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統合か分離か:総務と人事の組織設計戦略

 総務と人事という組織は、別の場合もありますが、一緒の場合も多くあります。総務と人事の統合か分離かという組織設計に関するテーマに焦点を当てています。私の25年の総務・人事経験から、多くの会社がこの問いを持っているのではないかと思います。私自身も統合された組織に在籍していた時もありますし、分離された組織のときもありました。


一つのセクションとして扱う場合

 まず、総務と人事を一つのセクションとして統合する利点は何か。確かに、両部門は従業員の福利厚生や職場環境の改善、組織の効率的運営において共通の目標を持っています。統合により、ポリシーの統一、コミュニケーションの強化、リソースの共有が可能になります。これによって、従業員へのサービス提供がスムーズになり、組織全体のパフォーマンス向上に寄与する可能性があります。
 しかし、統合する場合には慎重な計画と実施が必要です。異なる文化や慣習を持つ部門の統合は、従業員の抵抗や業務の混乱を招くリスクがあります。そのため、統合の過程での従業員の関与や意見の反映が重要といえるでしょう。

別のセクションとする場合

 一方、総務と人事の専門性の違いを強調し、別セクションとする場合はどうでしょうか。現代の人事部門は、採用、育成、キャリア開発などの戦略的役割を担うようになり、高度な専門知識とスキルが求められます。総務とは異なる専門性を持つことから、それぞれ独立して機能することで、専門性の高いサービスを提供できるという考え方は合理的です。特に大規模な組織や多様な業務を扱う組織では、各部門の専門性を高めることが、効率性と効果性を確保する上で重要です。
 ただし、分離した場合、異なる部門間でのコミュニケーションや協力が難しくなる可能性もあります。そのため、部門間の連携を強化するための仕組み作りが不可欠です。

従業員からの見え方-当然ながら組織の内部構造には関心はない

 従業員から見た場合は、実際のサービスの質に関心があるという点で共通しているでしょう。従業員や一般の人々にとって、組織の内部構造よりも、自分たちが受けるサービスの質が重要です。福利厚生やキャリア開発などのサポートが適切に提供されるかが、彼らの満足度に直結します。この点は、組織設計の際に重要な考慮事項といえます。また、部門が分離している場合、どこに相談すれば良いのか混乱することがあります。そのため、部門間の明確な役割分担と、従業員への情報提供が必要でしょう。

まとめ-どう考えるべきか

 総じて、総務と人事を統合するか分けるかは、組織の規模、業務の特性、従業員のニーズに応じて決定すべきです。小規模な組織では統合することでリソースの最適化が図れるかもしれませんが、大規模な組織や複雑な業務を持つ組織では、分離して各部門の専門性を高めることが効果的です。
 どちらの選択をするにしても、従業員の意見を反映させ、彼らが必要とするサービスの質を保持することが最も重要です。また、組織の変革は時間がかかり、従業員の適応も必要です。そのため、変更を行う際は、適切なコミュニケーションとサポート体制の構築を欠かすことはできないでしょう。


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