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アルビレックス新潟2020ユニフォームに見る進化の跡

我が家にも待ちに待ったアルビレックス新潟2020シーズンのユニフォームが届いた。

このユニフォームの実物を手に取って気付いたことがあるのでそれについて書いておきたい。

最初に結論を言うと今年のアルビのユニフォームは間違いなく進化をした。

なのでその事実を一人でも多くの人に知って貰いたい気持ちから、このコラムを書くことにした。

遡ればこのユニフォームは昨年10月にデザインが発表された際にネット上では賛否両論、いやどちらかと言えば否の声が強かったように思える。

デザイン料をケチった手抜きだという辛辣な声もあったが、これについて是永社長がTwitterでわざわざ否定していたのが印象的だ。


僕も実物を手にして確信した。

手抜きなんかじゃない。

それどころかスタッフの努力が垣間見える素晴らしいユニフォームだと。

さてここからはその理由について述べていきたい。

ALLオレンジへの挑戦

こちらがプレリリース段階の2020ユニだ。

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上の是永さんのツイートにもあるが、従来と比べて今年はオレンジ一色になったことが一目瞭然だ。

アルビのチームカラーがオレンジとブルーなのは周知の事実。

なのに今年はオレンジ一色に舵を切った。

これに関して是永さんはこう続ける


ブルーは我々サポーターに加えて欲しいのだと。

その為にオレンジ一色にしたと。

しかしこのALLオレンジ化というのは言うほど簡単な話ではない。

簡単ではない理由を述べるにあたり少し話を脱線させてしまうが、僕は日頃から資料を作る時に見やすく作ることを心がけている。

見やすさを構成する要素の一つに配色がある。

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上の図はあくまで一例だが、使う色は3色に絞り上記の比率を守ることによってモダンで洗練された印象を与えることが出来る。

逆にこれ以上に色数を増やしたり、比率を無視すると途端にガチャガチャした印象になってしまう。

目に飛び込んでくる情報量が多過ぎるのだ。

従来ユニフォームがガチャガチャした印象を与えてしまっていた理由の一つに、スポンサーロゴによる色数の多さがある。

今回アルビはこのガチャガチャ感を排除するという課題に真っ向から向き合ったと思われる。

まず下地となるベースカラーは勿論オレンジ。

フォントカラーは白。

そしてアクセントカラーは我々が加えることを期待されている青。

最初にこの3色と決めて制作したのではないだろうか。

その実現の為に至上命題となるのがスポンサーにロゴの色の変更を許可して頂くことだ。

これが決して簡単なことではない。

ロゴの色は企業理念等を象徴したものであるため、色の変更はおいそれと許可出来るものではないのだ。

ちなみに僕が勤めている会社(食品メーカー)のロゴは暖色だが、例えばこれを寒色に変えさせて欲しいと依頼が来たと思うとゾッとする。

しかし

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DenkaさんとNSGグループさんのロゴが白になっているのだ。

本来のコーポレートカラーはこれ。

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あまり触れられていないがこれは凄いことだ。

見事コーポレートカラーの変更の合意を引き出したのだ。

アルビ側の交渉の熱は並大抵のものではなかったと思われる。

つけ加えるならば白への変更なら企業イメージを損ねにくいという点も、合意を引き出せた理由かもしれない。

さらに言うと白は無彩色だ。

無彩色は色数が増えた印象を与えない。

誤解を恐れずに言えば「あっても気にならない色」と言っていいだろう。

ただ一方で気にならないということはスポンサードしている意義が少し薄れてしまっていることにも気を向けなくてはいけない。

ここらへんの真偽はどうあれ今回スポンサー側の大英断があったことは間違いない。

ちなみに

2019シーズンユニフォームでも同じことを試みたが実現しなかったと推測される。

なぜならプレリリース段階ではNSGグループさんとDenkaさんのロゴは白だが、発売時には本来のコーポレートカラーになっているからだ。

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アルビにとってはこの2社のロゴのカラー変更は一年越しの悲願なのかもしれない。

さらに昨年のユニフォームと並べて気付いたことがある。

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亀田製菓さんとコメリさんのロゴも赤からオレンジになっている。

厳密にはオレンジレッドだろうか。

ALLオレンジというテーマを完遂するために、ここでもまたコーポレートカラー変更の交渉を行ったのではないだろうか。

今年のユニフォームに「シンプル」という感想を覚える人が多いが、こういった障壁を幾つも乗り越えたからこそ行き着けるのが「シンプル」なのだろう。

何よりシンプルという感想はガチャガチャ感の排除に成功した証拠に他ならない。

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ちなみに袖の部分のNAMICSさんだけはコーポレートカラーそのままで、結果的に例外となった。

しかしこれは従来通りで何もおかしいことではない。

HPを拝見すると自然やナチュラルというワードが何度も出てくるので緑というコーポレートカラーを大事にされていることがよく分かる。(来季もよろしくお願いします)

こうして見ると僕らの手元に実物が届くまでに、クラブが当初に掲げたALLオレンジを実現する為に最大限の努力をしたことが窺える。

あとは最後に青を加えるという仕上げは僕らに委ねられているのだ。

おわりに

今年はまだ僅かな変化だがこうやってクラブ・スポンサーが一体となりデザインの質の向上を図る。

これを繰り返して行くことで、ユニフォームは単なる広告掲載媒体を超えた価値あるものに進化するのではないだろうか。

つまりはブランド力を帯びていく。

普段から着たいと思ってしまえるほどに=STADIUM TO STREET。

今年のユニフォームにはその進化への一歩が刻まれていると思う。

そしてもう一つ昨年のユニフォームと見比べて気付いたことがある。

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全農にいがたさんがユニフォームスポンサーから撤退していたことだ。

スポンサーは永久不滅ではない。

協賛する価値がないと判断されればそれまでなのだ。

いつまでもJ2に甘んじているわけにはいかない。

その為にいま僕らが出来ること。

それは苦心の末に出来上がったこのALLオレンジのユニフォームに青を加え、スタジアムをオレンジブルーに染め上げて声を枯らすことなのだろう。

今から開幕戦が楽しみでならない。

そして今年こそ42試合を闘い抜いた後には、悲願の光景が広がっていることを願ってやまない。

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