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定期便は近くの方へ届けるため

パンの定期便をよく見るようになった。以前からあったが、数年前から増え始め、コロナ禍でひとつの楽しみとして定着してきたよう。

そしてこの度、Humme も定期便をはじめることにした。
月に1回、パンを送る。これと決まった商品はなくて、そのときに作るパンの詰め合わせ。

パンの定期便は店にもお客さんにもメリットが多い。
パンは毎日食べるもの。定期的にお気に入りの店のパンが届けば、なくなりそうだからとわざわざ買いにいく必要もないし、通販のように毎度購入手続きをする必要もない。
店にとっては天候や世情に左右される店頭販売とは違い、毎月安定してパンを作り、届け、収入を得ることができる。

そろそろオープンしてから一年ということで、うちの店でもやることにした。
が、ふと思った。

自分は誰にこのパンを届けたいのだろう。

闇雲に始めて買ってもらえなかったら意味はないし、期待と違うと言われても双方が悲しいだけ。
なので、始めるまえに原点である「誰に届けたいか」を考えることにした。

今も稀に行っている通販を利用してくださっている方を整理してみる。
一回の通販で注文してくださる方のうち、1〜2割は知人。残りの半分が鹿児島や熊本で、もう半分がそれ以外の地域。
通販を始めて以外だったのはこれ。

近隣の地域の方からの注文があったこと。

そんなに遠くはない。行こうと思えば車で1時間か1時間半ぐらいの距離。30分かからない方も!でも、通販で購入してくださる方がいる。送料などかかるので、店頭で買うより割高なのに。

その理由は人それぞれだが、
・行きたくても行けない
・行って売り切れだったら嫌だから行かない
が主だと思う。

うちの店は営業日が少なく、営業してもすぐに売り切れてしまう。
いつも開いてない。いつも売り切れている。予約もすぐに完売してしまう。
いざ行くと行列で買えないし、並んでもあまりパンが残っていない。
悲しいかな、そんな声を多々聞きます。
色々と試行錯誤しているのですが、そもそもの量が少ないので買えたらラッキーになってしまっている。

また食べたいと思ってくれている人

定期便を利用して欲しい方が決まった。
一度来たことがあって、また行きたいけどなかなか行けない。友人などからもらったことがあって、実際に店に行きたいとは思っていても、いつも並んでいたり、すぐに売り切れてしまって買えていない。
そういう方に向けた定期便。

単発での通販でも良いけれど、他店と比べるとうちの店はパンの内容がかなり変わる。
遠くから仕入れるということをあまりせず、できるだけ物産館などで手に入る野菜や果物を使用している。そのため、旬のものが大半で、年中手に入るものはあまりない。先週はあったのに、今週はないなんてことも。
そして定番のパンも味が変わる。温度を一定に保つ機械はないので、発酵は自然任せ。発酵するスピードが変われば味が変わる。ならいっそ粉もそのときどきで変えてしまえ。ということで、定番商品のカンパーニュですら毎度配合も違うし、使う粉も違う。来るたびに並んでいるパンが変わり、この前買ったパンだって味が違う。
だから、目の前のパンを楽しむだけでなく、「変わる」という楽しさもある。定期便はその「変わる楽しみ」をなかなか来られない方にも提供できる一つの手段なのではないか。

今の季節はこんな香りなんだね。
そうそうあのとき食べたパンはこんな味だった。
お、前とちょっと変わったかな?
今並んでいるあの食材がこんなパンになるんだね。

通販はどんなに遠くても距離が関係なくなるのがメリット。送料がかかるのがデメリット。そして近くであろうと送料はかかり、安くはない。価格だけ見れば諸々の費用を含む分、店頭よりも高い。行ける距離だからこそ、この費用はハードルとなる。
でも、一度食べ、また食べたいと思ってくださっている方であれば、そのハードルは少し下がるはず。それを越えられるほどのパンかどうかは私次第。

今はこういうパンが店には並んでます。
今の季節のパンたちはこういう味がします。
パンを食べて行ったときのことを思い出したり、また行きたいなと思っていただいたり。
そしてまたいつか、予定が合えば店にも足を運んでくださいね。そんな定期便。

一度食べたことがあるからこそ、伝わるものがあると思う。
同じ場所で季節を感じているからこそ、伝わるものがあると思う。
毎月の楽しみになるような、そんな定期便にしていきたい。

※近隣の方以外も購入できますのでぜひ

Instagram もやっています。

instagram   @hidekuni.mw

読んでいただきありがとうございます。