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"パルヨン"に込める想いとは?~お悩み相談から始まる“たくさん”のいいこと〜

地域で活動されている方のご紹介を通じて、京都市東山区エリアで活動をされている方にお話を伺う企画「iINA」。
活動に至ったきっかけや地域活動を通じての変化感など「いいな」と思えるストーリーをお聞きし、新しいことに踏み出したい人が、まちの「いいな」につながるアクションに踏み出すきっかけとなるような発信をしていきます。

ー今回は、「外国人女性の会パルヨン」という団体において、主に外国人女性への支援活動を行なっているニーナさんにお話を伺いました。「外国人女性の会パルヨン」は、今では多岐にわたって活動をされている団体ですが、最初は小さなお悩み相談から始まったそうです。団体の名前、”パルヨン”はフィンランド語で「たくさん」という意味。「たくさん良いことがありますように」という想いが込められています。

小さなお悩み相談から始めた活動が、政府と関わる活動に

ー京都で活動を始めたきっかけを教えてください。
初めて日本に来たのは大学生のときで、旅行が目的でした。そこで、仏教のイメージが想像と全く違うことや、漢字が全く読めないことが面白くて。もっと勉強したいと思い、日本に留学した後、就職も日本ですることにしました。

活動を始めたのは、京都に住む外国人女性が、気楽に情報を交換できる居場所を作りたかったからです。当時、行政の外国人支援は時間のかかるものが多かったり、単なる文化の紹介が多かったりして、日常生活の悩みを気楽に相談できる場所がありませんでした。京都に住む外国人女性は、国際結婚で来日する人が多いので、日本語を話せない方が多いんです。そういう人たちが気楽に話せる場所が必要だと思い、外国人女性の会パルヨンの活動を始めました。

ーでは具体的に、どのような活動をされているか教えてください。
基本的には「外国人女性のためのなんでも喋れる会」をひらき、お互いに質問や相談をして、情報交換できる場を作っています。

他には、優しい日本語で観光地を紹介するイベントを開催したり、民生委員や社会福祉協議会などの生活の悩みを相談できる団体を紹介するビデオを作ったり、外国人の方が日本で暮らしやすくなるような活動をしています。

また、日本に安心して住めるような取り組みもしています。日本でDVを経験した外国人女性にインタビューをして、DVを受けたときの対処法を紹介したビデオを作ったり、コロナで延期になりましたが、上京警察署と一緒に外国人女性向けの防犯教室を企画したりしました。今年(2022年)の7月からはウクライナ避難民の方向けにオンラインカウンセリングも実施しています。

ー幅広い活動をされていますね。もともと、そこまで領域は広かったのでしょうか。
いえ、最初は小さな団体でした。一番初めの集まりのテーマは、「子どもが小学校に入学するときは何を準備したらいいか」ということでしたが、そこから徐々に広がっていきました。

DV対策のビデオを作ったのは、DVを受けた外国人女性の相談がきっかけだったり、ウクライナ避難民の支援は、避難民への心理的支援をしている団体が少ないという話から、心理的支援のための助成金を申請することになりました。「お悩み相談活動のなかで、次の活動が生まれる」ということを繰り返して、徐々に活動の幅が広がっていきました。

さらに、活動を進めるうちに、政府から「意見を聞きたい」と声がかかるようになりました。そのご縁で、多文化共生にまつわる委員会で発言する機会をいただいています。他にもメディアで外国人女性の悩みを発信する機会をいただいたり、小さいことですが、日本全国に住む外国人に対してちょっと力になれたかもと嬉しく感じています。

文化の違いを乗り越えた先の楽しさを伝えたい

−原動力となる活動への想いは何でしょう?
カルチャーショックで悩んでいる外国人女性に、文化の違いを乗り越えて、幸せに日本で暮らしている外国人女性もいることを伝えたいです。

私が京都に住んで間もない頃、近所のおばあさんに嫌われているのではないかと心配になった経験がありました。私が夜中にスカイプで通話していた声が、おばあさんに聞こえていたことが原因だと思い、ある日「いつもうるさくしてすみません」と伝えてみたんです。するとおばあさんの顔色が変わり、優しく接してくれるようになりました。

フィンランドでは「すみません」という言葉は、悪いことをした後に使います。けれど日本では、「すみません」は万が一のために前もって謝る言葉として、挨拶のようによく使われることを学びました。「みんなお互いに迷惑をかけながら生きている」という仏教の考え方を知ったときに「I'm sorry」と「すみません」という言葉がちょっと違う意味に見えて、奥深いなと思ったんですね。

このように、日本でわからないことがあっても、それを理解できたときに自分の視野が広がるのが面白い。「こんな考え方もあるんだ」という発見が人生を豊かにしてくれるということを他の外国人女性にも伝えたいです。


−素晴らしいですね。活動をしていてよかったこと、やりがいを教えてください。
活動をしていてよかったのは、人生が変わる瞬間に立ち会えることです。コロナ禍でバイトを失って学費を払えなくなった留学生に、社会福祉協議会を紹介して、その支援で学費を払えるようになり、日本で勉強し続けられたことがありました。ほんの少しのきっかけで困りごとが解消し、人生が変わる瞬間があると感じています。

それから、たくさんの発見があり、学び続けられる楽しさがあります。小さな団体だから、何でも自分たちでできるようにならないといけない。動画やHPを制作したり、記者会見をしたり、初めての経験でゼロから学ぶことばかりですが、普通の職場で決められた範囲で仕事をしていたら経験できないことができています。

困っているところと政府をつなぐ“架け橋”でありたい

−今後、挑戦してみたい活動や、団体としてありたい姿はありますか?
今、ウクライナ避難民への心理的支援をしているので、それは継続したいです。ただ避難民でだけでなくても、日本に長く住んでいれば、色んな精神的な問題が表面化してくると思うので、外国人に対する心理的支援は続けたいです。

あり方としては、『架け橋役』でありたいです。日本人と外国人の架け橋でもあるし、政策が行き届いてない方たちと行政や大きな団体との架け橋でもある。パルヨンの役割は、どこが困っているのかを発見することだと思っています。困っているところに光をあてて必要なサポートをつなぐ架け橋のような存在でありたいです。

−読んでいる人にメッセージをお願いします。
外国人の方には、日本語を勉強して欲しいです。日本語が分かれば、困りごとを自分で解決できたり、面白いイベントに参加したり、楽しいことばかりです。カルチャーショックは辛いけど、それを乗り越えて、日本のいいところを発見してほしいです。

また日本人の学生には、ぜひうちの団体の活動に参加してほしいです。おそらく将来は同僚に外国人がいることが当たり前の環境になるから、外国人とのコミュニケーションを学ぶためにも、ぜひパルヨンの活動に参加してもらえればと思います。日本語で書かなければならない書類や、調査しないといけないことがたくさんあります。イベントの受付や片付けなど、ちょっとしたことでもありがたいので、ぜひ活動に興味があればご連絡ください。

★HP:https://paruyon.com/
★Instagram:https://www.instagram.com/paruyongenki/

インタビュー動画

インタビューの様子を撮影したので、ぜひご覧ください!


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