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好きになる理由 ー男と女の睦言ー

男と女の睦言

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男と女の一問一答
女の問い掛けに答える男
二人の何気ない掛け合いを通して
綴られれる

小さな物語

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「休みの日にドライブなんて
ひさしぶりね」

女は助手席の窓を開け、
吹き込んでくる風に揺れる前髪を整えながら、
ハンドルを握る男に話しかけた。

「そうだな
最近忙しくてなかなか休みが合わなかったから」

男は横目で女を見て答える。

海に向かう車内、
カーラジオから懐かしいメロディが流れてきた。
その曲は二人が初めて一緒に出掛けた時に、
聞いた曲だった。

「この曲覚えてる?」

「うん
君が好きで何度も聴かされたよ」

車は交差点の赤信号で止まった。
シフトレバーをニュートラルに戻した男の手を、
包むように手を重ね、
女が男に尋ねた。

「あなたはわたしの
どこを好きになってくれたのかしら」

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「一場面小説」という日常の中の一コマを切り取った1分程度で読めるような短い物語を書いています。稚拙な文章や表現でお恥ずかしい限りではありますが、自分なりのジャンルとして綴り続けていきたいと思います。宜しくお願いします。