デジタルニッポン2020を読み解く 教育編【先生がいなくなる】
未来が予知できたらどれだけ楽になるのでしょうか。
もしコロナが予知できていれば、個人の力で感染拡大を防ぐのは難しいとしても、感染拡大前に株を空売りしてますし、落ち着いた後にビットコインにレバレッジ投資して、いまごろセミリタイアしてます(笑)
しかし実際は、今日もよく分からない打ち合わせに同席させられ、ITのことを知らない上長たちに懇切丁寧にIT構築のイロハを教える不毛な日々を過ごしています。未来を予知できなかった結果がコレです。
未来を予知することはできません。できないのですが、世の中には、これから何処を目指していこうとか、どんな未来を作っていこうとか考えている人たちがいて、彼らが考える「未来像」を公表していることがあります。そういった「未来像」を知ることで、仕事の仕方や自身のキャリアパス、ライフスタイルなどが大きく変わることがあります。たとえば、いまからハンコ屋になりたい人はいないでしょうし。
以前の記事で平井デジタル相の講演記事を紹介して、「ハンコを無くす」などの施策は単なる思いつきではなく、実は緻密な戦略が組まれていること。そして、それら施策はDXのお作法に則った形(戦略・体制・プロセス・技術フレーム)で進められていることを紹介しました。
そこでこの講演内容を深堀りして、デジタル庁創設の背景にある「デジタルニッポン2020」を読み解いていこうと思います。
このデジタル化戦略を抑えておくことで、日本政府(正確には自民党)がどういう方向に国を持っていきたいのかが見えてきます。近日中に自民党政権が転覆することは考えにくいので、割と実現性の高い未来予知の一つになるのではないでしょうか。
結構ボリュームがあるので、今回は「教育」編です。
① デジタルニッポン2020 教育編
まずは原本をコピペします。
綺麗にまとまっているの解説の必要もありませんが、ざっくりいえば、
* 課題 : 東京一極集中
* 原因 : 都市部に教育機関が集中していること
* 対策 : リアルとオンラインのハイブリッド教育を進める
という感じです。子どもたちの視点から見れば、育つ地域で受けられる教育の水準が違うのは不公平ですし、日本一教え方のうまい先生の授業を動画で見られるなら日本全体の教育レベルがあがるのは間違いないです。しかも一回きりのライブではなく、いつでもどこでも何度でも視聴できるならなおさらです。
教育形式も理解の遅い子どもたちに合わせた授業ではなく、自分にあったレベルの動画が自動でリコメンドされ、一人ひとりに寄り添った「One by One」教育が浸透していきます。
この施策に賛成か反対かで言えば、僕はアナーキスト(無政府主義者)寄りの政治信条なので、「クニがキチンと」考える必要なんてないんじゃないのかなと思います。
たとえば子供一人あたり月額5万円でも配り、公的教育のすべて、たとえば文科省も学校教育システム自体も無くしてしまえばいいじゃんとは思います。すでにクラウド環境を用いた民間の教育ビジネスは充実していますし、教育無償化みたいにすると学校間の競争がなくなってイノベーションが起こらなくなるので。
課題として子供たちのコミュニティや体育などが挙がるかもしれませんが、きっとそれらを補完するサービスがニョキニョキ出てくるでしょうし、いまの先生たちもそういうサービスに貢献できるでしょう。
まあ、僕の持論はいいか。
公的教育自体をなくせは極論なので横に置いておいたとしても、子どもたちの視点から見ればハイブリット教育の方向性は悪くないと思います。
② 教科書のデジタル化
絵を書くのは簡単ですが、実行が難しいのがDXです。この方向性から具体的に出てきた話として「教科書のデジタル化」がニュースになっていました。
このニュースへの意見を見ていると、DXがいかに難しいかが見えてきます。
いわく、教科書をタブレットにしたら目が悪くなるのではないか、漢字が書けなくなるのではないか、電子書籍よりも紙の方が勉強になる、紙に書くのが大事だと思う、教員に機器トラブル対応する技術はない、もっと現場の意見を聞いたほうがいいのではないか。
これらの意見を否定するつもりはありませんが、教育のDX化を推進する人は大変だな、というのが感想です。すべての子どもたちに高水準の教育を受けさせたいという大義があっても、昭和的価値観にもとづく抵抗勢力ばかりなので。
③ 僕たちはどうすればよいのか
抵抗勢力がいくら強くてもハイブリッド教育の流れはますます強くなっていくでしょう。公的な教育機関だけなく、学習塾などでもクラウド化・AI化が進んでいるので、子どもたちに一定程度の高度教育を与えるなら同じことです。
ここで考えておきたいのは供給者側です。DXの本質は、
デジタル技術を活用して、供給者利益を無視して、顧客ベースで価値を最大化する仕組み
なので、いま供給者側の仕事をしている方だったり、これから供給者側の仕事につきたいと頑張っている方だったりは要注意です。
たとえば教師。デジタルニッポン2020の各論パートに述べられていますが、これから教師に求められることはティーチング能力ではなくコーチング能力になるそうです。
子どもたちに教えるのは日本で一番教えるのがうまい先生だけです。要は教育系youtuberですね。今後の教師は、youtuberの講義動画で分からなかったことを拾い上げ、一人ひとりの理解を促していく形に変わっていくのでしょう。板書をただ書き写したり、偉そうに教鞭を振るっている先生たちは不要です。
次に教科書を作る方。教科書がpdf形式で配布されるのは過度期の話に過ぎません。教育コンテンツはyoutube動画が中心になり、それぞれの動画は視聴数分析、いいね!、コメントで常にPDCAが回されていきます。そんな動画コンテンツ群に教科書は勝てるのでしょうか。
他にも例を上げればキリがありません。文科省、教育委員会、校長先生、ランドセル業者、給食のおばちゃん、そして学校というハコモノ。
あらゆる知識が共有され、時間と場所の概念が消えていくデジタルの世界において、これらの仕事はハンコ屋と同じことになっていきます。そんなこと許されない!と思う方は、自分が供給者論理になっていないかどうか、子どもたちに高度な教育を受けさせることへの障害になっていないか、振り返ってみると良いかもしれません。
そういえば、僕はむかし教師に向いているよと言われたことがあります。
ストレングスファインダーでもそういう結果が出ます。
ですがまあ、変な話、教師にならなくてよかったのかも知れません。
おわり。
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