見出し画像

地方のD2Cブランドが「無意識」を意識すべき理由

こんにちは、マクアケ名古屋の武田です。
タイトルを読んで「はて??」となった方が多いことかと思いますが、しっかりと書いていきますので、何卒お付き合い頂けますと幸いです。

これは、日々様々な実行者さまとお打ち合わせをする中で、ずっと思っていたことです。僕はこの「無意識」に希望を感じています。

購買の意思決定プロセス

人の意思決定は、約90%が無意識とも言われていますが、全てが無意識なわけではないことを、まず初めに言わせて頂きます。

購買行動に関していえば、広告や友人のオススメ、店頭で商品を目にした時、まずは直感で良いか悪いかを判断します。(これに関しては前頭葉の特定部位で判断されるため、無意識下で行なわれる。また、ドーパミンの量とも言うことができるため、これもまた無意識である。)

そして、「良い」と思った商品に関して検討が行われます。これは無意識ではなく「有意識」で行われ、とても合理的な判断がされます。
他の商品より良いか(比較検討)、ものは確かか(スペック)など。

このチェックを潜り抜けると、ようやく「お買い上げ」となるのです。(中には直感でものを買う方もいるが、直感でのみで購入する方は稀であろう)
あくまで注意されたいのは、意思決定が完全に無意識で行われるのではなく、理性的な意思決定のインプットとして無意識的な感覚が使用されるということです。(ブランドと脳のパズル,エリック・デュ・プレシスより)

また、低関与or高関与(価格の高低)の議論もあるが、とある研究では関与どうに関係なくこのプロセスが当てはまるとも言われており、汎用的な意思決定プロセスとして問題ないように思います。

まとめると、人は意思決定を行うとき、「理性」と「感性」の両方で判断しているのです。

地方ブランドの課題

購買の意思決定プロセスについて話してきたわけですが、多くの日本ブランド、特に地方のD2Cブランドはこのプロセスを理解できていないor軽視していたように思います(もちろん、全てではありません)。

全てのブランドではありませんが、下記のようなブランドを何度も目にしてきました。

・機能や性能だけをアピールしてしまう。
・メーカーとしての実績や歴史から話し始めてしまう。
・品質検査のエビデンスを全面に出してしまう。

どれも素晴らしいことであり、実績であるのですが、これだけではブランドは生活者に買ってもらえません。
なぜか、これは全て「意識下」の話だからです。「理性」なのです

冒頭の通り、人間は無意識にも判断しています。脳のバッテリーは有限であり、できるだけエコに生きたいため、いちいち機能や歴史やらエビデンスやらを考える余力がないんです。

なので結論、日本ブランドはもっと無意識に向き合う必要があると思います。
逆に言うと、これだけの実績や歴史があるので、無意識を攻略できれば、日本ブランドはかなり有利になるはずである。

無意識ってなんなの

と思ったことでしょう。無意識に向き合うのは分かったけど、つまりどういうことなのかと。
結論から言うと、それは五感です。

綺麗、カッコイイ(視覚)
イイ香り(嗅覚)
心地よい音、音楽(聴覚)
良い肌触り(触覚)
美味しい(味覚)

これらに対してアプローチすることで、生活者の無意識に入り込むことができます。もちろん、ただ単に無意識に作用するだけではダメで、あくまでユニークな識別特性をもって入り込むことが重要です。ブランディングの科学,バイロン・シャープ)
そしてこの無意識を支配して初めて、生活者がブランドの「検討」を始めるのです。

世間では主に「視覚」による2Dのブランディングが主流ですが、マーティン・リンストローム氏は「五感刺激のブランド戦略」の中で全ての感覚を駆使したブランディングである5Dブランディングを推奨しています。

「無意識」に関する良い事例

ブランドの「無意識」について考えるとき、私が一番に思い出すのは「Abercrombie & Fitch」です(以下、アバクロ)。

画像1

いわゆる「アメカジ」ブランドですが、「HOLLISTER」や「AMERICAN EAGLE」などのカテゴリー競合が多い中でも「無意識」への傾倒が特に強いと思います。

まず、店員。アバクロの店員は、ほとんどが日焼けした長身の筋肉マンか、小麦色のスタイル抜群娘です。(画像はイメージです)

画像2

「容姿」はとても簡単に無意識に入り込むことができるので、効果的な採用ですね。(カッコいい、可愛いに論理性などないだろう。)

次に、店内の香り。店に行くとわかりますが、アバクロの店内は独特の強い香水の香りがします。(私はあの香りをアバクロ以外でかいだことがない。)
明らかに無意識へ訴えかける仕掛けであり、似たような香りでアバクロが欲しくなったりするのは、まさに、香水のせいだよ〜。なのです。
嗅覚は大脳辺縁系に直接届く感覚なので、非常に強い情動を喚起すると言われています。
という意味で、瑛人の「香水」は5Dブランディングを語る上で重要な曲なのです。

最後には音楽。店内には、とても心地良いとは言えないEDMが流れており、これも無意識への働きかけです。
なぜかは分からないが、アバクロの店に入るだけで、なんかイケてる気分になるのは僕だけだろうか。

上記のように無意識に作用することで、他ブランドは一線を画し、あれだけのムーブメントを起こしたのでしょう。

じゃあ、何すればいいの?

いきなり五感を駆使するのは至難の技なので、まずは「視覚」から入るのが良さそうである。同じくマーティン・リンストローム氏によると、人間の感情の83%は視覚に起因するとも言われている。

とすると重要なのは「デザイン」になるのですが、これに関しては下記のnoteで詳しく話しているので、是非参考にして頂きたいです。
ただ単に生活者の視覚に入り込むだけではなく、独自性をもって入り込む考え方について書いています。

という意味で下記のプロジェクトは、とても素晴らしい成功事例のように思います。

浅草にある革靴屋メーカーが実施したプロジェクトで、プロジェクトページにはデザイン会社に依頼しました。

靴業界は、年々、生産ラインをアジア圏に持ち、コストを下げた生産を余儀なくされています。市場が衰退し、メーカーそれぞれがコストパフォーマンスを考えながら生産しなければならない為です。
でも、私たちは、そんな時代にあえて一貫生産を守り抜き、自社の工場を浅草に置き生産を続けています。
また、デザインに関しては下記の書籍もお勧めなので、是非試して欲しいです。

という実行者インタビューにもある通り、ものづくりへの思い、こだわり、技術は確かなものがあります。しかし、これだけを伝えても、お客さんは振り向いてくれません。
もっと無意識に作用する、感覚的に「いいね!」となってもらえるための世界観づくりが必要だったので、下記のような「洒落たカップル」を登場させることで、「なんかイケてる」「雪駄ってオシャレなんだ」と、まずは感じてもらうことを優先しました。

画像3

結果的に2000万円以上の応援購入を集め、様々なメディアにも取り上げられました。これは、ただ単に「イケてる」からではなく、その裏に確かな技術をもった職人さん、熱い担当者がいたからです。このことを忘れてはなりません。

今回の事例では、「視覚」「デザイン」について話しましたので、下記にとても良かった本を置かせて頂きます。

日本のD2Cブランドのこれから

日本、特に地方のD2Cブランドが無意識を攻略できれば、僕は無敵だとも思います。これだけの技術、歴史があれば、買うだけの言い訳は十分だと思うのです。  
なので、僕は無意識の重要性を様々なメーカーさまにお伝えし、主にデザイン会社とタッグを組むことで、地方から素晴らしいブランドが世の中に出ていくお手伝いをしたいと思っています。

参考書籍

Twitterもやってます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?