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~「愛情」ってなんだろ?っていう心理学的考察 ~ その1 人はなぜ恋愛するのかを心理学的に分析する

恋愛は「こころ」のはたらき

人が恋愛にいたるプロセスを分析するには、
それぞれの「心の構造」を知っておくことが前提条件です。
なぜならば、恋愛そのものは「心」が引き起こす現象だからです。
ですからそもそもの心のメカニズムを知っておく必要があります。

 この仕組みについては、
フロイトの「精神分析」をベースにしながら
考えていくことにしましょう。

 現代の心理学の大きな流れの元になったフロイトの精神分析は、
「無意識の発見」であると言えます。

考えれば、人を好きになる具体的な理由は何か?
と聞かれると、よく理解できると思います。
よく使われる「深層心理」というものです。

フロイトは人の意識とは心の氷山の一角であり、
こういった見えない領域が存在していると分析しました。

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それによると、人の心の奥には、
抑圧されている無意識があり、
欲望的な衝動=エスを押さえ込んで
「自我」が暴走するのを防いでいると考えました。

 また、「自我」はエスだけではなく、
超自我と呼ばれるものからも「見張られている」
という形で脅威を与えられている。
これはまるで自我に対する「司法官」のようなもので、
時として容赦なく自我を罰するとされています。

いわゆる「良心」とか、「常識」といったものです。
これらの超自我は、親のしつけとか社会規範とかで、
いわば「後天的」に形成されるものです。

したがって、自我にとっては時には良心ともなるでしょうが、
理想的な自己を要求されるがゆえに、
劣等感や葛藤のもととなる存在にもなり得るのです。

フロイトは、自我のことを外界(現実の知覚)と
超自我(良心・理想)、そしてエス(欲望)の
3つの暴君に仕える召使いのようなもので、
常にこれらとの「調整」に追われる状態にあると表現しました。

このようにエスに追いまくられ、超自我に締め上げられ、
現実に突き飛ばされながら、
自我は「自己」の中核として、
必死に調整を図っている存在であると言えるのです。

 しかしながら、時として大きなショックやストレスなど、
バランスがとれなくなってしまうことがあります。
これが「不安」という現象です。

恋愛の正体は「不安」の解消?

そうなると自我はその崩壊を避けるために、
数々の防御装置を発動します。
それが、抑圧とか分離とか、反動などと、
様々な心のはたらきの類型を示しますが、
ここでは「恋愛の分析」がメインなので、
詳細は別の機会でご紹介いたしましょう。

 さて、ここでは、「投影」「同一化」
という防衛機能についてだけ解説していくことにします。

「投影」という自我防御機能は、
自分の中にある意識化したくない欲望や感情を、
他の人が持っているものであるとして認知するはたらきです。

後述しますが、実はこの心の機能こそが
「恋愛へのスイッチ」なのです。
 それと「同一化」です、これは投影のはたらきが済んだあと、
二次的に発生していくものです。

つまり、相手が持っているものを
自分のものとして考えていく心のはたらきのことを言います。
これは、恋愛においての「燃料」になるのではないかと思いますが、
ガソリンのように「取扱注意」なものでもあります。

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 初めて出会う「性愛」の対象は親

フロイトによると、幼児といえど性欲はあって
、男児の初めての対象は母親であるといいます。
それゆえ、父親を母親をめぐるライバルとみなすものの、
「父性」という強大な「去勢システム」によって、
コンプレックスを作ると言われています。

男の子は、母親の相手である父親を模倣しつつも、
障壁とみなして反発する。
これはエディスコンプレックスと呼ばれているものです。

また、ユングは、
この精神構造は、「個人的な父親」に限らず、
社会的な規範や道徳といった、
「父性的なイメージ」全般であると定義しています。

 では、女の子はどうでしょう。

この真逆の現象として、
父親を愛し、母親を憎むという娘の行動を、
エクストラコンプレックス」とフロイトは名付けました。

 心の中から憎い母親を「消す」という事を行わなければ、
自らの女性性が育たないというのです。
そして、新たなる「女性同士の関係」を構築する。
というわけです。

 ユングは、同様に男の子も
心の中で「母親を消す」必要があるといいます。
いわゆる思春期の反抗ということにもなろうと思います。

いずれにせよ、この「嵐の季節」は
こういったメカニズムで必然的に起こり、
男の子も女の子も、それぞれの「親の性」に代わる
新たな「異性」を求める心が生まれる
わけです。

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