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老後2,000万円は本当に必要なのか

みなさんは「老後2,000万円問題」って覚えていますか?

そうです。”老後に2,000万円が必要になる”と記載した金融庁からの報告書を、当時の麻生財務大臣が国民からの反発を受け、闇に葬ったあの件です。

でも実はこの報告書、ネット上で閲覧できちゃうんですね。
(※金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

ということで、現実と向き合うために報告書を見てみました。

結論からいうと、老後に備えて
夫婦で「2,000~3,000万円」は確保しておく必要がある
とぼくは感じました。もちろん、ライフスタイルによって金額は変わってくるのですが。

いや、そんなん無理やろ・・・

と思われるかもしれませんが、この報告書は問題点だけでなく、資産形成に向けた、適切で具体的なアクションプランも示してくれていたんですね。

今回はこの報告書の概要をまとめて、今後ぼくたちが取るべき行動についてもお伝えしたいと思います。

1.報告書の概要

報告書の内容を簡潔にまとめると、以下のとおりです。

①勤労収入は減少傾向にある
②税・社会保険負担は増加傾向にある
③公的年金の水準調整が見込まれる
④退職金制度が形骸化してきている
⑤65歳以降、夫婦で毎月約5万円の生活費が不足する

これらの文字の羅列を見ただけで、将来おさき真っ暗のような気がしてきますね。😅

まず、「失われた20年」とも呼ばれる経済停滞の中、日本人の勤労者収入は伸びていないことが報告書で示されています。そのうえ、税・社会保険負担は増加しているので、過去の水準と比較するとぼくたちの手取り額は減少しているんですね。少子高齢化を踏まえると、この傾向はさらに強まっていくことが予想されます。

さらに、ぼくたちがアテにしている公的年金、退職金についても今後は期待できません。公的年金の支給額は水準調整により減少してきていますし、若年層が引退するときには、支給開始年齢が引き上げられている可能性もあります。
退職金を支給している企業の割合も少しずつ低下をしています。定年退職者の退職給付額を見ると、平均で1,700万円~2,000万円程度となっており、ピーク時から約3~4割程度減少しているんですね。

これらの社会状況を踏まえたうえで、報告書では、

65歳で会社を退職し、そこから30年間を夫婦で月約25万円で暮らしていくとした場合、資産から約2,000万円の取り崩しが必要になる

と試算したんです。

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これはあくまでも平均的な夫婦の収支状況になるので、不足額は個人の収入・支出の状況や、ライフスタイルなどによっても大きく異なってきます。特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)は含まれていませんので、もしもの時には大きな資金が必要となります。今後の社会状況も考慮に入れると、現在の若年層(20~30代)は約3,000万程度は必要だと見積もっておきたいところです。

そんなに貯金できないよー!っていう方。大丈夫です。これから行動を変えていけばまだ間に合います。政府はそのためのアクションプランを示してくれていたんです。

2.具体的なアクションプラン

政府が報告書で示しているアクションプランは、以下のとおりです。

①長期・積立・分散投資
②金融リテラシーの向上
③ライフプランナー

①長期・積立・分散投資
 政府は預金ではなく投資を進めています。それも、長期・積立・分散の三拍子のそろった投資です。簡単に言ってしまうと、この条件がそろえば、リスクは最小限になり、有効な資産運用ができるという、政府公認の投資方法なんですね。
 現在は、つみたてNISAやiDeCo等が整備され、個人が長期の資産形成を行うための、制度的な環境も整いつつあります。あなたが20~30代であれば、これらを活用しながら資産運用を行うことで、老後資産3,000万円を作っておくことは十分に可能です。
(※制度の内容、資産形成方法についてはまた別の記事でお伝えする予定です)

②金融リテラシーの向上
 日本人はお金の知識が不足しています。
報告書ではこの点についても指摘しており、学校や職場、自治体などの場で、金融リテラシー向上に向けた授業やセミナーをなどを活発に開催すべきだと指摘しています。
 個人的には、自分自身で継続してお金の勉強をしていくことが必要だと思います。日本人の金融リテラシーについては前回の記事で書かせていただきましたので、興味のある方はご覧ください。

③アドバイザーの充実
 リタイヤ期前後(50~60歳)の方や、高齢期(60歳超)の方については、信頼できるアドバイザーを見つけることが大切です。このような方たちは、今ある金融資産の目減り防止や計画的な資産の取り崩しが大切になってくるので、資産形成よりも、家計やライフスタイルの見直しが中心になってきます。特に高齢の方であれば、これから認知・判断能力の低下や喪失の可能性もあります。
 ただし、民間の金融機関はオススメできません。金融機関にとって都合が良い金融商品の提案をしてくる可能性が高いからです。それよりも、ご家族や知人、信頼できるファイナンシャルプランナーなど、あなたのことをしっかりとサポートしてくれて、安心してお金の相談ができる人を見つけましょう。

 これら3つに加え、高齢者の就労継続は今後も続くと思われるので、老後に自分の好きな仕事、得意な仕事で収入が得られるよう、スキルを身につけておくことも大切だと考えています。

3.さいごに

報告書の内容は、目を背けたくなるような話ばかりでしたが、金融のスペシャリストたちがまとめただけあり、とても信頼できるものでした。

報告書の中には、ぼくたち自身が人生100年時代に備えた資産形成や管理に取り組んでいくことがかつてないほど要請されている、とされています。

これまでは、退職金と年金の2本柱で老後は十分に生活ができたのですが、時代は変わってしまいました。

社会が変化しているなら、現実から逃げずに、ぼくたちの行動も変化させていくべきです。

具体的な老後の資産形成方法については、今後の記事で発信していきますのでお楽しみに。

最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。😁

ではまた。



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