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もう映ってはいなかった


見知らぬ世界が 僕を待つ
そこは底なし沼なのか
誰もが怯えて立ちすくむ
だめだよ だめだめ
漆黒の暗闇は誰も受け入れない

見知らぬ世界が 僕を誘う
こっちにおいでよ
何に引き寄せられるのか
僕は怯えて立ちすくむ
だめだよ もうだめ
漆黒の暗闇が僕をおびき寄せる

そんなところで何してるの?
声をかけてくれたのは ひとりの子ども
小さな手が 僕の上着の裾を引っ張った
向こうに行こうとおねだりをする

先に駆け出したのは その子
はずむような足取りからは 小さな希望があふれ
小鳥のような笑い声からは 大きな期待が満ちている

僕の足が子どもの後を追いかける
僕の手が子どもの手を握りしめる

未来はどこにあるのだろう
考えて立ち止まっていても何も見えない
漆黒の暗闇に飲み込まれてはいけない

その子と並んで走る僕の目に
漆黒の暗闇は
もう映ってはいなかった







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