中小企業で働く魅力と注意点② 会社の仕組みを変えやすい
中小企業での仕事において、私が転職エージェントとして企業の採用担当者や配属部門の責任者に取材をした時、
「ウチはまだ出来上がってない会社だから、何でもできるよ」
「自分から手を上げてやる人は歓迎!」
「自ら考えて、(物事を)変えていける人に来て欲しい」
というような言葉を、何度も聞いてきました。転職活動をしたことがある方(今、されている方も)も、中小企業系の求人で目にしたり、聞いたことがあるのではないかと思います。
私自身、人材業界に20年以上携わる中で大手企業だけでなく、小所帯のベンチャーや中小企業(現在はココで働いています)で仕事をさせていただく中で、
▶ 仕組みを変えやすい
▶ 改善がすぐにできる
ということは、日々日々感じていることです。
ただ、これだけ挙げると中小企業は仕事がしやすいと思われるかもしれませんが、注意すべき点というものもあります。
この記事では、どうして中小企業での仕事は「仕組みを変えやすい」のか?また、この点に関して注意すべき点について、解説をさせていただきます。
これからの職業選択や、中小企業での働き方について考える上で、一つの参考になれば何よりです。
※なお、中小といえども全てが仕組みを変えやすいという事ではありません。よくある傾向としてとらえて頂ければ幸いです。
① どうして仕組みを変えやすいのか?
1-1 話さなくてはいけない人数が少ないから
大手企業と違い、中小企業は人数が少ないため、何か仕組みやルールを変えたいとなった時に話しを通すべき人数が少なくなります。
例えば、営業職として働くOさん(主事・いわゆる平社員)が、営業部門で使っている売上管理表のフォーマットを変えたいと考え、大手企業でその変更を提案する場合の一例
フォーマット変更が通るまで、会議を挟まない場合であれば、5つ(ないし4つ)のステップがあります。
主任以上の各役職者がその場にいなかったり、すぐに相談ができない状況であれば、その分日が空き、承認を得るまでに日数を要します。
会議で発案する場合は3つ(ないし2つ)ですが、会議の場で、大多数の主事の賛同を得ることと、主任、課長と2名の役職者の賛同を得なくては、次の部長まで上がりません。
部長が承認をして、ようやくフォーマット変更ができます。
一方、Oさんが中小企業で同じ提案をする場合
会議を挟まない場合であれば、4つ(ないし3つ)のステップで提案が通りますが、大手企業A社と違い、主事1名、課長、部長の3名だけ賛同が得られれば案が通ります。
会議を挟む場合でも、A社では9名の会議をパスしなくてはならないのが、3名の会議をパスすれば、次は部長のみとなります。
1-2 中小企業であれば、すぐに相談がしやすい
中小企業で部署の人数が少ない場合は、多くがデスクをつなげて一か所に固まり(いわゆる”島”が一つだけ)仕事をしていたりします。
そのため、何か提案したい、相談したいと思った時、すぐそばに主事、課長、会社によっては部長もそばに座っているため、その場ですぐ相談をして、その場で決まるという事もあります。
そのため、上記の例1で挙げたように、主事→課長→部長と順を追っていくことも、例2のように会議を開いて改まって説明、という事が起こらなかったりします。
大手企業のように、組織の人数が多くなるほど、それぞれの予定がバラバラになったりして、一か所に全員が集まったりする事が少なくなる傾向があります。
また役職者が増えれば、決裁のステップも多くなるため、どうしても順を追って話を通さなくてはならなくなり、すぐに話をしたいとなってもそれがやりにくくなるのです。
② どんな成長ができるのか?
2-1 仕組みを変える経験が数多くできる
提案を通すのにステップが少なく、また時間も短くなりやすいため、提案内したい内容が浮かべば、それを提示する機会は多く得られて、結果、会社の仕組みやルールを変える経験を数多く積むことができます。
2-2 主体的な姿勢で仕事をする人材になれる
提案を通しやすい環境に身を置くことで、提案が通るという成功体験を積みやすく、その分、自分からどんどん提案をしていく、課題があれば変えていくという、仕事において主体的な姿勢を身に付けていくことができます。
提案がなかなか通らなかったり、提案をする機会が得られないと、どうしても言われたことだけをするようになったり、提案しても通らないからと最初から諦める気持ちで消極的な姿勢になる可能性があります。
提案がしやすい環境下では、スキルだけでなく基本となる仕事の姿勢も磨いていくことができます。
2-3 主担当として仕事をする経験ができる
人数の少ない会社であれば、提案した事を実施する際、その業務については一定の権限を得た上で、主担当として仕事をする機会が得られたりします。
その立場で仕事をすると、自分で決断するという経験をすることができます。当然責任は大きくなりますが、ビジネスパーソンとしての決断力、問題解決力、調整力など様々な力を身につけることができます。
③ 注意点
上記のように、中小企業であれば会社の仕組みを変える経験を多くでき、成長できますが、全ての少人数規模の会社でそれができるとは限りません。
以下の点に注意をすることが必要です。
3-1 上司が話を聞いてくれる人であるかどうか?
提案を聞く上司が前向きに話を聞いてくれる人でなければ、いくら小規模で提案がしやすいと言っても意味がありません。
会社によっては、その上司は社歴が長く発言力が強いことから、その上司の考え方で仕事の進め方やルールが構築されていることもあります。
その場合、その上司が現状を疑い、意見をどんどん聞いて変えていくような志向性の方であれば良いのですが、保守的で自分のやり方でやらせたがる人であれば、提案することよりも自分のやり方に従う人を求める可能性があるため、思ったような仕事や成長は期待できないでしょう。
なお、その上司が話が分かる人であったとしても、その上司と馬が合わないと提案は通りにくくなります。まずは信頼関係を十分作っていくことも必要になります。
3-2 会社全体として、何かを変えていくことに前向きな社風であるかどうか?
直属の上司が話が分かる人であったとしても、会社全体として提案を受け入れ、色々なことを前向きに変えていく雰囲気でなければ、その上司は話を聞いてくれるが、その上司でいつも話が終わり、結局何もできないという事になりえます。
3-3 入社したら、提案よりもまずは信頼関係を築くこと
社風、上司共に提案がしやすい会社であっても、提案ができるのは社内で人間関係ができていればこそのもの。
まず入社をしたら社内の人たちと人間関係を作り、信頼関係を構築することを第一にしていくと、提案がしやすくなっていきます。
人によっては、その会社の改善点が次々に見えてくる人もいて、改善提案をどんどん浮かんでくる人もいます。
その改善提案が正しいものであったとしても、まずその正しさを打ち出すよりも、人とつながる方を優先させると良いでしょう。
④ まとめ
中小企業を転職先として検討する場合、②のような魅力がある一方、③で挙げた注意点のある会社も存在するため、注意点に当てはまる会社であれば、それを納得した上で応募をするか、応募を見送る事も検討した方が良いでしょう。
③で挙げた注意点については、転職希望者であれば、実際に面接まで進まないと肌感がつかめないと思います。
私たちのような転職エージェントは、当然、配属先の上司の特徴や社風を把握しようと様々な視点でヒアリングをしたり、訪問時に色々な所を見て判断をしています。
転職エージェントを利用されている方は、こうした「アナログな情報」を事前に確認すること。
転職エージェントからの情報で判断しにくい場合は、面接に進んだ時に直接確認をしていくのをおすすめします。
最後までお読みいただきまして有難うございました。
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