見出し画像

書評:世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?-山口周

世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?


「システムへ最適化した人々」(=エリート)や資本主義の修正に必要なことを提示している良書。

個人的に、本は売れているかどうかに関わらず、値段の10倍、100倍の価値がある本があります。これは私にとっては本のお値段の100倍の価値がありました。

自分の稼いだお金で、高級レストランでシャンパンを飲み、美しい愛人をマンションに囲い、フェラーリに乗り、高級リゾート地でバカンス

受験「エリート」と言う視点で見ても、「それは試験に出ないよ」と不要なことは一切遮断し、システムへ最適化していく。それを、それが世の中の求めていることだからと外部に理由を求める。

一般大衆が、無批判でシステムへの最適化を図ると、戦時中の大日本帝国万歳!、お国のためとなり、エリートが無批判でシステムへの最適化を図るとそれはオウム真理教・エンロンのような事件を引き起こす。

何がかけているのか?それは内なる基準、すなわち美意識であるというのが本書の主張。

<時代の変化>
・システムの変化にルールが追いつかないので、内部にルールが必要でそのためには美意識が大切
・システムを無批判に受け入れるのは高リスク
・VUCA(Volatility, uncertainty, complexity and ambiguity)の環境では、内なる基準の重要度が高まる
・人口知能はあらかじめ入力された情報の枠組みでしか情報処理ができないため「フレーム問題」が発生、人間は入力される情報に対し、定式化されない範囲まで観察し、観察された事象から仮説を立て意思決定の品質を高めることが可能

<個人の審美眼を磨く>
・人生を評価する自分なりのモノサシを持つ
・真善美(内的、主観的な基準)を高める
・見る力(観察眼)を鍛えるとパターン認識から自由になれる
・勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
・自分なりのモノサシを持つには、セルフアウェアネスが重要
・セルフアウェアネスとは、自分の状況認識、強みや弱み、価値観や志向性、自分の内側にあるもの
・レトリック(修辞)とダイアログ(対話)
・企業や社会がもつ基礎体力としての美意識は、日本はフランスと並んでおそらく世界最高水準の競争力

<経営とデザイン>
・「デザイン」と「経営」に共通するのは、「エッセンスをすくい取って後は捨てる」、「選択」と「捨象」
・経営はサイエンス、クラフト、アートの3要素のバランス
・サイエンス、クラフトはアカウンタビリティがある。
・アカウンタビリティとは、「再現性がある」、「言語化できる」ということ
・ブランドに付随するストーリーと世界観が大事になってくる(これは模倣できない)

この記事が参加している募集

サポートを検討いただきありがとうございます。サポートいただけるとより質の高い創作活動への意欲が高まります。ご支援はモチベーションに変えてアウトプットの質をさらに高めていきたいと考えています