東 徹 精神科医

精神科医

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最近の記事

医学部の地域枠 得か損か (2016年のコラムより)

これはとある医学部受験生向けサイトに2016年に書いたコラムです。(すでに閉鎖) 今でも主な論点はあまり変わらないと思うのでここに掲載してみます。 医学部の地域枠 得か損か  みなさんの中で進路に迷っておられる方はかなり多いと思います。医学部に絞ったとしてもどこの大学を目指すかにも色々迷われると思います。それについては以前書いてみましたのでご参照ください。簡単に言えばどこでも将来の仕事にはそんなに関係ないから好きなところへ行きましょう、ということなんですが、一概にそうも言

    • 限られた医療費は真に医療を必要とする人のために

      アゴラ に投稿した記事をこちらにも転載します。お読みください。 日本維新の会が高齢者の医療費窓口負担を原則3割に引き上げる提言案をまとめた。これについて現場の現役医師の視点から考えてみたい。 まず私の見解を明確にしておくと、原則3割引き上げには賛成である。 医療費増大が止まらない中で、不要な医療の削減は喫緊の課題であるのは言うまでもない。削減方法にはいくつか考えられる。イギリスのようにかかりつけ医制度によるアクセス制限や保険医療でカバーする範囲の制限なども有効だが、国民

      • 『薬剤師の処方権による医療の質の向上と医療費削減効果』 薬剤師に処方権を シンポジウム 文字起こし

        2023年8月20日にグランフロント大阪で開かれた 薬剤師に処方権を シンポジウムの 第一部 発起人によるプレゼン 6人目 精神科医 東徹による 『医療の質の向上と医療費削減効果』の動画↑  をアップしましたが そのスライドと文字起こしをアップしました。 動画を見る時間の無い方もこちらをご覧いただければ幸いです。 よろしくお願いします。医師の東徹と申します。 精神科医をしております。 私が「薬剤師の処方権による医療の質の向上と医療費削減効果」について説明させていただきます

        • 薬剤師が処方権を持つと、医療の質の向上と医療費削減効果があります

          2023年8月20日にグランフロント大阪で開かれた 薬剤師に処方権を シンポジウムの 第一部 発起人によるプレゼン 6人目 精神科医 東徹による 『医療の質の向上と医療費削減効果』の動画をアップしました。 こちら↓ 薬剤師に処方権を というオンライン署名キャンペーンをしていますが 薬剤師が処方権をなぜ持つべきなのか。 それを薬剤師や医療従事者だけではなく、むしろ一般の人にこそ知ってもらいたいと思っています。 そのために昨年、リアルな場で実際に議論をしていこう、という目的で

        医学部の地域枠 得か損か (2016年のコラムより)

          老害に孫の声を聴かせる話

          今日の朝、通勤中に車を運転しながらこの動画 を見て(聞いて)号泣したので みなさんぜひ見てください。 ぜひ見て欲しいのですが、これを見て私がどう思ったか、を話したいので この動画の説明をネタバレありで書きます。 ネタバレが嫌いな方は先に動画を見てください。 おそらく内容を知った上で見ても十分泣けると思うので 内容を書いていきます。 極限まで要約すると、 オリラジの中田さんがお母さんに補聴器を買ってあげた話です。 以前からお母さんの耳が遠くなっていて、 なんとか補聴器を

          老害に孫の声を聴かせる話

          Twitter(𝕏) フォロワーさん向け近況報告

          Twitter(𝕏)の皆様、ご無沙汰しております。 東徹 精神科医 @higashi1979  です。 聞こえますか。あなたの心に直接語りかけています。 10月12日に私のアカウントが凍結されました。 𝕏からのメールによると 「認知症になったら何もわからなくなるわけではありません。 近時記憶(数分〜数ヶ月前)が衰えるだけで 即時(今すぐ)遠隔(昔のこと)記憶は保たれます。 あなたは1週間前の昼飯覚えてますか? 近時記憶が衰えたぐらいで安楽死したいのなら 今すぐ安楽死したら

          Twitter(𝕏) フォロワーさん向け近況報告

          『誰でもわかる精神医学入門』 まとめ(ネタバレあり) 試し読み第2弾

           今回も、日経メディカルAナーシングで連載していた「誰でも分かる看護師のための精神医学入門」を全面改訂、書籍化した「誰でもわかる精神医学入門」から、日経BPのご厚意により、「立ち読み版」として一部を一般公開させていただきます。ありがとうございます!  今回ご紹介するのは書籍全体の「まとめ」です。  唐突ですが、みなさんYOASOBIはご存知ですか?今や日本中、知らない人いませんよね、失礼しました。ではYOASOBIの曲は全て、小説や漫画が元ネタとなっており、それに合わせて

          『誰でもわかる精神医学入門』 まとめ(ネタバレあり) 試し読み第2弾

          『誰でもわかる精神医学入門』 試し読み第1弾

           このたび、日経メディカルAナーシングで連載していた 「誰でも分かる看護師のための精神医学入門」 を全面改訂、書籍化して「誰でもわかる精神医学入門」として出版させていただくことになりました。そこで今回はその「立ち読み版」として日経BPのご厚意により、一部を一般公開させていただける運びとなりました。ありがとうございます!  今回ご紹介するのは、第2章、統合失調症編のまとめ 「統合失調症が治る」とはどういうことか です。  この回は、ほとんど専門的な用語を使わず、一般の方にも分

          『誰でもわかる精神医学入門』 試し読み第1弾

          【青島周一先生寄稿 要旨】薬剤師に処方権を 

          青島周一薬剤師による処方は、医師による処方と比較して、処方内容の質に相違があるか? Abstract 【背景】日本の薬剤師は薬の専門家であるにも関わらず、薬における最も重要な権限の一つである「処方権」を有していない。しかし、処方された薬の有効性や安全性は、医師と薬剤師で顕著な差を認めるかどうかについては議論の余地がある。 【方法】2023年5月7日までに報告されている文献について、PubMed、およびGoogleを用いたナラティブレビューを実施した。なお、薬剤師の処方を

          【青島周一先生寄稿 要旨】薬剤師に処方権を 

          薬剤師に処方権を <寄稿文>

          薬剤師の処方権によるチーム医療の革新と患者満足度の向上 私は医師の立場から、薬剤師が処方権を持つことを推奨したいと思います。それは薬剤師が処方権を持つことによって医療の質が向上する、という実体験に基づく確信があるからです。2016年に、入院患者の治療に関して薬剤師による処方提案をそのまま医師である私が処方する、という試みを行い学会発表をしました。結果としては、重症患者が問題なく改善して退院に至り、患者側の評価も好評だった、というものでした。その試みを通じて、薬剤師が処方権を持

          薬剤師に処方権を <寄稿文>

          滝山病院事件はなぜ起きたのか NHK番組解説

          滝山病院に関するNHKの番組を見て 驚いた方も多くおられると思いますが、 衝撃だけは感じても、 それが何なのか、 何故起こったのか、 背景にあるものは何か、 などはおそらく一般の方にはほとんどわからないと思います。 ですので、 真実はわからないまでも、 現場目線から想像がつく範囲をお示しすることで ご理解の一助としたい、と思い書いてみます。 まず、入院患者に対して看護師が暴力をふるう映像が出てきます。 もちろん許されざる行為です。 ただ、看護師の口調は汚いながら何度説明して

          滝山病院事件はなぜ起きたのか NHK番組解説

          人工知能が医師を駆逐する日

          <以下は2015年9月、とある大学受験サイトに寄稿したブログです。>  最近は人工知能の話題を耳にすることが多くなった気がします。将来はいろんな仕事が人工知能によって要らなくなる、などと言われています。そこに医師も含まれるのではないか、とも言われているようです。先日もテレビで脳科学者がそんなことを言っているのを聞きました。みなさんはどう思われますか?人工知能だけだとちょっと範囲が狭いので、アンドロイドなども含めた「機械技術は医師を駆逐するのか」という問いに変えて考えてみます

          人工知能が医師を駆逐する日

          『ルックバック』に表れた、統合失調症に対する途方もない無関心

          『ルックバック』の犯人の特徴が統合失調症と一致する問題が話題になってます。  この問題の本質は、作者や読者、個人レベルの差別の問題ではなく、そして個人を責めるべき話でもなく、社会と統合失調症の果てしない遠さにあります。  この殺人犯に関するマンガ内の描写は極めて簡素です。およそ記号的です。それが当事者、関係者が見れば誰でも統合失調症を想起する描写(その他には薬物依存症ぐらいしか考えがたい描写)で描かれています。つまり、殺人犯という記号に、統合失調症が使われたということです。

          『ルックバック』に表れた、統合失調症に対する途方もない無関心