川に洗濯に
昔 昔の大昔
ひとりの女の人が
川に洗濯に行きました
そこに大きなクマがやってきました
女の人のまねをして
折れた大木を洗います
クマに襲われたらどうしよう
女の人はクマを怒らせないように
黙っていました
女の人に声をかけてもらえず
クマは とぼとぼ帰りました
次の日
女の人が川に洗濯に行きました
すると一匹のサルがやってきました
女の人のまねをして
大きな葉っぱを洗います
「あら まあ 上手に洗っているね」
女の人は、サルをほめてあげました
サルはキャッキャと喜びました
その次の日
女の人が川に洗濯に行きました
今度は小さなリスがやってきました
女の人は目を細めました
女の人のまねをして
小さな花びらを洗います
「おや おや 私がやってあげよう」
女の人はリスが持っていた花びらを
やさしく洗ってあげました
自分でやりたかったのに・・・
リスは寂しそうな顔をして
どこかに行ってしまいました
女の人も悲しくなりました
クマもサルもリスも
みんな おんなじだった
私が彼らを区別していたんだわ
それからというもの
どんな動物が来ても
女の人は笑顔でいました
「上手に洗っているね」と
動物たちを褒めてあげました
それからというもの
女の人の周りには
いつも動物たちが一緒でした
みんなで川で洗濯をしている様子は
まるで家族のようでした