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成功するプレゼンテーションの心理学ー川上真史氏の5段階アプローチ

 川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #12プレゼンテーション」というテーマでした。「プレゼンテーション」をいうと苦手の方も多いです。私もその1人。一方、質問ー驚きー具体例ー論理ー行動で実践すると良いとのこと。深掘りして事例を考えてみたいと思います。

プレゼンテーションの構成の5段階

1.Question(質問)
 
プレゼンテーションの最初に、聴衆に対して質問を投げかけます。この質問は聴衆の関心を引くためのものであり、具体的な回答を求めるものではありません。例えば、「皆さんはこの状況についてどう思いますか?」や「これに関して何か思い出すことはありますか?」というような形で問いかけます。これにより、聴衆は自分の経験や記憶を引き出し、プレゼンテーションの内容により深く関与するようになります。質問は、聴衆が自分自身の考えや意見を振り返り、その後のプレゼンテーションにおいて何を学び、どのように感じるかを導くための重要なステップです。

2.Surprise(驚き)
 
聴衆が「どうしてそうなるのか?」と思うような驚きのある結論を提示します。これは、聴衆の注意を引き、興味を持たせるために非常に有効です。例えば、一般的に予想される結論とは異なる視点や、意外性のある事実を紹介することで、聴衆の関心を引き付けます。
 この「サプライズ」要素は、聴衆がプレゼンテーションに集中し、後の内容に耳を傾けるための効果的な方法です。驚きの要素を取り入れることで、聴衆はそのプレゼンテーションが他のものとは違い、特別な内容であると認識し、より一層の興味を持ちます。

3.Example(具体例)
 
プレゼンテーションの中で伝えたい結論に関する具体的な事例やエピソードを紹介します。これにより、聴衆はその結論が現実の世界でどのように適用されるかを理解しやすくなります。具体例は、聴衆の記憶に残りやすく、プレゼンテーションの内容をより理解しやすくします。
 例えば、ビジネスの成功例や失敗例を取り上げ、それに関連するストーリーを語ることで、聴衆に対して強い印象を与えます。具体例は、抽象的な理論や概念を現実の事例に置き換えることで、聴衆に対してその重要性や実用性を伝える効果があります。これにより、聴衆はその内容を自分の経験や知識と結びつけて理解することができます。

4.Logic(論理)
 
なぜその結論に至るのかを論理的に説明します。ここではアンカリング効果(基準となる情報に強い印象を与えることでその後の判断に影響が出る)を利用します。
 例えば、最初に高額な価格を提示してから割引価格を示すことで、割引価格がより魅力的に見えるようにするなどです。論理的な説明をすることで、聴衆はその結論が妥当であると納得しやすくなります。このステップでは、具体的なデータや統計情報を用いることが有効です。論理的な説明は、聴衆がその結論を理性的に受け入れるために必要なものであり、事例やエピソードと組み合わせることで、より強力な説得力を持たせることができます。

5.Action(行動)
 
プレゼンテーションの最後に、結論として聴衆に何をしてほしいのかを明確に依頼します。AIDMAモデル(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)を用いて、聴衆の行動を引き出します。
 例えば、商品を購入してもらう、特定の行動をとってもらう、意識を変えてもらうなど、具体的な行動を促すための提案を行います。これにより、プレゼンテーションが単なる情報提供ではなく、実際の行動につながる効果的なものとなります。行動を促すためには、具体的で実行可能な提案を行うことが重要です。聴衆が「これならできる」と感じるような具体的なステップを示すことで、彼らが実際に行動に移す可能性が高まります。

聴衆に影響を与える要因

 プレゼンテーションはその内容も大切ではありますが、徴収に与える要因は注意する必要があります。

声の質
 
プレゼンテーションの成功には、話し手の声の質が非常に重要です。良い声で話すことで、聴衆は話の内容に集中しやすくなります。具体的には、明瞭で落ち着いた声で話すことで、聴衆に安心感を与え、話の内容を理解しやすくします。
 声のトーンやリズムも工夫することで、聴衆の注意を引き続けることができます。例えば、重要なポイントを強調するために声のトーンを変えたり、リズムを変化させたりすることで、聴衆の興味を維持することができます。

緊張感の利用
 
プレゼンテーション中の緊張感が聴衆に伝わると、聴衆が内容に集中できなくなります。話し手が自分の立ち位置を明確にし、自信を持って話すことが重要です。例えば、「私の会社の事例を共有します」というスタンスで話すことで、緊張感を和らげ、聴衆に対してリラックスした雰囲気を提供できます。緊張感を管理するためには、事前の準備やリハーサルが重要です。自分の話す内容に自信を持つことで、緊張を抑え、より自然に話すことができます。

心理学的背景を考える

  • 質問の効果
     聴衆に質問することで、彼らの記憶を引き出しやすくし、関心を持たせます。例えば、「皆さんはこの問題についてどう感じますか?」と問いかけることで、聴衆は自身の経験や知識を思い出し、話に引き込まれます。これにより、プレゼンテーションの内容がよりパーソナルなものとなり、聴衆にとって意味のあるものとなります。質問は、聴衆が自分自身の考えや意見を振り返り、その後のプレゼンテーションにおいて何を学び、どのように感じるかを導くための重要なステップです。

  • サプライズの効果
     
    驚きの要素を加えることで、聴衆の注意を引き、集中力を高めます。例えば、意外な統計データや予想外の事実を提示することで、聴衆は「なぜそうなのか?」と興味を持ちます。これにより、プレゼンテーションの内容が記憶に残りやすくなります。驚きの要素を取り入れることで、聴衆はそのプレゼンテーションが他のものとは違い、特別な内容であると認識し、より一層の興味を持ちます。

  • 具体例の効果
     具体例を挙げることで、聴衆の記憶に残りやすくなります。例えば、実際のビジネスケースや個人的な経験を紹介することで、聴衆はその話に共感しやすくなります。具体例は、抽象的な理論や概念を現実の事例に置き換えることで、聴衆に対してその重要性や実用性を伝える効果があります。これにより、聴衆はその内容を自分の経験や知識と結びつけて理解することができます。具体例は、聴衆がその内容を具体的にイメージしやすくするための重要な手段です。

  • 論理的説明の効果
     論理的な説明とアンカリング効果を利用することで、聴衆の判断に影響を与えます。例えば、最初に高額な価格を提示してから割引価格を示すことで、割引価格がより魅力的に見えるようにするなどです。論理的な説明をすることで、聴衆はその結論が妥当であると納得しやすくなります。このステップでは、具体的なデータや統計情報を用いることが有効です。論理的な説明は、聴衆がその結論を理性的に受け入れるために必要なものであり、事例やエピソードと組み合わせることで、より強力な説得力を持たせることができます。

  • AIDMAモデル
     AIDMAモデル(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)を活用し、聴衆の行動を促します。Attention(注意)を引き、Interest(興味)を持たせ、Desire(欲求)を引き出し、Memory(記憶)に残し、最終的にAction(行動)を起こさせるプロセスです。このモデルを意識することで、プレゼンテーションがより効果的に聴衆に影響を与えることができます。プレゼンテーションの目的は、聴衆に何らかの行動を促すことであり、このモデルを活用することで、その目的を達成することができます。

 プレゼンテーションの成功には、これらの要素をバランスよく取り入れることが重要です。聴衆の関心を引き、理解を深め、最終的に具体的な行動を引き出すためには、心理学的な背景を理解し、それを実践に活かすことが求められます。プレゼンテーションの各ステップにおいて、聴衆がどのように反応するかを予測し、それに対して適切な対応を取ることが重要です。また、プレゼンテーションの内容を具体的で分かりやすいものにすることで、聴衆がその内容をより深く理解し、実際の行動に移すことができるようになります。

プレゼンテーションの5段階構成の具体的な事例

テーマ:「朝活のすすめ~朝の時間を有効活用しよう~」にて、具体的事例を考えてみます。

  1. Question(質問)
     皆さんは、朝の時間をどのように過ごしていますか?多くの人は、朝は忙しく、ゆっくり過ごす時間がないと感じているかもしれません。しかし、朝は一日の中で最も大切な時間だと言われています。その理由をご存知でしょうか?朝の時間の使い方によって、一日の過ごし方や生産性が大きく変わってくるのです。朝の時間を有効に活用することの重要性について、一緒に考えてみましょう。

  2. Surprise(驚き)
     実は、朝の時間を有効に活用することで、一日の生産性が大きく向上するのです。多くの人は、朝は眠気と戦いながら、何とか一日をスタートさせていることでしょう。しかし、朝活を取り入れることで、仕事のパフォーマンスや健康状態が改善されるという驚きの事実があります。朝活とは、朝の時間を利用して、運動や勉強、趣味などの活動を行うことを指します。朝活を実践している人は、集中力が高まり、ストレス耐性が上がり、一日を通して高いパフォーマンスを維持できると言われています。

  3. Example(事例)
     朝活の効果は、実際の事例からも明らかになっています。例えば、あるIT企業では、社員に朝活を推奨したところ、業務効率が20%向上したそうです。朝活を実践した社員は、集中力が高まり、アイデアが豊かになったと報告しています。また、朝に運動することで、一日の集中力が持続し、ストレス耐性が上がったという事例もあります。朝活を続けることで、生活習慣が改善し、心身ともに健康になったという声も多数聞かれます。これらの事例は、朝活の効果を裏付けるものであり、朝の時間を有効活用することの重要性を示しています。

  4. Logic(論理)
     では、なぜ朝活が効果的なのでしょうか?その理由は、自律神経の働きと深い関係があります。人間の自律神経は、交感神経と副交感神経の2つに分けられます。交感神経は活動的な時間帯に優位に働き、副交感神経はリラックスした時間帯に優位に働きます。朝は副交感神経が優位に働く時間帯であり、リラックスしながらも集中力を高められる状態にあるのです。また、朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、一日のリズムが整うことも分かっています。朝活を行うことで、自律神経のバランスを整え、一日を健康的に過ごすことができるのです。

  5. Action(行動)
     朝活を始めるために、まずは毎朝15分早起きすることから始めてみましょう。15分という短い時間でも、朝活の効果を実感できるはずです。朝の時間を使って、軽い運動やストレッチ、瞑想などを行うことをおすすめします。運動することで、身体を目覚めさせ、一日のエネルギーを高めることができます。また、瞑想することで、心を落ち着かせ、ストレスを緩和することができます。朝食をしっかり取ることも大切です。朝食を抜くと、集中力が低下し、一日の生産性が下がってしまいます。バランスの取れた朝食を摂ることで、一日を健康的にスタートさせることができます。皆さんも、朝活を取り入れて、一日をより充実したものにしていきましょう。少しずつでも、朝の時間を有効に活用することで、人生を変えることができるはずです。

 質問ー驚きー具体例ー論理ー行動のサイクルを利用することで、相手の心に残る、有効なプレゼンができるのではないかと思います。 

効果的なプレゼンテーションの5つのステージを視覚的に示しています。質問、驚き、具体例、論理、行動の各ステージがそれぞれのシンボルで表されています。質問は「?」マーク、驚きは「!」マーク、具体例はストーリーテリングのシーン、論理は論理図、行動は行動を促すシンボルで示されています。モダンな会議室の中で、ビジネスプレゼンターが熱心な聴衆に話しかけており、各ステージが明確に区別され、理解しやすいレイアウトになっています。この構成は、聴衆の関心を引きつけ、効果的なプレゼンテーションを行うためのガイドラインとなります。

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