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令和の公立学校の状況

ここ数ヶ月のニュースから、令和の教育現場の状況をまとめてみました。


給食提供が一部学校で停止

公立学校に給食を提供する事業を行っていた会社が破産し、給食提供が各地で停止しました。原因は、昨今の物価高やエネルギー価格上昇人件費の高騰などにより、元から薄利多売だった給食事業が赤字続きに陥ったことです。

学食を運営する業者が撤退することは実は昨今珍しいことではありません。少子化による生徒数減に加え、食材や光熱費、さらには人件費の高騰で年々経営は厳しさを増しているにも関わらず、給食は安くて美味しいものだ、というイメージが価格転嫁をしずらい状況を作っています。低価格では経営が成り立たず、業者が撤退しているのです。

給食を停止した学校では、子どもが弁当を持参したり、教員が代わりにお米を炊いたり弁当をコンビニで買うなどして、対応しています。

教職員へ損失を自腹で賠償させる命令

プールの注水を行った際、機械トラブルやマニュアルが無かったことなどからのミスが原因で、プールの水が無駄になる事件がありました。川崎市教委は、水が5日間流れ続けプール6杯分が流出したことで約190万円の損害が発生したと発表し、損害額の5割を校長とプール担当の教諭に自費で賠償するよう請求しました。

民間では業務上の過失を自腹補填させるなど、ブラック極まりないことです。市役所など同じ公務員でも、税の還付額を誤って1千万円ほどの損失を出す等の事件があります。しかし、自腹で補填するようには求められません。今回は学校の教員に自腹で補填するよう市長が命じたため、教員いじめのような形になり、波紋を呼びました。

教員不足がますます深刻化

全国の公立小中高校などで欠員が生じる状況が、教員不足です。2023年4月の始業日時点と前年同期を比較した結果、「悪化した」と回答した教育委員会の割合が4割超に上ることが文科省の調査で判明しました。

教員のなり手不足解消を目指し、各地ではペーパーティーチャーセミナーが行われたり、中学生や高校生向けに教職の魅力を伝える説明会が実施されたり、採用試験の面接のみで合否を決定したり、大学三年生から受験可能な制度を整えたりなど、各自治体が工夫を凝らしています。

しかし、2024年度の教員採用試験では、志願者が前年比で4.5%の減少を記録しました。過去最低の低倍率になった自治体も半数に上るなど、深刻な教職不人気が続いています。教育部での免許取得には4年かかりますから、約4年後にはさらに深刻な事態になり、全国の自治体で定員割れが続出することも懸念されます。

そこで、沖縄県では全国初の取り組みとして、教員免許未取得の大学生を教員として教壇に立たせる取り組みが始まりました。免許を持たない大学生へ臨時免許を交付し、授業や成績などの担当をさせることで、教員不足の解消を狙っています。臨時免許の発行による学生の動員は、今後全国へ広がるかも知れません。

まとめ

教員不足により教育活動が困難になるだけでなく、給食が停止したり学生が動員されるなど、各地で大きな課題が起きているのが令和の学校です。良いニュースが見当たらないところが悲しいところです。

引用文献

静岡県、学校給食5校で停止 委託業者と連絡取れず

広島市の業者が突然給食提供を停止 影響は福岡や佐賀にも 学校の“食”を取り巻く環境厳しく

広島の業者、給食提供を突如停止 各地の学校、寮の食事確保など苦慮

教員の解消へ!ペーパーティーチャー対象の説明会 長崎県で初開催

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