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志望動機の書き方~やはり重要、志望動機~

多くの面接で面接官から聞かれる定番質問「志望動機」。

私は転職エージェント、再就職支援と併せて12年間、転職支援を経験し、私自身も5回転職を経験。
現職では採用業務もしており、志望動機の添削、自分でも作成、志望動機を聞く立場も経験してきました。

その経験の中で、私は個人的に、この志望動機の内容は、超重要!と考えています。

それは、志望動機を考えることは、

 その会社での未来図を考える

作業になるからです。

志望動機の内容が充実してくると、面接でアピールができることは勿論、入社できた場合のその方の行動も良くなり、成果創出にもつながってくると考えています。

そんな重要な志望動機ですが、書き方は比較的シンプル。
幾つかのポイントを押さえることで、多くの方が効果的な志望動機を書くことができます。

この記事では、志望動機の要素を押さえた効果的な書き方と、躓きやすい問題に対する対処法について解説いたします。


① 「志望動機」の要素

志望動機は、次の3つの要素で考えていきます。

  •  仕事内容

  •  会社の事業

  •  会社の考え方

最後は、その会社に貢献する気持ちを伝えて締めます。

1-1 仕事内容

まず考えるのは、「仕事内容」について。

その会社がいくら魅力的で、条件が良くて、ワークライフバランスが取れそうな会社であっても、その会社で仕事ができなければ、仕事上、必要とされる存在でなければ、その会社に在籍することはできません。そのため、最優先で考える内容となります。

内容を考える順番としては、

  1.  その仕事内容に関して、どの程度やったことがあるのか

  2.  その仕事内容に対して、どの経験、能力が通用すると思えるのか

  3.  その仕事をやりたいと思っているかどうか

1.は、募集している仕事内容と同じ種類の仕事(いわゆる職種)をどの程度やったことがあるのか、専門スキル(いわゆるテクニカルスキル)をどの程度持っているかを整理します。

2.は、職種を超えた共通の能力。例えば、

 ・ヒューマンスキル(リーダーシップ、コミュニケーション力、コーチングスキルなど)
 ・コンセプチュアルスキル(複雑な事象を概念化して、物事の本質を把握する能力)

など。

※テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの詳しい内容は、グロービス経営大学院 MBA用語集に詳しく解説されていますので、ご覧ください。
▼テクニカルスキル
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11878.html
▼ヒューマンスキル
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11938.html
▼コンセプチュアルスキル
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11803.html

グロービス経営大学院 MBA用語集

3.は、1.と2.を踏まえた上で、それをやりたいと思う気持ちを考えます。
未経験職種に応募をしたい場合は、1.での訴求ができないため、

 ▼ 仕事内容をよく研究した上で
 ▼ 2.で、どの部分が活かせるのか
 ▼ 3.で、未経験だがこの仕事内容をやりたい気持ち

を考えます。

1-2 会社の事業

同じ仕事内容でも、会社の事業内容は会社ごとに異なり、同業種内であっても、扱っている製品、サービスの割合、種類も変わってきます。

それによって、同じ職種の仕事であっても、やり方、やりがいなども変わってくるので、その会社がどんな事業をしているかを理解することはとても大切です。

特に、同じような業種の会社と比べて、何が違っているからその会社でその仕事をやってみたいと思えるのか、について考えます。

1-3 会社の考え方

会社は、同じ商材を扱っていたとしても、経営方針、経営者の考え方、そこからつながってくる社風によって、働き心地、仕事のやりやすさ、居心地が変わってきます。

まず、会社の経営理念を調べること(月並みですが、やはり会社の考え方が出ているため、外せません)。

上記の事業内容から、どういう考え方でその事業展開をしているのか、自分なりに考察をしてみます。

また、会社名+代表者名 でネット検索をすると、ビジネス雑誌や新聞などの特集記事が掲載されている場合があり、会社の考え方を知るうえでとても参考になります(特に、あまり知名度のない中小企業の場合は有効)。

そして、一般的な口コミ情報も参考になります。
ただ、口コミ情報は、良い情報よりも、悪い情報の方が多く出てくる傾向があります。
人間の心理として、良い情報が複数出ていても、悪い情報が1つ出ているだけで印象が悪く見えるということもあるため、ある程度差し引きながら中身を読むと良いでしょう。

こうした形で情報を集めていき、会社のカラー、考え方のイメージをつけていきます。

② 志望動機の構成

3つの要素を押えて、志望動機は次のような構成で作っていきます。

「貴社を志望する理由は、3つあります。

一つ目には、仕事内容が・・・・・・・で、私のこれまでの経験が活かせると思えたからです。

二つ目には、貴社が・・事業を展開し、業界内でも高い技術力で高い知名度を確立している点に、魅力を感じたからです。

三つ目には、貴社が・・・・・・という方針を軸として事業展開をされており、実際に、貴社の社風として・・・・・・であると聞いており、私自身もそうした社風に共感しており、力を発揮することができると思えたからです。

これまでの私の・・・・・・の経験を活かして、貴社事業に貢献し、自身が目指すキャリアアップも実現したいと考えて、貴社を志望いたしました。
以上です」

作成したら、一度声に出して読んでみます。
長さとしては、1~2分で話せる内容にすると、相手も聞きやすいと感じるでしょう。

③ よくある躓き

3-1 未経験の仕事に応募する場合

転職の動機として、今までの職種の仕事自体を辞めて、未経験の仕事に挑戦したい、というのもあると思います。

前述しましたが、その時の志望動機の作り方としては、その仕事の経験がある、というアピールはできないため、
 
 ▼ 仕事内容をよく研究した上で
 ▼ 職種を超えた共通の能力で、どの部分が活かせるのか
 ▼ 未経験だがこの仕事内容をやりたい気持ち、理由

をよく伝える事が必要です。
ただしこの場合、内容を考えるのが難しい、という声もよく聞かれます。

まず前提として、未経験の仕事で内定を獲得するのは、即戦力を求める中途採用においては難易度が格段に上がる、ということです。

特に、30代以上になってくると、会社としては、一人前に仕事ができて欲しいだけでなく、その仕事を教えたり、仕事のやり方自体を改善する位のことはして欲しい、と考えるようになってきます(20代であれば、まだ企業側も育成しようという会社も一定数ありますが)。

その仕事で経験がない場合、共通能力と意欲の2つで勝負しなくてはいけません。
また、共通能力は、その仕事にどう結びつくのかを説明するのがわかりにくく、相手を納得させることが難しくなります。

意欲についても、「やりたいです」「がんばんります」というのは、即戦力を求める企業からすると、当たり前(ないと困る)なので、その未経験の仕事をやり切れると思わせる根拠も求められます。

未経験の仕事に応募をする際は、自分でその仕事の内容をネットや書籍などで勉強しておくことは勿論のこと、できればその仕事を経験している人から話を聞くなどして、その仕事の魅力だけでなく、その仕事の難しさ、厳しい面も含めてよく理解しておくことが有効でしょう。

厳しい面も含めて理解ができれば、共通能力のアピールだけでなく、意欲の面でも、その仕事をする覚悟を伝えることが出来るようになります。

3-2 会社の考え方がよくわからない場合

会社HPで経営理念とか見ても、抽象的。ほかの会社でも同じようなことを言っていて別にピンと来ない。事業展開の考え方とか言っても、自分でそうだと思っていても、それがあってるかどうか分からない。そう感じる方もいらっしゃると思います。

経営理念は、それが抽象的で、外部の人が見てピンと来ないものであっても、会社が経営理念を作った時というのは、相応の想いをもって、経営者が真剣に考えて作ったものだと言えます。
そして、その掲げた理念に従って事業を進めていこうとしているため、会社の事業は、何かしら理念の影響を受けています

ただ、時間がたつことによって、会社によってはそれが形骸化していたり、大手企業のように組織が大きくなると、末端までその理念が行き届かなくなったりする、ということもよく起こっています。

こうしたことはあるものの、会社の事業は理念の影響を受けている、という視点で見てみると、何か発見できるかもしれません。

また、この「考え方」というのは、抽象度が高く、人によって解釈が分かれるものになるため、自分で「この会社は、こういう考え方なのでは?」と思っても、実際にはそうでない場合もあります。

ここで大切なのは、あっているかどうか以上に、自分なりに見立てをする、ということです。

見立てをすることで、その会社で仕事をすることになったら、どんな働き方、働き心地が期待できるか、をイメージすることはできます。

その見立てを面接官に話をして、それが一定以上合っていれば、面接の評価も高まりますし、ズレていても、面接官には分からないなりに真剣に考えて応募をしてきたことが伝わります。

さらに、「当社は○○の状況なのですが、大丈夫でしょうか?」など、どの点がズレているか、実態はどうなのか、等も教えてくれることにつながり、求職者にとって会社理解を深める効果もあるのです。

3-3 会社情報があまりない場合

会社のHPを見たが、あまり更新されてなく、情報が古いし乏しい。
HP以外にネット上で情報が出てこないので、会社の特徴が分からない。志望動機を考えようがない、という事もあると思います。

この場合は、分かる範囲で考える + 分からない点は質問事項としておく、という考え方で進める手があります。

会社の情報が乏しくても、少なくとも求人票を見れば、会社のごく基本的な情報(事業内容、扱いサービス、従業員規模など)は分かりますし、仕事内容も当然出ています。

そのため、少なくとも「仕事内容」「事業内容」の2点で志望動機を考えることは可能です。
それらの情報自体も薄い可能性はありますが、考えられる範囲でまずは作っていきます。

情報が薄い会社の場合、その会社の理解を深めるには面接こそ、絶好の機会になります。
扱い製品の内容や、会社の社風などで見えてこない点は、面接の時に質問事項として用意をして、質問をする時間が得られた時に聞くようにします。

志望動機におけるアピールは薄くなるものの、質問を通じて企業側からの印象が良くなり、会社理解を深める効果が期待できます。


④ まとめ

志望動機の内容を深く考えることは、

  • 会社理解を深める

  • 仕事内容への理解を深める

  • その会社での仕事で自分がどう力を発揮できるかをイメージする

こうしたことをする作業となります。
そしてこれらは、その会社での、自分の未来の姿をイメージする作業となります。

自分の未来をイメージすることは、今後の自分のキャリアを考えることに直結する事となります。

その会社のイメージが十分鮮明に浮かばない、浮かぶが魅力的に思えないならば、他の会社を探そう、となるかもしれませんし、良いイメージならば、迷うことなくその会社で頑張ろう!そのためには、頑張って内定を獲ろう!という気持ちになるかもしれません。

志望動機を考えることを、単なる面接対策としてだけではなく、これからの自分のキャリアを考えるためにして頂くと、有意義なものになると思います。

最後までお読みいただきまして有難うございました。

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