といったほうがいいかもしれません)をその市場で確保できそうかということは獏とは考えていました。
noteの成長性
noteはいま(2019/3現在)とっても伸びているサービスだと思います。
サービスの提供自体は数年前から行っていましたが、ここ1年くらいでnote上で書かれた記事を目にする機会がどんどん増えて来たという実感が有りました。僕がnoteを始めたのも、そんな力強い流れを感じたからでした。
ちょうど、noteの利用者数の推移をnoteを運営するピースオブケイク社が発表していたようなので貼っておきます。
noteのMAUと登録者数。
ピースオブケイクの発表より。
ここ一年間ほどの伸びは非常に美しいものがありますね。どんなグロース施策を投下したのでしょう。教えて深津さん。
確かにこの数ヶ月、ツイッターを使っていたり、周囲からシェアされる記事を見ていると、noteが少しづつ存在感を増すのを感じていました。
定性的な感覚でしたが、それはまんざら間違いではなく、数字の面で見ても、いまのnoteは非常に高い成長率を持ったサービス(=個人と入る価値のある市場)であると言えそうです。
この感覚というのは重要だと思います。
自分が使おうか迷っているサービスのMAUを逐一ウォッチしている人はあまりいないと思いますし、そもそも多くの成長途上のサービスは経営数字をそれほど頻繁には発表していない事が多いですから。
市場占有(自分のプレゼンス)
さて、市場占有性についてはどう考えればよいでしょう。
市場占有性というちょっと硬いですが、noteというサービスへの参加を考える時には、これは『自分がnoteの中でプレゼンスを持った存在になり得るか』という問だと考えると良いと思います。
これは二つの側面から考えることができます。
① すでにマーケット内が過度な群雄割拠で無いか
② 自分の力がそのマーケットで通用するか
の二点です。このあたりは法人の市場参入と似ていますね。
さて、これは観測した僕の考えに過ぎないのですが、2018/9時点で①については、『過度な群雄割拠』とは思えませんでした。(もちろん、面白いクリエイターさんはたくさんいました。)
まず第一に、フォロワーランキングを見た時に恐ろしく桁数の違う人で埋め尽くされているというわけではないということ。もちろん多くのファンがいる方もいるのですが、少なくともTwitterやInstagramと比べれば100倍マシな競争率に思えました。
第二に、オススメの記事などを見ていても、いいね数がとんでもなく多い記事ばかりでも無かったということ。
そして、周囲の人が後押ししてくれたのもありがたかった。
noteを始めようかなと思案中です。
— 樫田光 | Hikaru Kashida (@hik0107) September 10, 2018
よみたいです!
— Naoki Asaka (@__asachi__) September 10, 2018
しかしそれだけでは確信からはやや遠い。
そこで、②の要素検証も兼ねて、それなりに力を入れた(とはいえ入れすぎないくらいの塩梅)記事を一本投稿してみることにしました。実証実験というところでしょうか。
=> 再掲ですがこちらの記事です
いいね数は100程度でしたが、この記事に対してnote運営からの反響があったことが決め手となりました。具体的には、
・note運営のオススメに掲載された
・先週もっともいいねされた記事 認定された
あたりです。
あと何かあったかもしれませんが、半年前のことなので忘れました。
ともかく、微々たる成功ではあったのですが、僕にはnoteというマーケットが①/②の両方を満たしている可能性を見いだすことができました。
noteは僕にとってstarマーケットとなりうる....?
ということで、上記のマトリクスのX軸/Y軸の両方の有望度がぼんやりとですが自分の中で実証できたので、僕はnoteという市場への本格的な参入を決意しました。
執筆時点で約半年間。フォロワーは5,000人ほどで、記事には一定の反響もいただくことができ、楽しくやっています。
note始めて半年経ちました。
— 樫田光 | Hikaru Kashida (@hik0107) March 16, 2019
遅筆なのと記事あたり文字数が膨らみがちで、あんまり記事数は多くないですが、少しづつテンポが出来た気がします。
一部を有料化したのもグロースしがいあって楽しい 😆
[stats]
フォロー : 5,000
合計PV : 11.7万
いいね : 2,200
記事 : 17
いいね100以上の記事 : 11 pic.twitter.com/0IDVvB6fsk
まだまだプレゼンスが高いとは胸を張っては言えませんが、書きたい記事ネタもたくさんあるので、もっともっとこのnoteという市場を耕していけそうな気はしています。
花形市場であることの価値
僕がnoteを楽しく続けつつ、それなりにフォロワーさんの数をグロースできているのには、自分の執筆能力云々というよりは、noteという市場選定によるところが非常に大きいと思っています。
先程のスタートアップの話ではないですが、もしかしたら80%以上はnoteという市場のチカラかもしれません。
個人が自分の花形市場に参入することの価値とはなにか?
それは一言で言うと、『そのマーケットと一緒に成長していける』ということではないかと思います。
登録者が増えれば自分のフォロワーも増える
noteは新規登録者のオンボーディングプロセスとして、運営からのオススメのクリエイターをフォロー推奨するような導線を入れています。
選定基準のアルゴリズムは不明ですが、現時点でのnote内でのフォロワー数や直近での記事の影響度は間違いなく無縁ではないでしょう。一定のプレゼンスを持てていれば、次々とやってくる新規登録者に対して自分をお薦めしてもらうことができます。
『成長している市場』であれば、この新規登録者の数は非常に期待できますよね。
僕もこの登録導線でのお薦めに入れてもらっているようです。そのせいか、特に直近で記事を出していなくても、一定のフォロワーの増加が日々見られます。ありがたいですね。
登録時にオススメされる。ありがたや。
noteの登録導線でのレコメンド pic.twitter.com/pGQx1GqUyv
— ひかるmemo|フォロー非推奨 (@Hik0107M) March 18, 2019
これは単にフォロワーが増えるのがありがたいという以上に、noteというサービスと共に自分が成長できるような感覚を持つことにつながるので、サービスへの愛着も強くなりとても良い効果を生むように思えます。
運営が協力してくれる
この図は、noteのCXOをつとめる深津さんの記事、noteにおけるコア体験と相互作用メモから引用させてもらったものだ。
noteは書き手の記事と読みたい人が出会うマーケットプレイス型のモデルなので、Supplyサイドに該当する書き手は非常に重要な存在のはずです。(僕の所属するメルカリでも出品者さんはとても大事な存在です。)
なので、ある程度フォロワーがいて、クオリティのある記事を書いていれば運営側は強力にバックアップをしてくれます。
これは一部は、僕個人の主観です。
noteはおそらく全てのクリエイターさんを支援していると思います。
ただ、記事の注目度が高ければ、相対的により大きなバックアップを提供してくれるのは自然とそうなるものかなと。
公式のtwitterがつぶやいてくれたり
メルカリでの3年間の総論
— note(ノート)【公式】 (@note_PR) March 13, 2019
株式会社メルカリにてさまざまな経験と知識を得た樫田光さん @hik0107 。4月から活躍の場をメルペイに移すこのタイミングで、メルカリ入社からの3年間を振り返るnoteをかいてくださいました。https://t.co/HbqGKwyg3N
マガジンを紹介してくれたり
【有料マガジン紹介】分析・KPIの最先端を読む
— note(ノート)【公式】 (@note_PR) March 19, 2019
メルカリのデータアナリストチーム・Hikaru Kashidaさん @hik0107 が、分析を中心に思ったこと徒然についてのマガジンです。図表を使って変わりやすく書いてくれています。https://t.co/Y9IYxUA4Ic
フォロワー数が激ツヨな中の人も紹介してくれたり
メルカリの人のデータ分析マガジンきになるhttps://t.co/qlypzuMUJf
— 深津 貴之 / THE GUILD (@fladdict) February 26, 2019
助言をくれたり
有料マガジンのほう、もうちょっと無料パートで読者がお持ち帰りできる部分があるともっと伸びるかと。(無料パートで価値を伝えきれない記事が増えると、無料読者のインプが減っちゃうのでちょっともったいない)。
— 深津 貴之 / THE GUILD (@fladdict) February 26, 2019
メルカリアカウント作って、そこからメルカリマガジンを作り、全員に編集権をインバイトするとメルカリブログまとめ作れまっせ
— 深津 貴之 / THE GUILD (@fladdict) March 11, 2019
あとは、編集部のオススメ特集に入れてくれたり、とかいろいろと支援をしてくれます。ああ、ありがたや.....
やはり重要なのは、noteという成長市場を、微力ながら自分も一緒になって開拓していくぞ!と思われてくれる気持ちではないかと思います。note編集部の後方支援は非常に心強く、また自分のnoteへのロイヤリティを高めてくれます(うまく乗せられているとも言える。)
Qiita, 2015年
同じような理由で、4年前の2015年ごろにはQiitaをやっていました。
当時はPythonを書くのにドハマりしていて、いまよりももう少しエンジニアリングも含めた仕事のキャリアを考えていたので、成長著しいQiita上である程度実積でも作っておくか、というノリでやっていました。
ちなみにContribution数6,671(執筆時)はおそらく全ユーザの中でも100位以内には入っていると思います。
こちらのサイトによると、2017/3時点では4,490で全ユーザ中83位だったようです。そこから一切投稿をせず完全放置に近いのですが、Contribution数は勝手に伸びていってますね....
ちなみに、Qiitaのグロースで一番強いやり方は、運営が毎週送っている『ストック数(いいね的なもの)ランキング』に掲載されることでした。
公式から毎週届くランキングメール
100ほどあればランキングに載るので、それくらいを目指して頑張って記事を書くと、
ランキングに載る => 流入増える => いいねされる => 次週もランキング載る => またいいねされる => 公式Twitterにも載る
というサイクルが始まります。
キリ番ごとに公式がTweetしてくれる
800いいね! | Pythonでデータ分析するのに必要なツールのまとめ by @hik0107 https://t.co/07Oonc50Kg
— Qiita (キータ) 公式 (@Qiita) May 8, 2017
残念ながら、いまはもうqiitaは書いていません。
当時はqiitaも非常に成長サービスとしてのダイナミズムを感じることができたように記憶しています。
まとめ
もしあなたが何かを始めるなら、
① それは成長性がある市場か
② その市場で自分は強いプレゼンスを発揮できるか
を少し考えてみるとよいかもしれません。これは個人が市場を考える際のPPM(Product Management Portfolio)とでも言うべきものです。
PPMに倣ってマトリクスで書くとこんな感じでしょうか。
個人版のPPMマトリクス
もちろん、何かを新しく始める際には難しいことごちゃごちゃ考えずにやってみるほうが素敵だとは思います。
ただ、
「これ始めると結構労力かかりそうだなー」
とか
「どうせやるなら何か手応えを得たい!」
なんていう場合は、この考え方を頭の片隅にでも意識してみると、自分にとってもメリットの大きい「新しい取り組み」になる可能性が高まるかもしれません。
キャリア形成についても同様に考える
(2019/3/23追記)
この考え方について、キャリア形成においても全く同じ気がする!という声を多くいただきました。
これは本当に、まさにそのとおりと思います。
① それは成長性がある市場か
— Shohei Iwata | HR Manager at Mercari (@iwacciii) March 19, 2019
② その市場で自分は強いプレゼンスを発揮できるか
→そのままキャリア選択論として読んでもとても参考なる内容。キャリアも同じ公式だなぁ。
個人が市場を選ぶという考え方、あるいは成長するプラットフォームに乗るということ|@hik0107 https://t.co/x4hkAUaNtt
今の就活生、19新卒にぜひ読んでもらいたい記事ですね。
— 渋谷で働くデータサイエンティスト (@hopehope1237) March 20, 2019
会社選び、新卒の配属選びのヒントになるはず。
① それは成長性がある市場か
② その市場で自分は強いプレゼンスを発揮できるか
個人が市場を選ぶという考え方、あるいは成長するプラットフォームに乗るということ|樫田光 | Hikaru Kashida https://t.co/8J84a51O9v
「自分が選ぼうとしている職種は今後需要が強くなっていくか?」
「その職種で、自分は存在感を発揮できるか?」
この二つの問は、自分がキャリアを選ぶときには常に頭の片隅においておくべきだと思います。例えば、僕は2014年にData Scientistというキャリアを経験がほぼゼロの状態から選択しました。
この当時はビッグデータブームが勃興していて、Data Scientistは米国でも最注目の仕事だという世相があったのは自分のキャリア選択の材料として間違いなく意識はしていました。(もちろん、職種の注目度だけがキャリア選択の理由ではありませんでしたが、要素としては40%程度ありました。)
結果、Data Scientist的な仕事をしていく中で自分が特に強みを発揮できる分野を探していったところ、現在のData Analystと呼ぶほうが正しい仕事に落ち着きました。この職種は自分にとっては比較的周囲への存在感を発揮できるポジションだという自負はあります。
また、2016年にメルカリにジョインした時にも自分に同様の問いかけは行っていました。
このときは、「メルカリという会社への所属が今後、社会や人材市場で意義を増していく」という確信はありました。
一方、メルカリに優秀なタレントが山といる中で自分が埋もれないか、と言われるとそこは全く自信はありませんでした。ただ、入社当時はまだメルカリも(2019現在と比較すると)小規模で人数も少なく、「まあチャンスはなくもないか」くらいに考えていました。正直、そんなことよりは自分がメルカリという会社に対して価値を提供できるか、のほうが遥かに心配でした。
選択時点で両方の要素が揃わないことももちろんありますし、その場合でも気にせずに足を踏み出すことが大事な場面もあるでしょう。
大事なのは、キャリア選択の際の基準や考え方を自分としてちゃんと持っておくことです。
キャリアのような重要な帰路において、意思決定の基準はひとつだけではなく、より複眼的なものになるでしょう。
その中のひとつとして、この考え方を心に留めておいてくだされば幸いです。
おしまいに
最後まで読んでくださりありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
noteの編集部の皆さんも、いつもありがとうございます。
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僕がこれまで書いた記事で人気があったものは、こちらのマガジンにまとめてありますので気になる方はぜひチェックしてみてください。
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