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北国の空の下 ー 週末利用、自転車で北海道一周【21】 7日目 佐呂間〜網走〜女満別③ 2015年8月16日

能取岬から網走市街地へは、隆起台地の断崖の上に広がる森と牧草地の中を抜けていきます。力強い濃い緑が夏を感じさせます。来週には秋風が吹き始めるだろうから、夏の気配がなおさら愛しく思われます。
ただ、腹が減ってきました…

◆ 能取岬→網走市内

道は大きなアップダウンを繰り返しながらゆったりと弧を描いています。身体は疲れてきたものの、能取岬の絶景に気持ちは高揚し、まだまだ走りたい気分。
ひとしきり長い坂を下って、海岸線に出ると、ようやく、網走市街地が見えました。
結局、昼飯抜きでここまで来てしまいました。もう14時近くですが、市内まで走ったら、何か美味しいものを食べよう。
道も平坦になったので、時速30キロ前後で気持ち良く流し、市内へ入りました。

▲ 網走市街地が見えた

最初に見つけたコンビニで、取り敢えずおむすびを食べて多少空腹を紛らし、大福餅もぱくつきました。
ここまで来れば、女満別空港まではバス輪行という手もあるし、自走でも網走湖に沿って20キロほどです。

美味しい店の下調べもしてこなかったので、手っ取り早く、道の駅へ行ってみました。
ところが、お盆休みの最終日ゆえ、道の駅は大混雑。レストランの券売機には「売り切れ」の表示がずらりと並び、めぼしいものが何もありません。

◆ 感動の径

もうこの際なので、まともな昼ごはんは諦めて、市街地南東部の丘陵地帯に伸びる「感動の径」を目指すことにしました。手元のツーリングマップに「美しい丘陵地帯を走る」と紹介されており、気になっていたのです。
ただ、100キロ走った後で、さらに丘陵地帯のアップダウンを走って女満別へ向かう時間と体力があればの話、と考えていました。
幸い、まだ14時半。女満別空港まで10キロほどの遠回りですが、18時15分の飛行機に乗るためには、輪行の準備時間を考慮しても17時頃に着いていれば大丈夫。
脚もまだ売り切れてはいません。

「感動の径」へは、国道244号線を斜里方面へ8キロほど海沿いを走り、鱒浦という地区から内陸へ入っていきます。国道244号線は良く整備され走りやすい道でした。紺青のオホーツク海が午後の陽光に煌めいています。
JR釧網本線の踏切を越えて丘陵への道に入ると、いきなり上りが待ち構えていました。短い坂なのですが、まともな食料補給なしで走ってきたためか、この上りが結構堪えました。
ひとしきり登り、丘陵の上に出ます。その先も上り基調の道が続くのですが、周囲には雄大な自然芸術のような丘の風景が広がり始めました。

▲ 感動の径

感動の径、などと称されると、感動するかどうかは人それぞれだろう、と反発したくなってしまい、少々興醒めしなくもありません。
しかしこのエリアの景観は確かに素晴らしかった。圃場と木々に彩られた丘陵が波打ち、その果てに海が見えます。雲が少なければ、斜里岳や、さらにその彼方の知床連山まで見えることでしょう。
なおも登り基調の道が続き、空腹ゆえか疲れが脚に来始めたし、尻も痛くなってきました。
しかし時間はまだ十分あります。
牧草地と干草ロール、濃い緑に覆われた馬鈴薯畑、光と影が大地に織りなすコントラストなどを楽しみながら、ゆっくりとペダルを回しました。

やがて道は西へ方角を転じ、女満別への長い下りにかかります。数々の素晴らしい道に出会えた充実感に包まれて、ダウンヒルを楽しみ、女満別の市街地に至り、空港への取付道路をクールダウンのつもりでのんびりと走りました。

15時50分、女満別空港に到着し、ターミナル脇のサイクルステーションに自転車を停めました。
結果的には、もっと寄り道しながらのんびり走っても、充分間に合ったなあ、と思います。

▲ 女満別空港のサイクルステーション

それにしても今日のライドは、北海道一周の道程の中で、忘れられぬ1日になることでしょう。もちろん、どの1日にも得がたい思い出や出会いがあるのだけど、キムアネップ、サロマ湖東岸の湖岸道路、ワッカ原生花園の野草の生垣のような細道、能取湖の湖口に至る丘の道、緑のトンネルを往く能取湖のサイクリングロード、能取岬への森と牧草地を往く最後の下り坂、そして感動の径… これほどに多くの素晴らしい道に出会える1日は、長年自転車に乗っていても、そうあるものではありません。

◆ 国内線輪行 初体験

まずは輪行準備をして自転車をカウンターで預け、二階にあるレストランで、何かちゃんとしたものを食べようと考えました。

飛行機輪行するのは、実は日本の国内線では初めて。さすがに日本の航空会社は東南アジアより取扱いが格段に丁寧で、横にする際にはどちらを上にするかなど細かく確認してくれ、安心できます。

お盆の連休最終日とあって、レストランは混雑し、スタッフは疲れ切った様子。ホッキ貝カレーだったかシーフードカレーだったかを注文したのですが、ご飯とソースばかりで具材が殆どなく、炭水化物と脂質ばかりを補給しているような気分になりました。

女満別を18時15分に出て19時には新千歳空港、20時前にはもう札幌に帰着しているスピード感は癖になりそう。
次回以降も道東へは飛行機で、と決めたのでした。

▲ 新千歳へのフライト

札幌駅の地下街で軽く寿司をつまんで帰ろうとしたのですが、お盆休み最終日とあってネタ切れが多く、後悔しながらビールを呑みました。下調べや段取りの悪さ故でしょうが、道と風景の素晴らしさに反比例するかのように、食べ物には恵まれない1日でありました。

【第7日目 走行記録】
走行距離 125.7Km
走行時間 5時間40分
平均時速 22.14km/ Max 51.44Km/h
消費カロリー 2814Kcal

※ 次回は、秋の知床へ。初日は風の中、2日目は雨と霧の中、消耗させられるライドになりました。

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