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【7】"ギャップを埋める"これが私の役割なんじゃないかって話。


Kaselehlie、ひぐちです。
皆様元気でしょうか。
私はすこぶる元気であります。

途上国ミクロネシアでの生活。
停電・断水・猛犬は日常茶飯事、
洗濯機・炊飯器・電子レンジなし。
それでも素敵な人々と大自然に囲まれ、
ストレスフリーで平和に生きています。

"私たちは、自分にあるものに満足することを学ばなければならない"

エピクテトス

「ないもの」だらけの環境で暮らすことで
「あるもの」に感謝し、満足に生きることが
どれだけ私を幸せな気持ちにさせるのか、
身をもって感じています。

「ない」=「不便」ではなく
「ない」=「考える必要もない」
これって、すごく幸せなことだ。

①疑問、それって本当なん?

さて、今回も活動についてのお話を。

前回紹介した啓発ワークショップを機に、
新たな活動が広がりを見せてきています。

ただ同時に、活動の中で
うーん?と疑問に思うことも。

私の配属先はミクロネシア政府の環境省。
同僚たちはいわゆる「上層エリート集団」
裕福な家系育ち、高学歴。
果たしてそのエリート達の言うことが、
どんだけ信憑性あるん?という疑問。

「住民はポイ捨てが悪いってわかってない」
「今の環境啓発活動は効果的じゃない」
など。

裏付けするデータがあるわけでもなく、
住民との交流が多い職場って訳でもなく、
何を根拠にそう言っているんだろう?
それって事実?それともあなたの解釈?

上層部・現場間の認識の乖離は
どの組織でも往々にしてあることだし、
ましてや政府組織と住民との間なんて
いろいろモヤだらけなのでは。

その乖離=ギャップに、
この地に舞い降りた日本人が
人間関係のしがらみとか度外視して
客観的な視点で、直球に切り込んでいく。

つまり、
事実をきちんと把握し、
それを各関係者にフィードバックし、
そのギャップを埋める活動をすること。


これが私に「できること」であり
JICA協力隊が「やるべきこと」
つまり私の役割なのではないか!



と、思い立ったものですから、



上層部と現場、両サイドの情報を集めるべく
早速、下記2つの活動を企画。

①環境省の職員対象ワークショップ(上層部)
②地元住民対象インタビュー調査(現場)

思い立ったら吉日〜
さあ、やってみよーう!

②省庁、爆上げワークショップ。

まずは上層部。
環境省の全職員にワークショップを実施。

主な目的は、
・環境省として認識している環境意識問題
・その問題がなぜ起きていると思うか

に関する意見を集めること。

ワークショップを始める前に、
英語・ポンペイ語・日本語・韓国語の
4ヶ国語で挨拶&小話するという
カオスなことしてみたら爆ウケした。
とりあえず「こやつおもろいやん」
って思ってもらう作戦、成功なり。

さて、まずはオンラインで実施してきた
全4州の環境局に対する
「環境啓発活動の現状調査」の結果を
環境省の職員にインプット。

州によって差があることが一目瞭然


今まで誰も環境啓発活動について
詳しい調査をしてこなかったので、
環境省の職員にとっても新情報祭りで
とても興味深く聞いてくれたご様子。

例えば、
「全州の各学校に環境クラブがある」
と言ってたのに、実際に訪ねてみると
廃部・廃部・廃部のオンパレード。


こりゃ誰も現状を正確に把握しとらん。
だから私が明らかにして見せようホトトギス。


次に、アンケートフォームで職員達に
「環境啓発活動」への意見を集めました。

例) 環境啓発活動の改善の必要性をどれくらい感じる?
期待以上に真剣に取り組んでくれた職員

その後、
「啓発活動が特に必要と思われる分野」
「啓発活動を企画する上での問題点」
をペアで共有し、発表。

分野に関しては8割以上が「ポイ捨て問題」
問題点は「人々の関心不足」「資金協力不足」
などが挙げられ、メンバー同士で
なぜこれらの問題が起きているのか話し合い。

こうして問題を深ぼりした後、
「効果的な啓発活動にはどんな要素が必要?」
というテーマでブレインストーミングを実施。効果的な啓発=人々の行動が実際に変わる

付箋にできるだけ多くの意見を書いて、
グループワークで分類化&優先順位付け、
最後にグループ発表。

啓発ガイドラインに参考になる意見ばかり

効果的な啓発活動の要素として、
・活動の継続性(一回限りは効果ない)
・活動の評価(定期的なモニタリング)
・見本の提示(ロールモデル、代替案)
という意見が多く挙がった。

特に見本の提示に関しては100それな。
単に「ポイ捨てやめて」と言うのではなく
「ポイ捨てではなく、次からこうしてね」
という、現実的な代替案を提示しないと
人の行動を変えるのは難しいだろう。

お気に入りの一枚
訳)口先だけじゃなくて、有言実行せよ


グループワークの発表タイムで
超カリスマプレゼンターが出てきて
場を爆盛上げしてたのが凄かった。

みんなゲラゲラ笑いすぎて
ちょ、カエルなん?と思うほどに。

私も聴衆をカエルにするくらいの
プレゼン技量を身に付けたいものです。


とこんな感じで、
1時間半に及ぶワークショップ、終了。

上層部にいる職員たちが
問題視していることを理解できた。
けどその問題点が事実なのかどうかは、
「現場」を見てみないとわからない。

ということで、次は
現場=住民の意見を聞いてみせようホトトギス。
さあ、いってみよーう

③住民、突撃☆街頭インタビュー。

太陽カンカン照りの夏。
質問用紙のファイルを片手に、
街中をどこまでも練り歩き、
止まらない汗を拭いながら、
最大のスマイルと謙虚さを兼ね備え、
知らない人にいきなり話しかけまくる。


これが、突撃☆街頭インタビューだ。


買い物客を呼び止める我
運転手だろうと、
暇そうな人間に突撃する我


ということで、
とある平日の3日間、一般市民を対象に
街頭インタビューを実施。

突撃アタックなので、なるべく
「めんどっ」と思われないよう
質問はシンプル3つに絞り、
畳み掛ける作戦で臨みました。
(結果一度も断られず回答率100%)

質問と回答要約
1. 環境啓発活動に参加したことある?
→6割がYES!でも頻度は年に1回くらい
2. なんでみんなポイ捨てしちゃうと思う?
→面倒くさい。既にポイ捨てあるから。ゴミ箱不足。
3. 啓発活動への参加後、行動は変わった?
→8割がYES!ポイ捨て止めた、今はゴミ袋持ち歩く。

頻繁に環境教育が行われているとは言えない


調査をする前は、
「啓発活動の質向上が重要」と思ってたけど、
現状の活動でも意識が変わった人が8割以上。

「環境に悪いことを知ってポイ捨てやめたよ」
→現状の啓発活動でも、一定効果がある。
「ゴミ拾い活動に参加した後、友達がポイ捨て
してるところ見かけたら止めるようになったよ」
→現状の啓発活動でも、拡散力が期待できる。
(ミクロネシアは日本よりコミュニティ内の
同調圧力・帰属意識が強く、拡散力に期待大)

でも啓発活動は頻繁に実施されていないことが
明らかになった。継続性を確保することで
啓発活動に参加したことある人の割合が増え、
彼らがコミュニティ内を啓発していくことで
全体的な社会規範にじわじわ影響を与えられるのでは。

というのが私の仮説。

質も大事だけど、量あってこその、質改善。


血・汗・涙が滲み(かけた)インタビュー用紙


そして今回の街頭インタビュー、
せっかく多くの住民と話せる機会。
啓発活動もしちゃおうと思い、
毎回のインタビューの最後に
下記メッセージを伝え続けました。

あなたの小さな行動はやがて
大きな変化にも、大きな問題にも成り得る。


「はるばる日本から、私たちの環境のために
素晴らしい活動をしてくれてありがとう。」
と、一瞬で疲労が吹き飛ぶような
言葉をかけてくれる方もたくさんいました。

この国の人たちはやっぱり素敵だなあ。と、
改めて人の温かみにたくさん気づけたのも
インタビューを実施して良かったことです。


④役割、あえて飛び込んでいく。

上層部への環境局ワークショップ。
住民への街頭インタビュー。

この2つの活動で得た情報を
「活用」しないと意味がないので、
しっかりデータ分析し、レポート作成。
それを私のカウンターパートはもちろん、
州政府の環境局にもフィードバック。

今まで上層部がそれぞれの肌感覚で、
「解釈」で捉えていた環境教育事情を
数字・データを用いて提示することで、
こちらも仮説・ネクストアクションを
説得力を持って提示することができたし、
お互いの共通認識を深めることができた。

そしてこの住民調査を他の3州でも
ぜひ実施しよう!という話に。ヤッター


この国の人たちが諸々の事情で
やりたがらないようなことに、
あえて私が飛び込んでいく。

こんな感じで私は日々、
何もないところから何か企画して、
とりあえずやってみて、
その結果を共有してみたら、
その活動を広げてみよう!ってなって。
ていう模索改善サイクルを繰り返しています。


ゼロから活動を生み出すって、
なんだか広い海に飛び込むみたいで
ちょっと怖さもあるけれど、
実際にその海に飛び込んでみると
そこには無数の綺麗な魚がいるように、
素敵なことや新しい発見にたくさん出会える。
そういうものなんじゃないだろうか。

まさに、ミクロネシアに広がる
美しすぎる、壮大な海のように。

海の上からは見えないけど、
海の中は美しさで溢れている


ちなみにカナヅチだった私は
超ハードモードな特訓のおかげで
泳ぐことが大好きになってしまった。

圧倒的山ガールから海ガールへと
進化を遂げている最中であります。



果たしてひぐちは2年後、
どんなガールになっているのだろうか。



乞うご期待あれ。

ではまた。

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