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教員生活38年を振り返って⑤(教職経験25年〜)

 退職を機会に、38年間の教職生活を振り返ってみたいと思います。振り返るに当たっては、私の勤務した自治体(都道府県レベル)の教育委員会が作成した「教員等の資質能力の向上に関する指標」に示されているキャリアステージに沿うこととします。

 指標にはステージ4(熟練期/教職経験25年〜)の基本的資質能力として、次の記載があります。
○教育的愛情や使命感・情熱に基づき、率先して行動でき、信頼関係が確立されている。
○コンプライアンス意識を有し、他の教職員の模範となる良識ある言動ができ、他の教職員に指導・助言できる。
○他の教職員、児童生徒、保護者等と積極的にコミュニケーションができるとともに、他の教職員の活動に関わり、指導・助言できる。
○不断に自己を省察し、研鑽に励むとともに、自らの資質能力の向上を学校全体の教育実践の充実へつなげることができる。
 このステージには、さらに「学校経営への参画」として、次の記載もあります。
○高い調整力を有し、教職員の連携・協働の状況に目配りをしながら、円滑な教育活動につながるよう指導できる。
○リーダーとして、不断の研鑽に励み、自らの人格と資質能力を高めな がら、学校経営に参画することができる。

 さて、教職最後の14年間も、様々な校種・職種を経験しました。(下表参照)
 最後の3年間は、初めての小学校での勤務でした。さらに、⑤も⑥小学校も、その自治体に勤務することすら初めてでした。中学校の経験を生かしその視点で小学校の教育活動をさらに充実させることが私の使命だと勝手に理解して、十分に知らない先生方に、様々な指摘をしてきました。
 それは、授業が簡単に変更されたり延長されたりすること、教科主任が全く機能していないことなどです。学級担任制のもとで、これまで特に問題もなく実施できていたことなので、先生方には「小学校で授業をしたことのない者が何を言っているのか。」という受止めだったと思います。でも、専科の導入、熱心に教材研究をしても授業は1回きりという現状からすると、重要なことではないかと思っています。
 経験のない小学校でこのようなことが課題と感じられたのは、学校教育課や教職員研修施設での経験(小学校の教育内容も業務の対象だった)が生きていると思います。経験を後の業務に生かすということでは、同和加配教員として同和教育に携わったこと、社会教育主事講習で刺激を受け社会教育に携わったこともです。また、それぞれの業務を通してともに汗を流した人との出会いが、その後の心強い存在となりました。

 私は、仕事に対して「前職を退いた後に、その職としてのかかわり方ができるようになりたい。」と思って取り組んできました。このことを感じはじめたのは、同和加配教員をしていたときです。同和問題の解決にどのようにかかわるかは、就いた職としては当然ですが、職を退いても人として当然のことだからです。
 また、指導主事として授業改善を図っていますが、その後、一人の教員として授業改善に取り組むことは当然のことです。職を退いたときの言動で、在職時にどのように取り組んでいたかが問われるのだと思います。
 その意味では、36年目に赴任した⑤小学校では、社会教育での経験が問われると思いました。小規模校で、地域住民の協力を得ながら教育活動が行われていたからです。定年退職までの3年間、児童も地域住民も成長する「地域とともに歩む学校」をめざして、コミュニティ・スクールを実現したいと考えていました。ところが、1年で異動になり、実現は次の校長に引継ぐことになりました。唯一の心残りです。

 こんな私が、児童生徒の成長や地域住民の学びに好影響を与えられたのかどうかの評価は、たくさんの教え子やその保護者の方々をはじめ、同じ職場で温かく支えてくださった先生方など、関係の全ての方に委ねるしかありません。
 未熟な私が、様々な経験を経て、最後は校長をさせていただきました。充実した38年間でした。お世話になった皆様、ほんとうにありがとうございました。
 人は成長するということを信じて、若い先生方とかかわっていきたいと思います。

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