パトロン12

無料塾の挑戦|第5章-2|皐月秀起

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7.学習支援活動を行う上で、一番の目標にしていることは何ですか。(子どもの学力向上、子どもの居場所作りなど)

基本的な考え方としては、「子どもの学力向上」も「勉強する環境作り」も両方を目標にしています。この二つはトレードオフの関係ではなく、「二兎を追える」と考えます。ただ、ケースバイケースでどちらかを選択しないといけないときは、「勉強する環境作り」を優先します。子どもに負荷をかけて学力向上に邁進しすぎると、勉強する空間が殺伐としてしまい、勉強自体が楽しくなくなってしまうことは避けたいからです。

そこで重要になってくるのが「自主性」です。周りから言われて勉強するのではなく、自ら机に向かう。与えられた教材を受け身的にこなすのではなく、「今日はこの科目をやるんだ」と自分で課題に向き合う。生徒だけでなく講師も同じで、自分がやりたいからボランティアをやる。目の前の生徒にどう向き合うかを自分で考える。強化科目や指導マニュアルのようなものはなく、自由に指導してもらっています。うまくいかなくても全然OK、生徒と一緒に試行錯誤しながらやってもらっています。

やっぱり人に言われてやるよりも、自分の好きなようにやったほうがオリジナリティも出せるし、楽しいですよね。まあ、その分責任も伴いますが、すべてひっくるめての「成長の場」にしたいと考えています。

8.どのような背景を持つ子どもたちが学習会に来ているのですか。

4にも書きましたが、スタート当初は「経済的に困難なご家庭の子ども」にのみ照準を合わせていましたが、随分とターゲットが多様化してきました。

生徒さんの個人が特定されそうなことは書けませんが、例えば母子家庭の生徒さんは3分の1くらい。生活保護を受給されているご家庭もありますし、今年に入って児童養護施設で暮らす生徒さんが入会しました。不登校気味の子、兄弟が障害を抱えている子も複数人います。他には、お兄さんは塾に行っているけど自分はつばめに来ている子や、結婚したお姉ちゃんが子どもを連れて家に戻ってきて、自分の勉強部屋がなくなった子もいます。

あとは、親1人子1人でいつも一緒なので、学校でも家でもない、第3の場所としてのつばめを週1回親子共々楽しみにされている方、同じくひとりっ子でお兄さんお姉さんが一気にできたと喜んでいる子や、関学に通うお兄さんお姉さんを身近に見て目標にしてほしいと願うお母さんもいらっしゃいます。

どんな形でも、つばめに価値を感じてくださるなら、基本的には全員ウェルカムの方針です。

9.学習会と有料塾の差はどのような点だと思われますか。

有料塾にあって私たちにない(あるいは不足している)ところは、「学力を向上させるスキル」です。整ったカリキュラムもありませんし、講師によって指導スキルの差は少なくありません。「短期間でも何とかして成績を上げる!」というような執念や迫力も私たちにはありません。これから年月を重ねていけば、少しずつ差が縮まってくるかもしれませんが、追い付くことはないでしょう。

逆に、私たちにあって有料塾にないところは、なかなか思いつかないですが(苦笑)、勉強に対するモチベーションは若干違うように思います。これは、有料塾の講師とかけ持ちをしている学生が、「つばめの子のほうが(勉強に対して)やる気があるので教えがいがある」とよく言います。有料塾に通う子どものうち、何人かは「親に言われたから(嫌々)行っている」のかもしれません。一方、つばめに通う子は、入会の要件の一つに「やる気があること」がありますし、入会前の面談で確認もしています。「塾に行きたくても行けなかった」子たちが多いので、学生たちが言うように確かにやる気はあるように思います。つばめに入ってから子どもにやる気が見られなくなってきたら、「モチベーションを上げてやれていない私たちにも問題があるのでは??」とも学生たちには言っています。

10.学習会を今後どのようにしていきたいと考えていますか?

しばらくは子どもへの学習支援に集中していきたいと思っています。私たちの存在を知っていただければ、勉強してみたいと思う子どもたちはまだまだいると思うので、認知度を上げるための広報活動も地道にしながら、無料塾のすそ野をまずは宝塚市内で広げていきます。

無料塾と親和性の高い子ども食堂や貧困家庭への宅食なども興味はありますが、学習支援の運営がいろんな面でまだまだ未熟です。子どもの学習支援のノウハウと経験を積んでいきながら、例えば勉強合宿や回数増加(週2回開催など)、他教室展開などは、講師ボランティアともよく相談しながら、適宜チャレンジしていきます。

11.仁川、宝塚のあたりで活動をされていますが、この地域を選んだ理由があれば教えてください。

リーダーズカフェの本拠地が仁川であったこと、あとは私の在住地であるからです。

12.この地域の家族の特徴として、気づいたことはありますか?

他のエリアのことをあまり知らないので比較が難しいですが、宝塚市以上に川西市や伊丹市、三田市に無料塾の需要があるように感じます。実際、この3市から宝塚に通ってくる生徒さんがいます。他市開催については、講師ボランティアが西宮市にキャンパスがある関学生中心なので、距離的な問題もあってすぐの対応は難しいですが、ご縁があれば...とは思っています。

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