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一年後

 未来のことなんて誰にもわからないけれど白か黒かなら白がいい。なんて、あたりまえのことを言うひとには誰かを刺す気なんてないのだろうし、だからきっと息をするように人を刺している。

 刺された傷口がひらくのは明日かもしれないし、一年後かもしれないし、ずっと気づかずに、或いは気づかないようにして、ただほほ笑みながら白い未来を歩いているひともいる。真っ赤な足跡がみえるのは後から来た私達だけだ、来た道をふり返らない人の脚はいつも傷だらけだ。

 太陽がまぶしくて背を向ければいつも黒しかみえないのは私の影がどこまでも延びているからで、一寸後の闇を断ち切るには鋏が必要だ。どこに落ちているのかもわからないそれを探し回っているあいだに秋は過ぎゆく。

 桜が散るたびに終わりつづける。終わって、終わって、どこまで終わりつづけても、たとえどれほど遅くとも、いつかあなたがあなたのための武器を手にすることを祈っている、眠る時間の前にはきっと。

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