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教職不人気!?教員採用試験が定員割れ

新潟県教員採用試験でいよいよ定員割れが起きてしまいました。ニュースの概要と、その背景にある要因を分析してみます。


新潟県教員採用試験が定員割れ

新潟県教育委員会は、志願者数が少なく2025年度採用予定人数を確保できない恐れがあることを発表しました。深刻なのは中学高校の国語で、採用予定55人に対し27人の出願でした。他にも、英語と小学校も出願者が足りないそうで、辞退状況によっては、他の教科や校種でも不足が懸念されるそうです。

なぜ大幅な定員割れが起きた?

教員採用試験での大幅な定員割れは、筆者が知る限り今回が初めてです。要因は何でしょうか。

日程が重なっているから

2021年7月4日:新潟県/新潟市/福井県
2022年7月3日:新潟県/新潟市/福井県
2023年7月2日:新潟県/新潟市
2024年7月7日:栃木県/群馬県/埼玉県/さいたま市/千葉県/東京都/神奈川県/横浜市/川崎市/相模原市/新潟県/新潟市/山梨県/山口県

年度別の新潟県と同日試験実施の自治体一覧

元々新潟県を第一志望とする志願者が少なかったところに、他自治体が日程を重ねてきた結果、併願が無くなり大幅な定員割れが起きたことが考えられます。逆に、今回採用試験を受けた方は、新潟県の教員になりたい気持ちが強い人ばかりかもしれません。

2021年度 51名
2022年度 47名
2023年度 51名
2024年度 27名 (今回)

【教科別】新潟県教員採用試験の倍率

国語科教員の志願者数を取り上げてみると上記のような推移になっています。志願者数が今年は特に大幅に落ち込んでいることが分かります。

採用人数が多いから

以下は、新潟県の中学校教諭・高等学校教諭の採用試験実施年度別の採用予定数推移です。

本年度2024年は前年度より1.5倍の大幅増です。採用人数が多くなれば、同じ志願者数でも定員割れが起きやすくなります。

教職志願者が自体が減っているから

令和5年度(令和4年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント

最後に、自治体共通して志願者全体もそもそも減少傾向です。特に著しいのが既卒者です。これには一度大学を出て臨時教員(非正規雇用)として働き始めた方や、社会人を経験してから教員採用試験に挑戦する方が含まれます。なお、この統計は、複数自治体を同じ人が志願した場合は重複してカウントされています。教職を目指す人は実際にはもっと少ないです。

令和5年度(令和4年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント

さらに、全体の採用者数に目を向けてみると、正規採用されて既卒者が減ったとも限りません。採用者数が劇的に増加したわけではないのに、志願者が大幅に落ち込んでいるからです。既卒者が受験をしてくれないということは、一度教員を目指しても採用試験に受からなかったら民間に就職し、人材が戻ってきてくれないということでしょう。教員は定額働かせ放題と言われます。民間と比べての待遇や労働環境の悪さがここに現れているように思われます。

まとめ

新潟県教員採用試験での定員割れを取り上げました。教職は待遇の悪さから不人気な仕事です。今後は全国的に、必要な教員が確保できないほど志願者が少ないことは珍しくはなくなるかもしれません。公教育の崩壊が到来しつつあるようです。

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