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起点

わたしは
巨人にだってなれるし
小人にだってなれる

恒星にだって 南風にだって
あの美しい虹の一欠片にだってなれる


こうして人間として
生まれることができたのだから。


受け継がれてきた 幾億の命の記憶
この手に託された たったひとつのバトン

声なき声が 
小さな灯から焔へと変わるとき
わたしの冬は、ようやく終わり始める。


人生とは
わたしが「わたし」と出逢い
「わたし」を立ち去るための場所


「死んだら何もかもチャラよ・・・」


そんな 硬直した死生観が
多くの人々の心を踏み固める時代

どれだけの人が
「わたし」と出逢えるのだろう


無常の風は 必定の風


遇い難いこの出偶いがなければ
「わたし」に出逢うことさえ叶わず

死がわたしを 永遠の荒野に
ひとり 置き去りにしていただろう……


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