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音楽作家の弟子募集!2023

CM音楽など、広告に関わるものを中心に音楽を制作している、OFFICE HIGUCHI 代表の樋口太陽と申します。
 
この度、数年ぶりに広告音楽制作においての「弟子」というポジションを募集しようと思い、こちらに詳細を記します。期間は1年間で、スタートは2023年5月頭予定。1年間で音楽作家として伝えれる全てを伝え、2024年4月末には独立していただくプランです。募集要項はこちらです。

応募はこちらのリンクからお願いします。


なぜ募集をしようと思ったか


今回の弟子募集の目的は一言でいうと「日本に広告音楽作家のプロを確実にひとり増やすため」です。

「えっ、ひとりだけに教えるのではなく、何十人と生徒を募集してプロをたくさん産み出すほうがいいでしょーよ!」と思われるかもしれません(専門学校などはそういう形です)。

しかし、広告音楽の音楽作家という職業は、教える方と学ぶ方がお互いに深く集中してコミュニケーションをとりつつ技術を体得しなければ、プロになる道は険しいと経験上感じております。
 
私たちは少人数の会社なので、現在の状況で技術をしっかりと伝えることができる相手は、ひとりが限界です。

そういう自分も、かつては弟子の期間を体験しました。自分の体験談をいうと、僕は今でこそ新宿区に自社スタジオを持つ、社長・音楽プロデューサーですが、十数年前は地方に住む、ただのバンド経験者のニートでした。その時のことはこちらの過去記事をご参照ください。

自分より先に東京で音楽制作の仕事をしていた兄からの誘いで上京し、弟子として手とり足とり音楽の作り方を学ぶ期間を過ごしました。詳しくはこちらも。

今振り返って、はっきり言えることとして、僕はこの「弟子」という立場の期間がなければ、広告音楽のプロとして生計を立てていく事など、到底できませんでした。広告音楽の間口はとても狭く、いくら「音楽の才能」があったとしてもキャリアのない人物に仕事のチャンスが回ってくるきっかけは、ほぼないのです。

その理由を書き出すとキリがないですが・・・簡単に書くと、

企業や行政が行う「広告」という極めて重要な活動の中で、関係者全員を納得させる「誰もが認める音楽」を限られた短い期間で産み出す必要がある非常に責任が重い仕事なので、経験豊かな「絶対にハズさない人物」にしか声がかからない

といったところでしょうか。そのような仕事を、ただのバンド経験者にいきなり任せられるわけがないのです。


なぜ弟子募集のチャンスが少ないのか


「独立を前提に、広告音楽の音楽作家の弟子募集!」という情報を見かけたことは、今までにあまりないかと思います。まずひとつの理由として、広告音楽を生業にしている人口が極めて少ないことがあります。どれぐらい少ないかというと・・・こちらの過去記事をご参照ください。

僕と兄は、ひょんなきっかけで広告音楽の世界に飛び込むことができましたが、普通に日常生活を送っていても、なかなかその機会は巡ってきません。

また、日本に存在する数少ない広告音楽制作会社が、運良くスタッフ募集をしていても、たいていは音楽プロデューサーのアシスタント募集です。作曲や編曲を担当する、音楽作家というポジションを募集している事は少ないです。なぜ音楽作家の募集が少ないのか。それは、音楽作家として育つまでにかかる時間とお金がたくさんかかりすぎるから。いわゆる「育成コスト」が高いからです。それならば自社で音楽を抱えず、すでに独り立ちしてプロとして活動している優秀なフリーランスの音楽作家の方に外注先として作曲を依頼した方がよい、というのが現実です。

なぜOFFICE HIGUCHIは弟子募集をするのか


そんな中、なぜ私たちは育成コストをかけ、弟子募集をするのか。

それは、2022年の年末に、弊社のもう一人の音楽プロデューサーである山本"ぶち"真勇と、しっぽりと忘年会をしていた時のことでした。彼はこんなことを言いました。

OFFICE HIGUCHI に代々伝わる特殊な技術が継承されず途絶えてしまうのは、もったいないことですね。

そんな彼も、かつては音楽作家としての弟子期間を経験しました。彼が入社した経緯はこちらをご参照ください。

彼は最初、音楽作家として入社しましたが、作曲、編曲のみならず、録音やミックスの能力も秀でていて、今では音楽プロデューサーとして広告音楽の責任者という重要なポジションにつき、妻子を持ち、都内の閑静な住宅街に一戸建てを購入し、最近に至ってはボルボのSUVを購入・・・(以下、省略)

と、その才能を花開かせた人物ですが、彼が広告音楽の世界に入ったきっかけも、僕がFacebookで一名限定で募集をかけたのをたまたま見つけてくれたという、針の穴を通すような出会いがあったからです。実際に弟子経験を経た彼の言葉で、やはり技術を継承していく人物が必要だなという背中を押されました。


弟子期間に何が得られるのか


特殊な技術というのは、何か。それは、音楽のジャンルを垣根を超え、作曲、編曲のみならず、効果音制作、録音、ミックス、はたまたMAに至るまでを網羅したシームレスな対応能力です。また、打ち合わせにも参加していただき、ジャンルの方向づけの過程も体験するなど、音楽プロデューサーの仕事の目線も体感できるので、将来的に様々な取引先と仕事をするにあたって、この経験はとても価値があるかと思います。

実際に、OFFICE HIGUCHIの卒業生で、現役で広告音楽の世界で活躍する人物がいます。宮川祐史と、zukioです。二人は、会社メンバーとしてたくさんの仕事をともにしましたが、現在は独立し、OFFICE HIGUCHIから発注する最高の取引先として、頼れる存在になっています。さらに、当社からの仕事だけでなく、他の広告音楽制作会社からも依頼を受けるプロフェッショナルとして、広告音楽業界にとって貴重な存在になりました。今回弟子になっていただく方にも独立後は、よき卒業生であり、よき取引先という存在になって頂きたいです。

また、弟子期間中は新宿区四谷の弊社スタジオを使っていただきます。スタジオはこのような場所です。

ミーティングスペース
コントロールルーム
レコーディングブース

当社の仕事では、ボーカルだけでなく、生楽器の録音を行う機会も多くあります。ソフト音源の発達により、生楽器の録音現場に触れることも少なくなってきているので、よい機会ではないでしょうか。

また、技術や経験はもちろんですが、今回の弟子期間に関しては「仕事の実績」を積極的に与えられるようにしようと思っています。〇〇の案件の作曲をやりました、という実績です。なぜなら、独立後にプロとしてやっていけるかどうかには、技術どうこうよりも、誰にでも伝わる、はっきりとした実績が何よりも大事になってくるからです。それをしっかりと渡せるかどうかは、無事に独立できるかにおいて非常に重要なところです。

そういった実績面も含め、一年後には独立して「取引先」になれるように最大限支援します。独立後にも、音楽制作だけで生計をたてていただけるように同業者を紹介していこうと思っています。

また、弟子期間中にも、もちろん個人の生活があるので、報酬の金額も大事なところです。弟子期間をなるべくストッパーがない状態で励んでいただきたいので、「弟子」というネーミングの割にはすこし余裕ある設定にしました。

弟子としての報酬は、年俸で300万円です。それを月々、12回に分けてお支払いします。独立してからの収入がどうなるかは、その人次第です。

作業環境が同じであることの大切さについて


油絵を描くことや、スポーツをすることと違い、音楽制作は、本当に面倒な・・・作業環境の違いという問題があります。音楽制作を行なっている人は山ほどいるかと思いますが、作業環境が全く同じ人はほとんどいないかと思います。

まず、使用しているPCがMacかWindowsかの違いに始まり、DAWのソフトが何か、使っているエフェクトのプラグインが何か、ショートカットに何を割り当てているかなど、人によって本当に千差万別です。音楽制作の共同作業をすることにおいて重要なことが、私たちと全く同じ作業環境であることです。

弟子になっていただくにあたり、全く同じ作業環境を構築していただきます。今回の募集は社員ではありませんので、基本的には弊社から機材の支給は出来ません。具体的なことを言うと、PCはMac、DAWはCubaseです。すでに環境を持っている方、又は自費で環境を揃えることができる方を対象とします。その他、細かなところは応募いただいた方に直接ご説明いたします。作業環境が同じでなければ細かな指摘が出来ず、途中で作業を引き継ぐことも出来ないので、弟子として徹底的に技術を伝えることにおいて、作業環境が同じことは、とても重要なことと考えております。

求めるもの

今回の弟子期間は一年間。卒業後にプロとしてその後やっていける状態までたった一年間でもっていく必要があります。一年間というのはとても短い期間なので、独立して音楽を仕事にしたいという、強い意思があるかどうかが、最も大事になります。一年間の勤務中はそうとうなハードワークが予想され、いきなり実戦の業務を遂行していただくことになります。ある程度は実際にDTMで制作活動をすでにやっている方でないと厳しいかもしれません。

双方のメリット

弟子になる方のメリットとしては、報酬を得ながら、技術・実績・人脈までもを得て、プロの音楽作家への第一歩を踏み出すことができる、という点です。

僕たちのメリットとしては、在籍期間に働いていただけるだけでなく、一年後によい取引先ができる、という点です。同じ制作環境という条件下で同じレベル感の技術を伝えた取引先が一人増えることは、私たちにとってのメリットになります。

スケジュール

応募締切は、2023年3月31日18時です。
4月中に選考、5月から勤務スタート予定です。

条件

なお、こちらは「音楽作家」としての弟子募集です。プロデューサーやマネージャーではありません。また、社員という形態ではありません。卒業後にプロの広告音楽作家になろうと本気で考えている方のみを対象としております。年齢は中学校を卒業していれば、とくに制限はありません。

東京都新宿区四ツ谷の弊社スタジオに通える範囲のところにお住まいの方のみを対象としております。一年間、集中して技術を磨いていただく必要がありますので副業は不可です。

募集は一名のみで、使用するDAWソフトはCubaseのみです。

選考方法

選考にあたっては、四段階で考えております。

①過去作品とプロフィールを添えて応募
すでにつくったことのある自分の作品とプロフィールを送っていただきます。もう一度、応募のページのリンクを下に貼ります。

プロフィールは、形式自由です。いわゆる履歴書のような形でもかまいませんが、よりパーソナリティーが伝わる形にしていただけると有り難いので、KeynoteやPowerPointなどを使い、くだけた形のプロフィールにしていただいてもかまいません。

自分の過去作品音源は、必須とします。映像データでも音源データでも構いません。楽曲の簡単な説明を添えてお送りください。第一次選考に関して、基準を満たした方にのみご連絡いたします。ご了承ください。

②楽曲制作の課題
第一次選考の通過者にのみ、納期やテーマをお伝えして実際に楽曲を制作するという課題をお渡しします。

③オンライン面談
第二次選考の通過者にのみ、オンライン面談を行います。

④リアル面談
第三次選考の通過者にのみ、実際にお会いする面談を行い、一名を決定させていただきます。

以上です。
ご応募、お待ちしております!

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