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#9 / 大田区100人カイギキュレーター高橋誠さん「大切なのは今、原体験は創れば良い」

& stories” は、100人カイギに関わって頂いた方の想いを、深堀り、紐解き、お届けしていくマガジンです。

今回ご登場いただくのは、2020年コロナ真っ只中で立ち上がった" 大田区100人カイギ " キュレーターの高橋誠さん。

想定外のコロナが直撃、やむを得ず全てオンライン開催となりながら、熱量高く走り続けることが出来たのは何故なのか。その裏側にあった様々な工夫や、100人カイギを経験したからこそ芽生えた想いについて、語って頂きました。

高橋 誠(たかはし まこと)
一般社団法人パラレルプレナージャパン理事/大田区100人カイギ発起人 
1990年、富士通入社。2013年から大田区蒲田のある事務所で勤務。その最中2019年9月に100人カイギを知り、まだ開催していない大田区で100人カイギをやってみようと決意をする。翌2020年8月から「カオスを楽しむ」をキャッチコピーに「大田区100人カイギ」を正式スタート。
社内/社外ともに有志が集まったコミュニティを複数活動しており、2021年4月には一般社団法人パラレルプレナージャパンを有志メンバーで立ち上げ、現在理事として活動中。

■趣味はzoom!?


―― 本日は宜しくお願いします。まずは、簡単に自己紹介をお願いできますか。

はじめまして!高橋誠と申します。今日は宜しくお願いします。

埼玉県出身、川崎市在住。妻、大学1年になる長男、中学2年になる長女の4人家族です。仕事は、1990年にご縁を頂いて富士通に入社、以来33年、富士通一筋でやってきました。

―― 富士通では、どのような業務に携わって来られたんですか!?

キャリアとしてはシステムエンジニアからスタート、10年ほど現場経験を積んだ後、プロジェクトマネージャーとしてSE業務全体の管理を10年ほどやりました。

その後、自身の視野を広げるべく、コーポレート部門へ異動。新規事業サポートや、社外向けオウンドメディアの編集部などを経て、現在は富士通全体のDX推進を担当しています。

―― 色々なお仕事をされてきたんですね!仕事とはちょっと離れますが、高橋さんの趣味についても伺えますか!?

趣味は、3つあります。
映画鑑賞、カラオケ、そしてzoom。

―― zoomが趣味!それは初めて聞く趣味かもしれません。

zoomが趣味だとお伝えすると、驚かれることが多いんですよ(笑)。

例えばですけど、zoomのバーチャル背景を皆さんに見せたい時があったとするじゃないですか。皆さん、身体をカメラからズラそうとするんですけど、指でカメラを隠せば良いんですよ。

指でWEBカメラを隠すと
背景をキレイに見せることができます

―― ほんとだ!指で隠すだけで、背景がしっかりと映るんですね!

ちょっとしたネタですけど、そうやって皆さんに喜んでもらえるのが嬉しくて。自分で試してみて「これは使える!」と思った機能を皆さまにお伝えしてます。

こんな風にzoomが趣味になったのは、大田区100人カイギを「オンライン」でやりきったからこそ。人に喜んでもらえる趣味が出来たという点でも、100人カイギを立ち上げて良かったと思っています(笑)

■コロナというカオスを楽しんでこそ。大田区100人カイギが誕生するまで。


―― 大田区100人カイギを立ち上げるに至った経緯を教えて頂けますか。

100人カイギに関わる前段階として、2つの出来事がありました。

ひとつは、業務として社外向けオウンドメディアの運営をしたこと。様々な方を取材したんですが、本当に多様な価値観・働き方があって、自分とは異なる新たな考え方に触れられることが楽しくなっていったんですね。

もうひとつは、2016年、富士通の蒲田事業所内に「PLY」というオープンイノベーションを実践する場が誕生したこと(※)。ここで様々なイベントが開催されるようになり、社内外問わずユニークな方々と繋がるようになりました。

※PLYの詳細は、下記ロフトワーク様の紹介記事をご参照下さい

この2つがあったおかげで、多様な人と出逢い、人を通じて新しい世界に触れることのオモシロさに目覚めていったように思います。

そんな中、100人カイギファウンダーの高嶋さんと出逢って 「今度渋谷で100人カイギのイベントがあるから良かったら遊びに来ませんか?」
と声を掛けて頂き、興味を持って参加したんですね。

―― 実際に参加してみてどうでしたか?

ずばり「運命的な出逢い」がありました!

―― 運命的な出逢いですか!?それは気になります!

交流タイムで、たまたまお隣に居た赤塚さんとの出逢いです。私は大田区勤務、彼女は大田区在住、大田区トークに思いっきり花が咲きまして。その勢いのままに「大田区でも100人カイギを立ち上げよう!」と意気投合したんです。

この時、お隣に居たのが赤塚さんじゃなかったら、大田区100人カイギは生まれなかったかもしれません。

—— 出逢いは偶然のようで必然なのかもしれませんね!それで赤塚さんと一緒に100人カイギを立ち上げられたんですね。

2019年9月に100人カイギで赤塚さんと出逢い、11月には大田区100人カイギを開催すべく事務局に申請しました。

ただ、当時の100人カイギは様々なエリアが立ち上げたいと手を挙げていて、開催の順番待ちで。大田区は「2020年5月」にスタートすることになったんですね。開催まで少し時間ができたので、これ幸いと運営メンバーと打ち合わせを重ね、準備を整えていったんです。

ところが、立ち上げ直前にコロナがやってきて。会場になる予定だったPLYは閉鎖となり、4月には緊急事態宣言が出されるなど、リアルイベントが出来る空気ではなくなってしまった。

コロナで閉鎖となったPLY

―― その時はどのような心境だったんですか?

積み上げた準備が全て吹き飛んでしまって、正直、かなり意気消沈しました。

ただ、悩んでいても仕方無い。むしろこんな環境下だからかこそ、「オンライン100人カイギの先駆けとなれたら良いんじゃないか!?」と気持ちを切り替えました。

―― 想定外のコロナに直面したにもかかわらず、マインド転換が出来たのはどうしてでしょうか?

大田区100人カイギを立ち上げるにあたって、運営メンバーで準備したことの1つに「カオスを楽しむ」というコンセプトがありました。

大田区というのは、空の玄関口「羽田空港」、超高級住宅街「田園調布」、庶民の街「蒲田・大森」など、多様な顔を持つまさにカオスな町。この大田区ならではのカオス感を楽しめる場にしたい、という想いをコンセプトに込めたんですね。

で、そんなコンセプトを固めたのに、『コロナというカオスに屈してどうするんだ、目の前に起きるカオスを楽しんでこそ、大田区100人カイギと言えるのでは!?』となったんですよね。

―― 「カオスを楽しむ」という自ら定めたコンセプトによって、奮い立たされた訳ですね!その地区ならではのコンセプトを練っておくことは、100人カイギを立ち上げる際の大事なポイントかもしれませんね。

カオスを楽しむ・運営メンバー

■「オモテナシ」と「オタノシミ」のバランスが大事


―― では次に、大田区100人カイギを運営するにあたって取り組まれていた工夫について教えて下さい。

色々とありますが、まずは全体のスケジュールをミエルカしたこと。

毎月「第4月曜日」をイベント開催日にしてたのですが、逆算して、何時迄に何をしなければならないかというスケジュールを作成、共有してました。

様々な準備をスケジューリングしてしまうことで、抜け漏れも運営の負担感も減らすることが出来ると思います。

―― 確かにこうやってスケジュールがミエルカされていると動きやすいですね!この表を見ると「定例ミーティング」は、毎週やられてたんですか⁉

そうなんです。基本30分という短い時間ですが、毎週月曜日にやってました。半分は運営について話し、半分は雑談するといった軽い感じのミーティングですけどね。

―― 毎週やるとなると負担感もあると思うのですが、どのような狙いがあったのでしょうか!?

100人カイギを良い場にしていく上で、運営メンバーの意思疎通がスムーズであることが重要だと思ったんですね。短時間でも繋がる時間を増やすことで、良い関係性が自然と醸成されると考えました。

もちろん強制ではなく、出られる人が出るでOK。ただ、参加有無によって情報格差が出てしまっては、かえって関係性を損なうことになりかねないので、必ず議事メモを共有するようにしていましたね。

想いのある素晴らしいメンバーが揃っていたことに加えて、この定例ミーティングを重ねたことで、チームの絆が強まっていったように思います。

定例ミーティングの様子

―― 100人カイギを良い場にしていくための下地作りとして、毎週ミーティングを実施していた訳ですね。その流れで言うと、登壇者のリハーサルが「2回」あるのも気になります。1回あれば良いような気もするのですが。

未経験のオンラインイベントを主催するにあたり、まずは運営メンバーが話し手も運営もやってみる「お試し会」を開催してみたんです。

トライアルとして「vol0」を開催

実際やってみると、聴き手のリアクションが見えない中でプレゼンすることの難しさを痛感しました。

そんな経験も踏まえて、本番前にオンラインで話すことに少しでも慣れて頂けるように、また忙しい方でもどちらか1回は参加してもらえるよう、リハーサルを2回設けることにしたんです。そうしたら、リハーサルに参加した方同士で、より良いプレゼンになるよう相互にアドバイスを送り合うといったシーンが生まれたんですよね。オンラインで話す訓練が出来たことに加えて、登壇者同士が予めお互いを知っている状態を作れたこともあって、イベント当日はとてもスムーズに運営することが出来ました。

―― 登壇者の不安に寄り添うことで、発表の質も上がるでしょうし、結果的に参加者にとっても良い場になると。

そうですね。登壇者が気持ちよく発表できるかは、良い場を創っていく上で、大事なポイントだったと思います。

登壇者に喜んで貰いつつ、100人カイギの場を更に良くしていく取り組みで言えば、「グラレコ」を「登壇者100人分」全て作成したことが、大田区100人カイギ最大の特徴かもしれません。

―― グラレコを100人分!それは凄いです!

作成したグラレコは、毎回、会の終わりの振り返りで活用してました。オンラインイベントって、狭いパソコン上で画面共有するので、伝えられる情報に限りがあるじゃないですか。でも、グラレコは、登壇者の発表ポイントが「1枚の絵」に描き起こされているので、オンラインとは相性が良いんですよ。大田区100人カイギが毎回良い感じにクロージング出来たのは、このグラレコによるところが大きかったように思います。

また、描きあがったグラレコは、登壇者にプレゼントしていて。自分の発表が一つの形として残るので、皆さんとても喜んでましたね。

―― 素朴な疑問ですが、イベントの時間内にグラレコを5人分書き上げられるものなんでしょうか!?

先ほど「登壇者の打合せ・リハーサル」の話をしましたが、実はこのリハーサルにはグラレコ組の皆さんにも参加して頂いています。事前にどんな話が展開されるか分かっているからこそ、短時間でグラレコを完成させることが出来たのです。

このグラレコ100枚達成を記念して作った動画があるので、是非ご覧頂けたらと思います。このムービーを見返すと、未だに胸が熱くなるものがありますし、こんな素晴らしいグラレコを書き続けてくれたグラレコ組の皆さまには、改めて感謝を伝えたいですね!

―― グラレコがどうしたら書きやすいかまで設計されてるあたり本当に凄いですね!ここまでお聞きする中で、運営の皆さんが細やかに気配りされていたことが、大田区100人カイギの盛り上がった秘訣だと思いました。

「オモテナシ」の心と言ったらよいでしょうか、関わって頂ける皆さんがどうしたら気持ちよく過ごして貰えるかについては、チームで常々話し合っていたように思います。

ただ「オモテナシ」一辺倒ではなくて、同時に「自分達自身も楽しむ」という意識があったことが、最後までやり抜く上で大事だったと思います。

より良い場を提供したいという想いが強すぎて、自分達が疲弊してしまっても続かないですし、自分達が楽しむことばかり先行して、周りへの配慮を怠ってしまっても場は盛り上がらない。ここのバランスが大事なんだろうなと思います。

―― 人に喜んで貰う「オモテナシ」の心と、自分達も楽しむ「オタノシミ」のマインド、両方が必要ということですね。

そういう観点からの事例を1つご紹介すると。

オンラインイベントって、終始端末と向き合うが故の「無機質な感じ」があると思うんですけど。これを少しでも和らげるために、季節に合わせて運営メンバーの服装と背景を変えることもやってました。

ちょっとしたことかもしれませんが、この取り組みも「オモテナシ」と「オタノシミ」を追い求める大田区100人カイギを象徴する事例かもしれません。

■過去に囚われず、原体験は新たに創れば良い。

―― 本当に様々な取り組みをされてこられたんですね!これだけの創意工夫に充ちた100人カイギを経験したからこそ、ご自身に起きた変化は何かありましたでしょうか!?

何かアクションを起こす際のステップが軽やかになったように思います。

コロナという未曽有の事態に直面して、それでも100人カイギをオンラインで開催するんだと決め、たくさんの人の協力を頂きながら試行錯誤を繰り返し、良い場を作っていけた。

この一連の経験が、自分自身の自信に繋がったように思いますし、大田区100人カイギのコンセプトで定めた「カオスを楽しむ」マインドが身に付いた気がしますね!

カオスを楽しむためのルール

―― 確かに、カオスを楽しめるようになったら行動が軽やかになりそうです!では、そんな軽やかなステップが身に付いた高橋さんが、今後やってみたいことについて伺えますでしょうか!?

「大田区100人カオスフェス」を開催してみたいですね。最初から最後までオンラインで走り抜けたからこそ「リアル」で開催することに対して渇望感があります。

大田区100人カイギは解散になりましたが、解散は新たな繋がりの始まりということで、 参加者、登壇者、グラレコ組、スタッフ 各々が繫がって、何か新しいことを生み出すような機会を創れたらなと思っています。

最終回に作った寄せ書き
タイトルは「いまからここから」
解散は新たな繋がりの始まり

―― リアルでのフェス開催となると準備含めて大変なことも多いと思うのですが、なぜ人の繋がりを創ることにそれだけのモチベーションが沸くのでしょうか!?

100人カイギに登壇した100人全員と繋がっているのはキュレーターだけですし、100人ものユニークな人の活躍をその場限りで終わらせてしまうのは勿体ない。その後の繋がりまでを楽しみながらサポートするのも、キュレーターの大事な役割だと思っています。

そうやって人を繋いだ先に生まれた良い熱は、巡り巡って自分自身にもプラスになって返ってくると思っていて。そんなグッドサイクルを回す人で在りたいなという想いはありますね。

あとは、小中学生の頃にイジメにあっていたんですが、イジメがあるから学校を休むといったことが嫌で、意地になって皆勤賞を取ったなんてことがありました。そんな原体験から、人に優しくしたいといった想いや、最後までやり抜くといった想いが、根底に根強くあるのかもしれません。

―― なるほど、そのような原体験もあったんですね。ちなみに、昨今、過去の体験から自身の価値観を洗い出すようなワークショップ等がよく開催されますが、これといった原体験が無い人も世の中には居ると思うんです。人は原体験が無いと動けないものだと思いますか!?

原体験は、あまり関係ないと思います。むしろ大切なのは過去の経験ではなく、「今」じゃないでしょうか。

失敗を恐れず、まずはやってみること。動けば必ず何かしらの経験が積める。良いことも、辛いことも起こるかもしれないけれど、どちらにせよ自分の糧になる。この経験を糧に学ぶ一連のサイクルこそが、誰にとっても再現性が高いものだと思います。

それこそ今回の100人カイギは大変なことだらけでしたが、楽しみを見つけながら、今できることに集中してやり続けたからこそ、得られたことはたくさんあります。例えば、趣味zoomとか(笑)。

なので「過去の原体験」を意識するというより、「今、原体験を創る」といった意識を持てると良いのではないでしょうか。

誰もが失敗を恐れずチャレンジが出来る世の中になれば、社会はもっと優しいものになっていくと思っています。そんな社会を創っていくためにも、まず私自身が、カオスを楽しむマインドを大切に、「今」に集中することで、これからも新たな原体験を創っていけたらなと思います!

―― 「今、原体験を創る」、素敵な考え方ですね!原体験が無いことに悩む方が居たら、この考え方を勧めたいと思います。
カオスを楽しむマインドを身に付け、ステップがより軽やかになった高橋さんがどんな新たな世界を生み出していくのか、今後のご活躍も楽しみにしています!
本日は、色々なお話をお聞かせ頂き、本当にありがとうございました!

スタッフ全員で会えたのは最終回2日前
ようやく会えた!思い出深い1枚

写真提供:高橋誠さん
聴き手 :豊田 陽介
文   :豊田 陽介

100人カイギ & stories ライター


豊田 陽介(とよだ・ようすけ)プロフィール
1979年神奈川生まれ、千葉育ち。3児の父。
様々な不思議なご縁が積み重なり、2020年春に17年間勤めたハウス食品を退社。長野県佐久穂町にIターンして『カレー屋ヒゲめがね』を起業。自分のワクワクをぶらさず、自然豊かな環境で、家族とゆったり暮らす生活を成し遂げるべく、現在は週3ランチのみ営業。人生100年時代における生き方の1つとして「こんな暮らしもありだよね!」という事例をお示しできるよう、日々奮闘中。
ヒゲめがね note

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