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かっこつけて生きてきたけど


かっこつけて生きてきたけど

それも もうおしまい

何も言えずに 黙っていても

言葉を尽くして話しても

僕の心は落ち着かない



かっこつけて生きてきたけど

それも もう飽きた

今日はどんな服を着よう

明日はどこで食事しよう

きらきら光る 僕の毎日

それも もうおしまい



かっこつけて生きてきたけど

何だか もういい

この世界は誰のもの

僕の居場所はどこにあるの

周りをあちこち見渡しても

探せないよ 今の僕には



ねえ

希望って言葉を知らなかった頃

僕は何を頼りに生きていたのかな


ねえ

幸せって言葉を知らなかった頃

僕は何を目標に生きていたのかな



かっこつけて生きてきたけど

昨日の僕は もういない

どこを探しても 誰に聞いても

今のこの世に存在しない



そんなこと当たり前だというけれど

かっこつけて生きてきた僕の虚しさは

かっこつけて生きてきた僕だけがわかってる

だから ちょっと笑って ちょっと泣く



ちょっとずつでいいんだよって

昔 誰かに言われたから

ちょっとずつ大きくなって

ちょっとずつ年を取った

そして かっこつけて生きる僕になれた



ちょっとずつ世界が変わっていく

それは信じられないくらいのスピードなのに

昨日の僕がいなくなるから

どれくらいの変化か気づかない



かっこつけて生きてきた僕にできることは

かっこつけずに生きること

自分のためではなく

誰かのために

この世界がかっこよく存在するために

僕のかっこよさは

みんなに譲ろう


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