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【RIZIN.42超絶簡単解説】完全開放された世界への扉 後悔しないために手を伸ばす勇気

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

この記事は「RIZIN.42」(5月6日14:00開始予定)の全カードを簡単に解説しようという記事です。
バンタム級王座挑戦者決定戦のWメインイベントを始めとてつもない熱気が生まれそうな大会ですので盛り上がっていきましょう!


②城戸康裕vs木村”ケルベロス”颯太

ケルベロス選手が4月のRIZIN.41からの連続参戦で相手は元K-1の有名選手というわかりやすいRIZINドリームを掴みました。こういう現象を見るとなんだかんだRIZINが日本最大の格闘技団体なんだなぁと再確認させられます。

城戸康裕選手は元K-1所属のキックボクサーでK-1MAX時代に日本人で4人目となる王者になった日本の中量級キックボクシングを盛り上げ続けている現在80戦をしている鉄人選手です。

独特の懐の深い構えから繰り出される正確無比な蹴り技が最大の特徴です。
また試合の煽りVを自分自身で制作していたり武尊選手を始め多くのK-1選手とYouTube上で非常に明るくコラボしている良い意味でおちゃらけた面を持っている選手でもあります。(↓の動画は個人的に城戸選手のYouTubeのおススメ動画です。試合までの気持ちづくりや試合中の自身の考えを笑いを交えて解説していますので興味ある方は是非ご視聴ください。)

木村”ケルベロス”颯太選手は現DEEP☆KICK65㎏王者で派手な打ち合いが得意な選手です。RIZIN初参戦の前戦では新劇の祐基選手をボディストレートで沈めたことが評価されてRIZIN連続参戦、そしてキャリア最大の大物選手との試合という正にRIZINドリームを掴んだ選手です。

試合展開は城戸選手が中間距離=自身の蹴りの距離を保つように距離を取るのを木村選手がパンチで追いかける展開になると思います。ただ普通に追いかけると城戸選手の下段の蹴りに左ミドル、そしてカウンターの左のノーモーションのストレートなど手札が多彩な城戸選手を掴めるのは難しいと思います。
なのでカギはK-1ルールとは違うワンキャッチワンアタックルールをどう活用していくかです。K-1では相手の攻撃を掴む攻撃は全般禁止となっていますがRIZINでは相手の攻撃を掴んでから1回の攻撃は認められているルールとなっています。これが蹴りを主軸としている城戸選手からは自身の蹴りを無効化されてしまうルールで木村選手は相手の攻撃を防ぎつつ無理やり前に出やすいルールですので、このルールの妙を木村選手がうまくつけるかが勝敗のカギになると思います。

個人的に城戸選手はRIZINに移籍したK-1を離脱した選手の中ではある意味世間が1番驚いた選手だなと思います。
K-1でそのまま引退までの花道が用意されていてK-1で安らかな余生を過ごすと思っていたので、そのK-1を辞めてまで城戸選手がRIZINに来た理由が本当に知りたいです。


③ラマザン・テミロフvs浜本”キャット”雄大

藤田大和選手もそうですがあの時那須川天心の相手だった選手がそのままMMAを続けてベルトまで獲るのだから長く1つのコンテンツを見続けることは良い事だなと思います。ただ那須川天心と戦ったのは約5年前ですので青の試合をリアルタイムで見ていた人間はイコールでごく一部しかいないという証明でもありますがね。

ラマザン・テミロフ選手はウズベキスタンの選手で現在7連勝中の強豪選手です。バックボーンの空手で培った多彩な足技に相手を一撃で倒せるパンチ力、フライ級とは思えないフィジカルが特徴です。

浜本”キャット”雄大選手は地上で最も危険な格闘技として知られるラウェイの日本王者の選手です。2017年に那須川天心選手とのキックボクシングで約5年前にRIZINに参戦しました。

その後MMAに転向して現在4連勝中でFighting NEXUSに現フライ級王者まで上り詰めた才気あふれる選手です。
キックボクシング日本王者経験もあり強烈な左ミドルキックとラウェイ仕込みの硬い打撃と退かない根性が特徴です。

試合展開のカギは浜本選手のプレッシャーです。
テミロフ選手はスタンドではステップで動き続け遠距離では後ろ回し蹴り、近距離ではフックの連打と強烈な打撃を持っていますがプレッシャーを受けるとバックステップでまっすぐ下がったりともろい部分があります。
そこを浜本選手がミドルキックで中間距離を支配して上手くプレッシャーをかけ続ければ勝機があると思います。

本来このカードは征矢貴選手との試合でしたが練習中のケガで浜音選手が緊急出場する運びとなりました。
テミロフ選手の試合を見ていると打撃で勝負してくれる傍らプレッシャーを受けるともろい場面があるので打撃が強くてガンガン前に出る征矢選手とめちゃくちゃ噛み合う試合になると思います。
こういうこれしかないというスターの卵の無名の選手を発掘する柏木さんの慧眼には頭が下がりますわ。格オタは足向けて寝られません。


④山本琢也vs横山武司

個人的には2023年のRIZINフェザー級の趨勢を占う選手である横山武司選手がRIZINに参戦してくれました。そして相手もRIZIN参戦後まだ勝利が無くグラップラーの横山選手とは逆の位置にあるストライカーの山本選手というところにマッチメイクの妙が感じられます。

山本琢也選手はGRACHANで現フェザー級&ライト級の二冠王者の選手です。組みを混ぜての打撃が強い選手でRIZIN初参戦は白川陸斗選手に敗北したものの復帰戦では修斗ランカーの山本健斗デリカット選手をKO勝利しました。

横山武司選手は全日本柔術選手権の黒帯フェザー級を優勝をはじめ柔術で数々の実績を持つグラップラーです。柔術の試合では現RIZINフェザー級王者クレベル・コイケ選手とも戦ったこともあります。
またMMAでは現Fighting NEXUSフェザー級王者でMMA4戦であの山本空良選手を倒しての王座就任ですので本人の底知れないポテンシャルがうかがえます。

打撃で倒したい山本選手と極めを狙う横山選手という構図のこの試合ですが、試合展開のカギはどこまで山本選手が丁寧なスタンドの距離感を設定できるかだと思います。
多分山本選手はいつもよりも若干遠い距離設定でジャブとサークリングで距離を作ると思いますが、横山選手は現代のMMA選手では珍しく下になる事を厭わない選手ですので自分が下になってもいいやの気持ちでガンガン攻めてくると思います。さらに中途半端な距離設定をしていると横山選手が今成ロール(立っている相手にスライディングして相手の足を掴む動き。今成正和選手が開発したことからこの名前が付いた。)で一気に距離を詰めてきてグラウンドに移行するので半端な距離設定だと一気に持っていかれます。なので試合開始から中盤にかけての距離の探り合いが重要な一戦になってくると思います。(↓今成ロールの解説動画ですので良かったらご視聴してみて下さい。)

倒すか極めるかという非常にわかりやすい構図となりました。どちらも勝ってRIZINフェザー級を喰ってやろうと意気込んでいるでしょうが個人的には横山選手に勝って6月のRIZIN.43の北海道大会であえて山本空良選手以外の選手と戦っても面白いなと夢想しております。


⑤伊藤祐樹vs山本アーセン

今回メインイベント級に注目されている試合ですね。俺たちのアーセンが約3年ぶりに戦いの舞台に帰ってきました。

伊藤祐樹選手はその切れ味バツグンの打撃と華のあるスタイルで人気を博している選手です。人気だけではなく現在RIZINでは3連続KO勝利でDEEPフライ級GPではベスト4に入る実力も兼ねそろえている選手です。

山本アーセン選手は山本美憂選手の息子、山本”KID”徳郁氏の甥っ子、自身もグレコローマンレスリングのカデット(16歳~17歳のカテゴリー)の世界大会で優勝するなどその血筋や経歴で非常に注目されて総合格闘技に転向した選手です。
ただそこからは強豪と多く試合したのもあり戦績があまり振るわず自身の腰のケガも重なって長期戦線離脱を余儀なくされてしまいました。その間に平田樹選手との付き合いから破局のストーリーやキレッキレのダンスで格闘技界を盛り上げてくれました。

アーセン選手の約3年ぶりの実戦や伊藤選手の勢いから伊藤選手圧倒的有利の見方をされているこの試合ですが、伊藤選手は組み際にバックを向いたり組みの基本は四つ組みだったりとお互いの持っている武器の噛み合い的にワンチャンあるのでは…と思ってはいます。
ただどこまで行っても3年ぶりのアーセン選手がどのレベルまで動けるのかというのが不確かなためふたを開けて見なければわからないとしか言えないのが現状です。

おそらく今大会最注目カードの1つなのは確定です。俺たちのアーセンがリングの上でどういう生き様を見せるのか、この試合の結果もそうですがその後の立ち回りでアーセン選手の格闘家としてのキャリアが大きく変わると思います。
とりあえず入場と煽りVに要注目ですね。


⑥岸本篤史vsビクター・コレスニック

初見ゆえの期待値込みですがコレスニック選手のような戦績がきれいな外国人選手はそれだけで魅力が倍増する気がします。そして階級のタイトル戦線からまだかなり遠い層にもこういう外国人選手が入ってくるといよいよ階級が育ってきたなとも思いますね。

岸本篤史選手は名門BRAVEジム所属で高校時代の同級生の芦田崇宏選手の影響で自身も総合格闘技を始めました。
ボクシングをバックボーンに持ち高校時代にはインターハイ3位、大学時代には国体で準優勝とその実力は正に折り紙つきです。そのボクシングを生かした強烈なパンチが武器で試合のほとんどをパンチのKOで倒しています。

ビクター・コレスニック選手はロシアの選手でバックボーンはサンボです。
ゆったりとしたテンポから強烈な左フックや鋭いカーフキックを撃つ重戦車のようなスタイルで現在5連勝中と勢いに乗っています。

試合展開のカギは岸本選手がどれだけ圧力にビビらないかですね。
ビクター選手はどの打撃もパワフルで特に左フックと右のカーフキックの対角線のコンビネーションは強力ですが、かなり近距離でゆったりと戦うスタイルであるため岸本選手がボクシング仕込みのジャブとステップで距離感を制すればかなり一方的な試合になると思います。
ただビクター選手は文字通り一撃で試合を終わらせる打撃やバックボーンのサンボで培った組み技の実力など非常に緊張感にあふれた試合になる事は間違いないと思います。

こういう無名のロシア人選手はなんだかんだ強いの法則をUFCを始め世界のMMAを見狂っている格オタなら共通項ですので今回のビクター選手もその例に漏れないのかなと思っています。
こういうシチュエーションで無意識的にどっちの選手を注目するかで格オタの年歴が出ると思います。とりあえず無名の外国人選手に注目するのか、日本人選手を応援して一気に主役の座に上っていてほしいのか、個人的には前者の方が見始めの格オタかなと思います。


⑦佐々木憂流迦vsボイド・アレン

個人的には結構楽しみなカードです。期待値的には都心の1人7.500円くらいの焼肉屋さんのサンチュくらいの信頼度です。個人的には結構高いのですがどうでしょうかね。

佐々木憂流迦選手はもう説明不要ですね。UFCフライ級で活躍して鳴り物入りでRIZINバンタム級に参戦しました。その後フェザー級に転向するも現在フェザー級ではトップ戦線の相手ですが勝ち星を挙げていないので今回の試合では何が何でも勝ちが欲しいはずです。

ボイド・アレン選手はMMAとボクシングの二刀流の選手です。スタンドではボクシングで培ったパンチで丁寧にジャブで間合いを制してグラウンドでは10個の一本勝ちがある寝技の強さで相手を仕留めるという経歴では考えられないほどのオールラウンダーな選手です。
RIZIN初参戦の矢地選手との試合では当時2連敗中と後がない塩試合製造機=新生ヤッチ君の牙城を崩せずかなりフラストレーションがたまる敗北となりました。

憂流迦選手は蹴りと組みからのバックコントロール、ボイド選手はパンチと極めという持っているスキルセットが似ている2人ですので試合では先手を取り続けた方がかなり有利だと思います。
両選手とも試合を一撃で終わらせる武器は持ってはいなく手練手管で相手を局面ごとで削っていき徐々に追い込んでいく系の選手ですので、局面ごとの削り合いを少しでも制していき最終的に積み上げたリードで勝敗が決するというかなり濃いMMAになりそうです。

個人的には憂流迦選手に勝ってほしいんですよねぇ。
顔も性格もイケメンでそれに同業者も舌を巻くほどの格闘技好きという格オタなら惹かれる要素しかない選手です。さらにYouTubeも試合の解説や予想動画も素人にもわかりやすく丁寧でおススメです。

ただそんな憂流迦選手もRIZINでは2勝4敗と負け越していてフェザー級の転向もこれが3戦目です。そろそろ今までの貯金が底をついてきたと思うのでここらで一発天狗が有明をぶち上げてほしいですね。


⑧芦田崇宏vs磨嶋一整

磨嶋選手はここまでRIZIN3戦3敗ながらここまで期待値や幻想を保っているのが何か改めて考えるとすごいですね。まぁ対戦相手の経歴が元DEEP王者くらいだったら霞むくらいの相手としかやっていないというのもすごいもんだと思います。

芦田崇宏選手は元DEEPのフェザー級王者ですが、RIZIN戦績は2勝2敗で勝っている選手もキャリアでは格下ということでRIZINでは少し存在感が乏しいです。バックボーンのボクシングとBRAVEジムで鍛え上げられたレスリングを混ぜた総合力を生かしたファイトが特徴です。

磨嶋一整選手はその圧倒的な寝技の強さと敗北はしたものの戦った相手がどれも超強豪な事と試合でのパフォーマンスが図抜けていることでRIZIN3戦3敗ながらその評価値を一切落としていない選手です。

この試合は両選手ともやりたいことがはっきりしています。
芦田選手は組まれずに殴りたい、磨嶋選手は疲れる前に組みたいという感じです。イメージ的にはクレベル・コイケvsカイル・アグォンみたいな試合になりそうです。

この試合の相違点でいうと芦田選手が攻める際に近距離で殴ってくる選手と言うことと磨嶋選手はカウンターのタックルに入るのが上手いということです。
だからこそ試合展開のカギは両選手の間合いが重なるときの芦田選手のリアクションですね。もし芦田選手が磨嶋選手が前に出てきたときにちょっと退いたら試合の流れは一気に磨嶋選手に傾きそうですし、逆に前に出たらかなり試合はスクランブルしそうです。

個人的にこの試合の見方はフェザー級タイトル戦線から一歩引いてしまった選手同士の落とせない試合という漫画でいうと物語の本筋とはあまりかかわりのないサブキャラ同士の一戦というところでしょうか。
サブキャラというとあれですがこういう試合がなんだかんだ一番面白くなって意外と期待されたメインがこけるのはこの前のLANDMARKで証明されてしまったので、こういうカードこそ期待値を持って観戦するのが吉ですね。


⑨ジョン・ドッドソンvs竿本樹生

どんな理由であれドッドソン選手がRIZINに継続参戦したことが驚きましたね。バラさんは一体いくら積んだんでしょうか。実際のところは実績はUFCで、お金はBKFCで解決しているので自身のモチベーションを考えてのRIZINだと思うのでありがたいことこの上なしです。

ジョン・ドットソン選手は元UFCフライ級の選手でそのランキング最高順位は1位です。フライ級離れしたフィジカルの強さにケージを所狭しと動き回るスピードとスタミナ、そして離れた間合いから一気に距離を詰められるバネの強さが特徴です。
過去にはフライ級史上最強選手と言われているデメトリアス・ジョンソン選手と2度対戦し元UFCバンタム級王者TJ・ディラショー選手に勝利していたりと実績だけなら堀口選手をも上回る選手です。

RIZIN初参戦の所英男戦ではボディパンチからTKOと噂通りの強さを見せてその後BKFC(素手で行われるボクシングの大会。)に出場しKO勝利とまだまだ世界レベルであるということを見せています。

竿本選手は現役ZSTフライ級王者であり令和の名伯楽宮田和幸が開いているBRAVE一門所属です。若干26歳でありながら連結された打倒極で戦うスタイルでRIZINでは無傷の4連勝、戦績的には現在14連勝ととても勢いに乗っている選手です。

非常に高いレベルの打倒極を持っている両選手ですのでかなりレベルの高い攻防になりそうですが、ふたを開けてみるとドッドソン選手圧勝な展開だと思います。その理由はこの選たちは同じタイプの選手でなおかつ一発で試合を終わらせるタイプというより総合力で相手を圧倒する選手ですので同系統同士がぶつかり合えば純粋な強さ比べになると思いますが、その面だとドッドソン選手圧倒的有利だからですね。
立ててきた実績がそうですが一番デカいのはフィジカルとレスリング力の差ですね。
なんだかんだ竿本選手は組んで上を獲るのが強い選手です。がその局面でドッドソン選手に勝てる画が浮かばないんですよね。
だから個人的にはどうやってドッドソン選手を攻略するプランを宮田和幸氏が持ってきているかが気になっています。

正直この相手に一本やKO勝利なんてしたらRIZINフライ級の主役どころかUFCをはじめ北米MMAからの熱視線は避けられないと思います。逆に言えばドッドソン選手的にはキャリア的にはメリットがない試合ですが、ただそれを承知で試合を受けてRIZINに乗り込んできたドッドソン選手は本当にかっこいいですね。


⑩三浦孝太vsYA-MAN

RIZINの大会のカード順には”休憩前に盛り上がる試合を置く”という法則があります。興行的にはメイン級に重要な試合順ですがここにこのマッチメイクを置くRIZINは相変わらずマン振りで振り切っているなと思います。

三浦孝太選手はその育ちと甘いマスクで何故かタイで大人気の選手です。今は話題先行的な見方ですが本人のやる気やそのポテンシャルはガチですのでRIZINはうまく育ててほしいですね。

YA-MAN選手はRISEを主戦場にしていた元キックボクサーで今回がMMA初戦です。打ち合い上等のスタイルとその中での打撃の細やかな技術が特徴であの『THE MATCH 2022』では芦澤龍誠選手に壮絶な打ち合いを仕掛けて勝利しました。

やはり注目はYA-MAN選手がどのレベルでMMAに転向できているかですね。
それもYA-MAN選手のキックボクシングのスタイルはMMA向きではないので転向は並大抵ではないと思います。
キックボクシングでのYA-MAN選手は足を止めての打ち合いが主軸のスタイルですがMMAで足を止めた攻防をすると基本的にそのまま組みの展開に移行します。組み単体の攻防となると流石に三浦選手に一日の長があると思うので三浦選手はYA-MAN選手が前に出てきたところにカウンタータックルを合わせて寝技に行くでしょうし、YA-MAN選手はその瞬間に自身のパンチをブチ当てたい狙いだと思います。

恐らく今大会でも試合展開が最も予想しやすいカードの1つですがだからこそシンプルな見立てで誰にでもわかりやすい試合になるかと思います。
正直2人が交差した瞬間にどっちが自身のプランを押し通せるかは努力もそうですがどれだけ持ってるかも関わってくると思います。そして両選手とも持っている選手だからこそこの順番にこのカードが組まれたんだと思います。


⑪ブアカーオ・バンチャメークvs安保瑠輝也

このカードを楽しみにしている方には申し訳ないですが筆者は正直まっっったく興味がないのでいつも以上に心無い意見が出るかと思いますがご了承ください。

ブアカーオ・バンチャメーク選手は元k-1WORLD MAXトーナメント2004,2006年優勝を始めキックボクシング、ムエタイで様々なタイトルを獲得したまさにムエタイ界の生きる伝説です。

安保瑠輝也選手は元新生K-1スーパー・ライト級王者で代名詞の二段蹴りなど空手で培った多彩な蹴り技が特徴です。またラップバトルを行うほど達者なしゃべりで格闘技界に話題を提供している選手でもあります。

個人的にこの試合に乗れない理由は安保選手のMMAに対しての発言による心象低下やブアカーオ選手とRIZINでK-1を辞めた今すぐ行う理由はなんじゃいということもありますが、一番は安保選手が自身の進退など格闘家としてのキャリアをベットしていないからだと思います。言い換えると負けても失うものが大してないから好き勝手しゃべって騒いでいるだけに見えるからです。

そこらへんに関してはRIZIN.41の記事の皇治vs芦澤龍誠の所で書きましたので良かったら読んでください。少なくともあの2人は超一流の”プロ”の格闘家だなと思います。

あまりやりたくない毒気マシマシの記事を書くくらいこの試合には興味がないですね。個人的には朝倉未来vsメイウェザーくらい興味ないです。どれくらい興味がないかと言うと未だあの試合や試合関連のライコンを見ていないくらいです。


⑫ホベルト・サトシ・ソウザvsスパイク・カーライル

今大会のWメインカードが強すぎてあまり注目されていませんですがサトシチャンプの復帰戦です。それに相手も同じAJ・マッキー選手に敗北したスパイク・カーライル選手というニクいカードになっています。

ホベルト・サトシ・ソウザ選手はその圧倒的な極め力と毎試合MMAに適応していくセンスの高さで現RIZINライト級王者になった選手です。現在のMMAでは珍しい下からの寝技を得意としていてまさに1回でもミスをすればどんな相手でも極めることが出来るとてつもない極め力を持っています。
去年のRIZINvsBellatorの対抗戦では大将戦として元Bellatorフェザー級王者のAJ・マッキー選手とフルラウンドの激闘を繰り広げました。

スパイク・カーライル選手は空手・バスケ・レスリングなど様々なスポーツをやっていて、そこからMMAの道を進み始めました。
またカーライル選手はコスプレや派手な計量や入場パフォーマンスが有名です。過去にはダース・ベイダーのコスプレで入場してきたり、RIZIN.35ではBLEACHの主人公黒崎一護のコスプレをして入場しました。
そのRIZIN初参戦の武田光司戦では削る居合でかなり追い込まれたものの一瞬の隙をついてギロチンチョークを極めて勝利しました。
またサトシ選手に勝利したAJ・マッキー選手とも試合を行っていて圧倒的不利な下馬評の中最後まで秋豆ずこちらもフルラウンドの激闘を戦い抜きました。

またカーライル選手は実績が良くてUFCでは1勝2敗、リリース後にLFAやBellatorで4連勝と北米のある程度のレベルを表すものになっています。
だからこそ例えばこの選手に内容よく勝てばある程度北米の団体でも戦えるという北米基準を体で表した選手と見ることが出来ます。
個人的にはココが最大のポイントですね。
サトシ選手が勝ってきたビックネームはトフィック・ムサエフ選手やジョニー・ケース選手が挙げられますがどちらも長期欠場明けということでコンデションに不安があったことは否めません。また判定まで行ったのも非UFC最強ファイターの1人であるAJ・マッキー選手ですので、正直な所北米基準で考えたサトシ選手の実力的な番付がまだ不透明だと思います。
なので今回の試合はスパイク・カーライル選手と言うわかりやすい北米基準の選手をどう倒すのかで今のサトシ選手の世界的な立ち位置がわかるある意味重要なテーマが内包されている試合です。

ライト級に関してはやはりサトシvsグスタボのタイトルマッチをいつやるかが2023年の注目ポイントです。RIZINとしてはこのカードを引っ張っている間にタイトルまでのストーリーをもう一回再構築したいはずでしょうが、常にマン振りのRIZINですので8月くらいにこのタイトルマッチをやりそうでいろいろな意味でドキドキしています。


⑬井上直樹vsフアン・アーチュレッタ

下世話な話ですがアーチュレッタ選手の継続参戦もそうですがアーチュレッタ選手を継続参戦できるほどのギャラをRIZINが払えたことが驚きです。

井上直樹選手は19歳という若さでUFCと契約した日本軽量級トップの選手です。打撃、組み技、寝技どの局面でも隙が無く現在25歳ながら非常に完成度の高いスタイルを持っています。
バンタム級GPでは朝倉海選手と並ぶ優勝候補筆頭でしたが準決勝で扇久保選手の執念の前に敗北を喫してしまいました。
ですが実質GP3位を決める前戦の瀧澤謙太戦では全局面で圧倒して日本トップクラスの強さを証明しました。

フアン・アーチュレッタ選手は元Bellatorバンタム級王者で過去に所属していたKOTCという団体では元フライ級(61.2㎏)、バンタム級(65.8㎏)、ライト級(70.3㎏)、ジュニアウェルター級(74.8㎏)の4階級制覇を成し遂げた選手です。
NCAAディビジョン1で鍛えたレスリング力に同門である元UFCバンタム級王者TJ・ディラショーのようなシャッフル(構えのオーソドックスとサウスポーを細かく変えて間合いや攻撃のテンポに変化を加える技術。)を駆使した打撃が特徴です。Bellatorでは現在バンタム級GP決勝に進出したパトリック・ミックス選手や元Bellatorバンタム級王者で過去には扇久保博正選手にも勝っているエドゥアルド・ダンタス選手にも勝利していたり、Bellatorでの敗戦も全員現役チャンピオンとレベルの高さがわかります。

RIZINvsBellator対抗戦では次鋒としてキム・スーチョル選手と歴史に残る大激闘を制して日本のファンに改めてその強さを知らしめました。

試合展開のカギは井上選手がどこまでアーチュレッタ選手から逃げられるかです。
おそらくスタンドでは井上選手がジャブと下段の蹴り、細かいステップでリングを縦横無尽に移動しながら主導権を取ると思います。ただレスリングの展開になると一転してアーチュレッタ選手がフィジカルとレスリング力で流れを取り切ると思います。
ですので井上選手は試合開始からのスタンドの展開で早めに相手の情報をキャッチして間合いや攻撃の選択をする必要があります。これが少しでも遅くなるとアーチュレッタ選手につかまりグラウンドに漬けられてしまいます。そして今までのように下からの極めは難しいからこそできるだけ早めのアクションが必要になってきます。
さらに井上選手は勢いで押し切れるときは強いのですが崩されると意外ともろいということが扇久保戦で判明しました。さらに相手はその扇久保選手と同系統のタフで組みが強いアーチュレッタ選手ですのでそこがどこまで克服できているかも見どころですね。

正直実績的には圧倒的アーチュレッタ選手有利だと思います。ただ部分部分の勝負ではRIZINでもBellator=世界トップレベルに通用するということは対抗戦が教えてくれました。おそらく井上選手がアーチュレッタ選手につける穴は極小ですがそれをいつもの淡々とした試合運びで大きな風穴にしてくれるのではと思います。


⑭朝倉海vs元谷友貴

個人的には2019年頃からずっと見たかったカードですのであの頃から約4年たちましたがこんなベルトに関わる1戦として見れるなんて、待った甲斐があったというもんです。

朝倉海選手は元RIZINバンタム級王者でその圧倒的なパンチ力による派手な試合と兄の朝倉未来選手と同じくYouTubeを使って日本格闘技を盛り上げた立役者の1人です。
ですが去年のRIZINバンタム級GPで扇久保選手に敗北してから拳のケガなどで長期欠如を余儀なくされて今回が約1年4か月ぶりの試合です。

元谷友貴選手は去年の大みそかから5連勝2022年無敗でここまで来ました。
対戦カードとしては若手の壁となるようなカードが多かったですがどの試合もきっちりと地力の差を見せつけての完勝で強さを見せています。
代名詞と言える独創的なグラップリングに近年は手数と首相撲の強さを前面に出すスタイルで勝ち星が安定してきたイメージです。
前戦のホジェリオ・ボントリン戦では元UFCランカー相手に臆することなくアグレッシブに前に出ていき最後は飛び膝で失神KO勝利で念願のボーナスを獲りました。

試合展開のカギは海選手がどこまでファイターとして手札を増やしているかですね。
去年のGPで海選手は自身の弱点がかなりわかりやすい形で露呈しました。詳しくはMMA言語化挑戦中さんの下部リンク動画をご視聴してください。ざっくりとまとめると下段の蹴りの対処と右ストレート以外の攻撃パターンの少なさです。

そして元谷選手はこの朝倉海攻略法をかなりハイレベルで実行できる選手です。
元谷選手は強烈なローキックと左右のフック、そして自身の打たれ強さを駆使してアグレッシブに前に出てから首相撲やスクランブルで寝技に移行して一本を獲るスタイルです。なので以前の海選手ですとローキックで足を壊され右ストレートも打たれ強さを活かして被弾覚悟で前に出てこられそのまま主導権を握られてそれを取替せずドツボにはまる…という展開になる事が予想されます。

ですが仮に海選手が右ストレート以外の近距離戦で倒せる武器を持っていたりジャブやカーフキックといったフィニッシュにつなぐ技術を以前より多く持っていればこの前提は崩れ去ってしまいます。
海選手はこのケガでの戦線離脱でどこまでアップデートしているか、元谷選手はそのアップデートに対して必要以上にビビらずに自身のやるべき事を通せるかが重要になってくるのではと思います。

今大会はコロナ前のRIZINのように多くの外国人選手が参戦しています。逆に言い換えるとコロナ禍に行われていた日本人同士の蟲毒がもう終わったということです。なので以前のように外国人選手が入ってこれなかったため割と緩くRIZINに出場できる期間は終わりを告げました。ここら辺の意識のアップデートがこれからの格闘技界の荒波を渡るためには必要不可欠だと思います。

そして蟲毒の期間が終わったということはその残った選りすぐりと世界の戦いが始まるということです。
この2023年からいったい誰が開かれた世界への扉を掴むのか、その扉に手を伸ばす勇気を示すのは誰か、この大会ではそんな選手の勇気が問われるのではと思います。


⑮おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
この「RIZIN.42」の視聴やチケット購入は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい!

この記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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