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こじらせEpisode2:「声出しが苦手なオタク」

情勢も落ち着いてきて、少しずつライブや
イベントごとが通常開催され始めた今日
この頃。私のこじらせも新たなステージに
足を踏み入れている。

その要因となっているのが、声出し解禁だ。

そもそも声出しにはいくつかの種類がある。

まず「皆も一緒に!」的なあれ。
アーティスト側がワンフレーズ歌った後、
マイクを客席に向けて、ライトが当たって、
アーティスト側が嬉しそうに声を聞くあれ。
もしくは、アーティスト側が皆も!的な
ジェスチャーでバンド演奏が控えめになって
アーティストと客席にいる皆で歌うあれ。

このパターンの声出しには、
私の拗らせもそこまで反応しない。
「声でかいと思われてない?」
「自分音痴とか思われてない?!」とかは
そこまで気にならないし、気になったときは
自分が声量を抑えれば済む話だからだ。

次に、曲間にメンバーの名前を呼ぶあれ。
こうなってくるとグレーゾーン。
自分に置き換えたら居たたまれなくなる。
これに関しては、メンバーの名前を叫んだ
タイミングで本当は音響さんがそこで流す
予定だったサウンドを流せず困ってたら…
とかまで考えると絶対に叫べないし、
MC途中とかでそれが始まると、

「うちの子がまだ昨日食べたグルメの話を
 してる途中でしょうが!!」

…と1人北の国からを始めそうになる。

他にも、アンコールを呼び込むために
歌詞のワンフレーズを歌うあれ。
あのとき、歌詞とか音程があやふやだったり
出て来るのを待つにしては明らかに短くて、
先に進みたくてうずうずする尺のフレーズが
繰り返されてたりすると、モゾモゾする。

あともはや全然声出し関係ないけど、
シンプルに最近のライブアンコールの
呼びかけ絶対早いよね?最後のメンバーが
はけて1分足らずでアンコールの掛け声が
始まるの絶対早いよね?!水分補給したり、
グッズに着替える時間絶対ないよね?!

それはさておき、いよいよ本題拗らせの話。

「皆どこから来たの?」的なあれについて。

こうなってくると私の拗らせは
凄い勢いで仕事をし始める。
声出しなしのライブは楽だった。
「どこから来たの?…ここ地元の人~!」と
アーティスト側が聞いてくれるから、
手を挙げるだけで意思表示ができたのだ。
でも、声出し解禁されたらどうだろう。
「東京~!」「大阪!」「北海道から~!」と
ここぞとばかりに、声出し合戦が始まる。

運が良ければそこにアーティストが反応して
「〇〇から来たの?凄っ!ありがとね?!」
みたいな言葉を貰えるかもしれない。
だから、いかに大きい声で届けるか勝負的な
側面があるような気がする。

私はこの声出し合戦に苦い思い出がある。
私にも拗れていない無敵時代が存在した。
しかし無敵だった私は、地元のボーイズ
グループのライブでこじらせを開花させる。

アンコールのタイミングで、メンバーから
「何が聞きたい?」と質問があった。
聴きたい曲があった私は、いわゆる
トンチキソングと言われる曲名を叫んだ。
シンプルに好きだったのと、その曲の
トンチキ具合をいじって笑うメンバーが
見たかった…のだけど…結局アンコールで
披露されたのは王道応援ソングだった。

そう、私は声出し合戦に負けたのだ。
その瞬間、これまでにないタイプの汗が
全身から吹き出してきた。

「待てよ…これ傍から見たらトンチキソング
 言って目立ちたかった奴じゃない?しかも
 そのくせに拾われてなかったかなりの
 イタい奴じゃない?」

穴があったら入りたいとはこのことかと
思うくらい、何度もその光景を思い出しては
恥ずかしくなって、早く帰りたくて、
アンコールの記憶はほぼない。何なら、
しばらくそのグループの曲を聞けなかった。

このトンチキソングスベりの一件から、
私は声出しを封印している。

こんな感じで声出し解禁に喜ぶ
アーティストを見て嬉しくなる反面、
様々な拗らせ不安が浮かんでくる。

声出しが解禁されて、ライブの母数も増えて
今後私のこじらせがどこまで回復するのか、
はたまた加速するのか、ちょっと楽しみな
節もあったりなかったり。

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