退職理由の伝え方~ホンネはどこまで言ってもいい?~
面接での質問で、ほぼ間違いなく聞かれる「退職理由」
多くの転職者にとって、転職を考えたきっかけは、何らかの不平、不満からきます。なかなか前向きな話がしにくく、いつでも鬼門になりうる箇所と言えるのではないでしょうか。
私は転職エージェント9年、再就職支援を3年させていただく中で、様々な理由で転職を考えた方とお会いし、私自身も、現在45歳で5回転職を経験しました。現職では、会社の採用担当もさせていただいております。
(私の転職歴と、それぞれの転職理由については、宜しければこちらの記事もご覧ください↓↓)
退職理由の説明の仕方について考えるとき、よく出てくるのが、
「ホンネはどこまで正直に話してもよいのか?」
「全部正直に言ってしまうと、面接官に良い印象を与えないのでは?」
「良いように言った方が、良いのではないか?」
等になると思います。
私の転職支援経験、私自身も転職を5回経験した中で思う、退職理由の答え方は、
【正直に話すのが一番】
だと考えています。
私自身、エージェントとして企業側に推薦する立場として、これまで求職者の退職理由を良いように伝えて、マイナス評価にならないようにしよう!と、色々と知恵を絞りながらやってきました。
自分が推薦する求職者が、退職理由ひとつで面接にも進めないことは(今でもそうですが)とても辛かったからです。
書類選考でNGとなり、ムキになって企業側に怒りを感じることも少なくありませんでした。
でも今は、あまりこねくり回して良いように言おう、本音は隠し通そう、ということはせず、
正直に話す
ことを第一として考え、エージェントとして支援をしています。
私自身も、直近の転職活動でもすべて正直に話をしてきました。
この記事では、様々な体験を経て、私が現役の転職エージェントとして、また、現職での採用担当として、
・どうして正直に話すことが一番良いと考えているのか
・その上で、気をつけたい退職理由の伝え方
について解説いたします。 退職理由の答え方でお悩みの方に、何かしらヒントになれば何よりです。
また、別の記事で、マイナスな退職理由の伝え方についての、私自身の体験談も紹介しております。
ご興味がございましたら、お読みいただければ嬉しいです↓↓
① どうして正直に話すのが良いのか?
退職理由は、多くの方が何らかの不平不満がきっかけとなっているため、いくら上手に話をしても、なかなかプラス評価は得にくく、マイナス評価は得やすい箇所です。
それもあり、この部分はできるだけ早く切り抜けたい、という箇所デでもあります。
どのみち、マイナス要素を含む話をすることは避けられないため、最初から話をしていく、という前提で考えた方が取り組みやすいでしょう。
1-1 話に信憑性が出る
正直に話をすると、まず、それは表情などに出ます。
隠したり嘘をつくと、目線やしぐさなどで出てしまい、勘の鋭い面接官であれば、それに気が付き、その時点で印象が悪くなります。
そうなると、話した内容がたとえ100%真実だったとしても、印象が悪い分、話に信憑性が無くなりかねません。
また、隠さず話をすると、自然と話した内容に具体性が出てきます。隠せば隠すほど、具体的な話をしにくくなるため、信憑性は下がっていきます。
まず、話す内容に共感して頂けるかどうか以前の問題として、話の信憑性を上げることが、好印象につながります。
1-2 先手が取れる
先手を打って話をすることで、自分の方から話の流れをリードしていけます。
逆に、隠した状態だと、面接官から深堀の質問を重ねられ、面接官のペースで質問攻めに遭うような展開となり、精神的にも苦しくなります。
話の印象としても、聞かれてから答えるほうが後出し感が出ることもあり、先に伝えておく方が印象が良くなります。
1-3 結果として、早く終われる
先に話をして、自分のペースで説明ができる分、結果的に退職理由の話を早く終わらせることにもつながります。
退職理由の部分は、早く終わった方が精神的な負担も軽くなります。
1-4 信頼関係を作りやすい
一般的に、自己開示を自分からして、本音で話をすることで、相手も本音で話してくれるようになり、信頼関係ができていきます。
面接の時もそれは同じで、面接官としては、自ら本音で話す求職者には本音で話してくれるようになり、会社のこと、求人の内容なども色々と話してくれる事につながります。
② 効果的な退職理由の伝え方
正直に話をしたとしても、ただ単に本音で話すだけでは不十分です。
面接官の目的は、退職理由を理解することではなく、その求職者が戦力になるかを判断し、戦力になる求職者の採用に成功する事が目的となります。
退職理由を話す際には、退職した理由だけでなく、今後に向けた話を一緒にしていくと効果的です。
2-1 何をしたいか、を伝える
退職することで、
・次にどういう仕事をしたい
・どんなキャリアアップをしたい
・仕事と家庭を両立させたい
等、何をしたいかを話すようにします。
まず、「何をしたいか」を話す人からは、目的意識、主体性、前向きさを感じやすく、相手に与える印象も良くなります。
また、採用する企業としては、この「何をしたいか」が、その会社と合致するのであれば前向きに採用を検討したいと考えます。
求職者側から、「何をしたいか」を発信することで、企業側からもそれに応えられるか否かの発信がしやすくなり、より内容の濃い話ができるようになります。
2-2 わざわざマイナスの言い方をする必要はない
正直に話すと言っても、必ずマイナスな言い方をしなくてはいけない、ということではありません。
話しておかないと、
・話のつじつまが合わなくなる
・あとで分かった(バレた)時に大きな問題になる
・採用側が考慮すべきこと
等に該当することは正直にお話をします。
一例としては、次のようなケースです。
・パワー型上司の下で働いていたが、相性が合わずついていけない
→ 転職先で同じような上司がいた場合に、同じ問題が起こる
・会社が目先の売上獲得を重視する方針となったが、長期的なお付き合いを重視していた自分の方針と合わない
→ 転職先が短期的な売上獲得を重視する方針なら、また合わなくなる
・何らかの不祥事で退職することになった
→ 入社後にバレた場合、最悪、退職(解雇など)につながる
一方、どちらにも解釈ができるような内容については、良い方に解釈してお話をしても良いでしょう。
例えば、
【退職理由:例1】
設計の部署から異動となり、調達部門となったが、調達で成果が出せず。慣れ親しんだ設計の仕事を求めて転職活動をしている
→ 調達で成果が出せなかった、が実態
→ しかし、設計のほうが慣れていて、そちらをやりたい気持ちがある
→ 調達で成果を出せなかったことはあえて触れず、
「再度設計の仕事でキャリアを築くために転職活動をしている」を伝える
【退職理由:例2】
転勤の内示が出たが、両親も高齢で、できれば実家近くに住み続けたいため、転勤したくないので転職活動をしている。
ただ、両親は高齢とはいえ、二人とも健在で健康面に何ら問題はなく、転勤しろと言われてできなくはない
→ 転勤したくないのが本音
→ ただ、両親は健康面で問題ものの、高齢であることも気が進まない理由であることも事実
→ 転勤できなくはないものの、両親に何かあった時、すぐの対応がしにくいのも一理ある
→ 転勤したくない、というのを伝えるのではなく、
「両親も高齢で、お陰様で今は健康ではあるのですが、先々の事を考えて、何かあった時にすぐに両親のところに行ける状態にして、仕事は引き続き頑張っていきたいので転職を考えている」と伝える
例えば、上記のように回答をして、さらに面接官から深堀の質問をされたときは、聞かれたことに対して素直に答えていく、というので良いでしょう。
③ まとめ
退職理由は、マイナス要素からスタートすることが多いため、できれば触れたくない、隠したい等の心理が生まれてくるものだと思います。
一方、退職理由の中には、その方の価値観、目指す方向性、強みなど様々な要素が詰まっています。
退職理由をきちんと伝えることは、その人をより深く知っていただく大切なプロセス。正直、誠実に発信をしていくことが、良い結果につながると思います。
最後までお読みいただきまして有難うございました。
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