見出し画像

世界遺産登録記念・この際大人として知っておきたい「縄文時代」の文化価値について、ざっくりと教養を深める特別講座 その3

縄文時代の「編年」は土器や生活道具のセットで区分する

さて、したの図をご覧ください、
「縄文土器」が制作され、使用された期間は実に1万年以上です。
また、考えてみればあたしたちの周りにある
「基本的な道具」すなわち「食」に関わる基本的な道具ですが
という風に考えていただければ良いと思います、

文明が始まって以来、
それほど変わらないのではないのかとも考えられます。
たとえば茶碗や皿、箸やさじなどは、
素材はいろいろ変化はしていますが、
「根本的スタイル」はそれほど差はないような気がします。

「歴史」の観点を変えてみる

 歴史というと、とかく「政治史」に目が向きがちになりますが、
極端な話、生活史や文化史に比べると、
政治史などは、全く風呂でした「屁」みたいな
うたかたの短期の歴史でしかありません。
「考古学」とか、「民俗史」などを研究していると、
生活というものの「悠久な時間基準」を痛感します。

 ここで、土器や生活スタイルによって、
草創期、早期、前期、中期、後期、晩期という
「土器文化」の形態的な変化をあげてみました。
感想はいかほどでしょう?

 たとえば「中期」の土器は
ものすごく芸術性を感じますが、
実を言うと、「こんなのばっかり使っていた」わけではなく、
基本的に前期に使われた形の土器も現れながら、
なおかつ「ごてごて派手」な土器も存在した。
と考えてよいかと思います。

10年一昔ではなく1000年一昔が縄文の時代区分

 しかしながら、個々の区分は
じつに2000年以上のセクションを踏まえている事に
思いをはせるべきだろうと思います。

 しかも、定住が始まった形跡があるのは、
特に中期以降であり、注目すべきなのは、
同じ場所から数千年単位で「定住していた」
という発掘結果があるからです。

かつての歴史観においては「定住」は
すなわち「生産」の始まりであると考えられました。
つまり「自然改造」の生活様式です。

 人に限らず生物は「生存」を確保し、
かつ「種の保存を確保」するために。
基本的な要素をクリアしなければなりません。

一つには「食糧」
二つ目は「生殖」
三つ目は「持続可能性」です。

これは、ここまで社会が発展した現在においても、
この原則は変わらないものであると思います。

縄文時代には「持続可能な社会」のヒントがある

そこで、もう一つ「文化」における大事な要素があります。
三つ目に述べた「持続可能性」に大いに関わる事なのですが。
これには2つの要素があるんです。

1つには「信仰(崇拝)」であり、
もう一つは「哲学(行動倫理)」
であるということです。

 縄文土器の変化には、たしかに生活の変化とか、
細かなテクノロジーの変化はあるのですが、
実は「技術革新」みたいなものは感じられません。
たぶん考えられるのは
「その時代の自然や社会条件に無理せずあわせた」
という印象を持つのです。

 1万年以上の時代変化というものは、
自然条件も合わせて必ずしも「一定」ではなかったと思いますし、
技術との伝承や交流も、
それぞれの「時期」にあったものが
採用されたのだろうと考えられます。

 また、1万年の間、縄文文化の遺跡からは、
狩りの道具は見つかってますが、
「諍いのあと」というものは一切出土していません。

縄文文化の本当の価値とはなにか

つまり、「戦いのない」世界であったと考えられるのです。
そこで見いだせるのは、
あくまでも「共生」「順応」の意志であり
「あるがままにものごとを受け入れる」という
そういう精神文化が感じ取れるのです。

 それが縄文時代の大きな魅力であり、
「世界文化遺産」にふさわしい
今後の人のあり方の示唆ともなれるのではないのかと
考えられるのです。

世界文化遺産となったからには
このこと(共生の文化)はもっと発信すべきだろう
そう考えているのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?