『山口晃ーちこちこ小間ごとー』感想レポ
学生の頃から、山口晃画伯の作品が大好きだ!
画伯ご本人のことも大好きだ!
自分の人生史上、一番長く追いかけているアーティストかもしれない。
画伯の作品は、様々な媒体で使用されている。なので、知らず知らずのうちに皆さんも作品を眼にしているかもしれない。
例えば、三浦しをん 著『風が強く吹いている』の表紙は画伯の作品だ。
最近だと、東京2020パラリンピック公式アートポスターが話題になった。
「個展が開催される」と耳にすれば、いそいそ遠征していたのだが(個展は大抵、関東方面で開催される&私は関東住みではないため)新型コロナが流行してからはそれも出来ず、失意の日々を送っていた。
そんな私に、朗報が!!
京都で個展が開催される!
今回の個展の開催地は、京都!「ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM」という美術館での開催!ここなら、行ける!ヤッターーーー!!!
速攻で、会期中に4回入館できる特別パスポートをGET!(展示内容が4回変わる)
個展初日は仕事だったので泣く泣く断念しましたが、翌日早速お伺いしてきました。
ここからは感想を、ドバっと書いていく。
【注意】
私は、アートに造詣が深いわけでも、美術を専門で勉強したわけでもありません。そして可能であれば、会場へ足を運んでもらいたいので少し曖昧に書いている部分があります。
会場について少しご紹介
会場である「ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM」について、少しご紹介しておきたい。
黒田辰秋や河井寬次郎ら芸術家・文化人との関わりも深い、京都・祇園の和菓子店「鍵善良房」が、美術工芸や京都の文化を紹介する美術館「ZENBI-鍵善良房-」と、ミュージアムショップ「Zplus」をオープン。
和菓子屋さんが運営している美術館、ということで場所自体にも興味があったので、今回お伺いできて良かった。
ちなみに、鍵善良房はくずきりが有名。いつ言っても喫茶ルームに列が出来ている人気のメニューだ。
響き合う形と形
美術館は2階建て。
1階フロアでは、鍵善良房とゆかりのある工芸家・黒田辰秋氏の作品が、画伯の見立てで展示されている。
鍵善の紙袋は、画伯の描き下ろした絵を使用している。この紙袋を画伯がさらに細工した作品と、黒田辰秋氏の作品が一緒に展示されていて、その「ちこちこ」感にウフフとなった。
それ以外の展示も、形と形の呼び合う感じが面白かった。以下は、気になったものを羅列。
・四角と四角。小さな部屋。
・重なり合うレイヤー。
・奥まった場所で、照明から外れた場所に置かれた赤くうねる箱。そして、差し込む日光。
・壁に吊るされた&ケース内に置かれた透明パネル。反射と映り込み。
新聞連載小説『親鸞』の挿画がじっくり見れる!
2階フロアは1階よりも少し広め、3つの小部屋に分かれている。
小部屋の一つで、五木寛之氏による新聞連載小説『親鸞』の挿画が展示されている。(『親鸞』挿画は、会期中に4回展示内容が替わる)
これらの作品は、写真撮影OK。でも、まずは肉眼で作品をしっかり見る!折角、作品が目の前にあるのに自分の目で見ず、液晶で見るなんてもったいない!
黒面の艶やカスレなどが見えてゾワゾワする
印刷では分からない、肉眼で見るからこそ分かることが見れて楽しい。
目で作品を触るような心持ち。
見つめているうちに「どうやったらアナログ画材で、こんな絵が描けるの?絵、上手すぎじゃない?」という大変失礼な感想が、心の中に湧き上がってくる。
作品のサイズ感や色合い、画材の違いなど見所満載!
惜しむらくは、作品が展示ケースの中に飾られていること。
作品保護のため仕方ないのですが、本当は作品を真上から見たかった!
特に奥の方に展示された作品は、少し遠くからしか見ることが出来ない。
みんな大好き「ためいきさん」も、「ラップで説法」も、一番奥側に展示されているので細かく見たい方は単眼鏡を持参されると良いかもしれない。
私は、何度か「このまま頭でガラスを突き破ってやろうかしら?」と思ってしまった(過激派)
そんな気持ちをグッとこらえて、ガラスに頭も手も触れないように気をつけながら、最大限接近できる角度を探していた私は、かなりの不審者だったかもしれない。立ったり、しゃがんだり、体を傾けたり、背伸びしたり、ウロウロしていたので汗
他のお客さまがいない時間で良かった。
ちなみに挿画は、かなりの点数が展示されていました。私はお気に入りの作品しか撮影していないので、全貌が気になる方は、会場で直接ご覧いただきたい!
これは展示か否か?
正直、下記に関しては全てが画伯の見立てなのかどうか、ちょっと自信がない。
「そういう仕様ですよ」と指摘されたら、そっとこのブログから削除しようと思う汗
・展示ケース内に重ねて置かれた透明パネル。
・吊り下げられた透明パネル。
・長く地面まで真っ直ぐ垂れる展示用ワイヤー。
・タイトルも何も書かれていない、白い小さな四角のパネル。
1階フロアで「四角と四角」「レイヤー」といったことを書いたが、それは2階フロアでも感じられた。
あと、加湿器の下敷きになっていたあの本も気になる。
生で見たかった絵が見れた!
↑この表紙絵が、実際に飾られていて大興奮!
雑誌の表紙絵として拝見したときから、カッコイイ絵だなぁ、と思っていたので嬉しかったー。
目が強い!あと、腰につけている筆ホルダーが萌える!
一番好きな作品「くずきり」
鍵善良房は、陶芸家の河井寛次郎氏と親しいお付き合いがあり、お店には黒田辰秋氏の額に入れた河井寛次郎氏の書「くづきり」が飾られている。
今回の個展で、上記の書をモチーフにした作品が展示されていたが、それが一番好きだった!!レイヤーであり、映り込みであり、とても面白い作品!
遠くから眺めたり、近づいて見たり、何度も何度も見直してしまった。
民芸運動に詳しい方であれば、もっと深く読み解けるのかも。
おそらく、今回の個展のために描き下ろされた新作だが、展示場所がちょっと独特なので、ともすれば見落とす方もいそうな予感がする汗
会場へ行かれる方は、お見逃しなきよう。
ミュージアムショップも必見!
ミュージアムショップも是非、立ち寄ってもらいたい。
店内には、画伯直筆の和菓子のアイデアスケッチが飾られているので、お見逃しなく。
上記写真は生菓子セットのイメージイラストと見本。生菓子セットは実際に販売されているが、曜日と数量に決まりがあるので、要注意。
ですが、干菓子は常に販売されているので、いつでも購入可能!
写真向かって左側の干菓子を購入。大変美味しかったです。色も美しくて見ているだけで良い心持ちになれます。
更に、「お菓子とお茶のある風景」をテーマに画伯が以前描かれた作品を使ったポストカード1セット(5枚入り)も販売中。
墨の濃淡で表現された、鍵善良房のくずきり。素晴らしいです。
周辺情報
ZENBIの周辺には、素敵なお店があるのでご紹介しておきたい。
1)鍵善良房
ここに行かないと始まらない!
「ZENBI」を運営されている老舗和菓子屋さん。
くずきりが有名ですが、他の和菓子も美味しいので是非!
2)『白(HAKU)』
京都の料亭「高台寺和久傳」の手土産専門店。おはぎが有名。店内の雰囲気・おもてなし最高。
今回購入した「真朱(しんしゅ)」。やわらかく干したトマトとチョコレイト。
絶品。
口に入れると、最初はチョコレイトの甘みがやって来る。
そのあとに、トマト表面の塩みが来る。
噛むとトマトの甘酸っぱさが広がって、ほんのりチョコレイトの苦味も感じられる。
口の中を様々な味が駆け抜けていって、気持ち良い。
3)京都天狼院
「本」だけでなく、その先にある「体験」までを提供する次世代型書店。
佇まいが独特で、それほど広くはない店内にこだわりの書籍が詰まっている。
表紙に黒いカバーをかけて、タイトルも内容も秘密、という「秘本」を販売されていたり、ワークショップを開催されたり、独自の活動が面白い書店。
最後に
自分でもどうかと思うくらい、長い文章になってしまった。
ただ、もしこの個展に行こうか、どうしようか迷っていらっしゃる方がいるとしたら「是非、行ってみてください!」とお伝えしたい。
そんな気持ちで書き始めたら、こんな長さになってしまった。
来訪が困難な方も沢山いらっしゃると思う。私と同じく、遠征出来ない状況にある方も、多いことだろう。
でも、もし京都のお近くにいらっしゃるのなら。少しでも、興味があるのなら。
是非、ZENBIに足を運んで、生で作品を見てもらいたい。
音楽ライブや演劇公演と同じように、作品をLIVEで楽しむことはかけがえのない体験になる、と信じているので。
最後までこの長文を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?